第2286話 馬主も順調
競馬中継を見る奈央。
☆奈央視点☆
12月12日は日曜日ですわよ。
「ううむ。 亜美ちゃんが居ないとよくわかりませんわね」
「西條の馬が走るのか?」
「佐々木君? そうですわよ」
私は今、馬主活動をしている。
何頭かデビューしている競走馬がいるけど、中でも現在活躍しているのは二頭。
サイジョーレディーとサイジョーゴールドよ。
サイジョーレディーは実は10月末にはデビューし、11月の東京の重賞を勝ち現在は2戦2勝。
次走は年末のGIの何とかステークスっていうレースに登録している。
そして今日はサイジョーゴールドがGIレースに挑戦する。
ゴールドは11月にもレースに出走。
こちらも重賞ではあったけど残念のがら2着に敗れている。
とはいえ僅差の敗北だったので、力では勝ち馬のも負けていないとの評価だ。
「今日のレースはってーと……朝日杯フューチュリティーステークス?」
「そうそう」
「ふむ」
「なははー。 どういうレースなのかー?」
「俺もそこまで詳しいわけじゃないんだよ」
「宏太兄ぃ役立たずー」
「うっせー。 俺はバスケの試合を見てるからな!」
「夕也兄ぃと北上先輩が出てるやつー?」
「おう」
そうそう。 今日はBリーグで西條グランツの試合もやってますわよ。
そちらは相手チームも大したチームじゃないし、特に問題は無いでしょう。
「問題はやはりレースの方ですわね」
11月のレースでゴールドを負かした馬も出てきている。
カイザークラウンとかいう、如何にもそうな名前の馬がゴールドのライバルですわね。
「むー。 この馬も結構匂うー」
「麻美の匂いセンサーにも引っかかる馬ですのね」
「うむー」
やはり強敵ですわね。
人気の方もカイザークラウンの方が僅かに上。
とはいえオッズではそこまで大きな差は無いですわね。
「解説の話を聞いてると、仕上がり具合ではサイジョーゴールド君の方が良いみたいですね」
星野さんも競馬中継を見ながら応援してくれている他、東京のご両親の家に行っている亜美ちゃんも、あちらで中継を見ているみたいですわ。
「星野さん、競馬とか見るの?」
天堂さんの質問な星野さんは「普段から見てるわけじゃないですけど、父がこういうの好きでたまに見てました」との事。
詳しいわけではないらしい。
◆◇◆◇◆◇
さて、ゲートに入ってレースが間もなく始まるわ。
「中山メインレース 朝日杯フューチュリティーステークス 1600メートル 芝は良。 今年デビューしたばかりの若武者達が、世代のチャンピオンを賭けて挑みます。 スタートしました! 綺麗に揃ったスタートです」
「よしよし、出遅れも無しですわね!」
ゴールドは好スタート。
すっと3番手について進んでいますわね。
「人気のカイザークラウンは中団8番手を進んでおります」
前のレースではゴールドがスタートを少し失敗して、カイザークラウンの後ろからのレースになってしまったのが敗因だと、調教師さんも言っていた。
つまり、この展開ならゴールドが有利なはず。
「お? レース始まってるじゃないか。 バスケの方も今インターバルだし競馬見るか」
「ゴールドを応援ですわよー!」
「さあ、第3コーナを曲がっていきます各馬! カイザークラウン、滝の手が動いた! じわりじわりと前に進出して行きます!」
ここでライバルのカイザークラウンが順位を上げてきている。
ゴールドはまだ3番手でじっくり構えているけど大丈夫かしら?
「こりゃ直線の切れ味勝負だな」
「ゴールドー!」
「ゆけー! スーパーアサミン!」
「違いますわよ!」
「最終コーナー! ここでサイジョーゴールドが先頭を捉えて抜け出しにかかります! カイザークラウンがその外を回って最後の直線勝負! 内で粘るナカノプライム! その外から一気にサイジョーゴールドが抜け出した!」
直線に入ってすぐにサイジョーゴールドが先頭に立つ。
しかし、更にその外側からはカイザークラウンが追ってくる。
「粘るサイジョーゴールド! 外からカイザークラウン! 二頭の一騎打ちになった! さあ! 中山名物『心臓破りの坂』に差し掛かる! デビューしたばかりの若武者には過酷な試練!」
「そんなものがあるんですの?!」
「中山競馬場のゴール前には長さ110メートル、高低差2.2メートル、最大勾配2.24%の坂があります。 中央競馬場全場でもっともきつい坂路として有名ですね」
「さすが前田さんー」
「ゴ、ゴールド! ファイトですわよー!」
「カイザークラウン! 坂で脚が止まったか! サイジョーゴールドが抜け出した!」
「おお!」
「行けますわよ!」
「サイジョーゴールド! 坂を登った登った登った! 残り70メートル! 先頭はサイジョーゴールド! 今年の朝日杯チャンピオンはサイジョーゴールドォォ!」
ゴールを先頭で駆け抜けるサイジョーゴールド。
騎手の方は左手を上げてガッツポーズを見せている。
「GI勝利は馬にとっても携わる人にとっても特別だからな。 騎手なんかは勝った瞬間に興奮してあんな風にガッツポーズとかもするんだ」
「サイジョーゴールドよくやりましたわ!」
「サイジョーゴールド 牡馬の2歳 北海道は西條ファーム産まれ 馬主の西條奈央は今年馬主デビューでこれが初のGI勝利」
「いやー。 凄いですね! 馬主デビュー年にGI初勝利ですかあ? サイジョーレディーもかなり期待出来ますよね?」
実況と解説の人も私の話で盛り上がっている。
亜美ちゃんはGIに勝つのは難しいみたいな事言ってたけど、何かあっさり勝ってしまいましたわよー。
「なはは! 私の鼻に間違い無しー!」
「ですわよー!」
亜美ちゃんが帰ってきたら、来年の予定を調教師さんと話し合わないといけないわね。
私はその辺詳しくないから。
「年末のホープフルステークスに出走予定のサイジョーレディー。 デビュー戦を大差の圧勝、続く東京スポ杯2歳も7馬身差の圧勝でしたからね。 馬主も期待してるでしょう」
「当たり前ですわよー! ホープなんちゃらレースは現地に行きますわよー!」
亜美ちゃん曰く、京都同じ場所で開催されるレースらしいわ。
中山は千葉の船橋にあるらしい。
割と近場ですわね!
◆◇◆◇◆◇
夕方18時頃に「皆の家」に戻ってきた亜美ちゃんと希望ちゃんに美夕ちゃん。
「奈央ちゃん、やったね!」
「ですわよ! 明日に調教師さんと来年の予定を話し合いましょ」
「だね」
亜美ちゃんは私の馬主秘書もやってくれている。
馬主秘書になる為に、競馬の事を色々と勉強してくれたのよ。
優秀で助かるわ。
「来年の前にレディーが年末に走るね」
「ええ。 その日は競馬場に観に行きますわよー」
「らじゃだよ!」
今年もあとわずか。
子供も産まれて愛馬も大活躍。
良い一年になりましたわねー。
サイジョーゴールドが見事に勝利!
「紗希よ。 なんか良くわからないけど凄いわね」
「おほほ!」




