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第2270話 常に全力

何とか1セット目を取れたアルテミス。 

しかしかなり疲弊している選手も。

 ☆麻美視点☆


 アルテミスとクリムフェニックスの試合の1セット目終盤。

 私の嗅覚を惑わせる為に、クリムフェニックスはフランス代表が実行してきた作戦「三人同時にトスするぞ作戦」を使ってきた。

 トスのタイミングで、三人同時にトスを上げる気配を漂わせてくる嫌な作戦だ。

 しかし、それは私の真似をしてブロックするミアさんにも効果があり、カウンターを返してやったぞー。

 

 その後、1セット目は特に大きな動きも無いまま私達アルテミスが何とか逃げ切る事に成功ー。

 セットカウントを1-0としたー。


 ベンチに戻ってセット間のインターバルに入る私達。 3分間の休憩タイムだー。


「つ、疲れますね、この試合」

「そやねて……体力的にやのうて、精神的に」

「まだ1セット終わっただけじゃないの」

「そうどすえ」

「なはは」


 セットを取りはしたが、楽に取れたわけではないー。 何せ相手はリーグ最強と名高い東京クリムフェニックス。 

 そのメンバーは月島先輩や美智香姉に新田さんという、日本代表のトップクラスの選手と、キャミィさんにミアさんといったアメリカ代表のトップ選手の混成チーム。

 ハッキリ言って、今の私達が勝とうと思うと、常に全力でいかないと話にならないー。

 試合の流れを完璧に掴んでなお、1セット目は25-23のギリギリのセットだった。

 流れを持っていかれまいと集中して戦うと、体力よりも精神力が削られるのだー。

 特に、格上との対戦経験が少ない天堂さんの精神的な消耗が激しいようだ。


「前田さんー。 この試合、このままだとまず勝てないぞー」

「んー……ですね。 流れを掴んでおいてこの差とは恐れ入ります」

「ま、そんなのわかってた事でしょう。 私達は出来る限りの事をやるだけよ」


 佐伯先輩は常に前を向いているー。

 力の差が諦める理由にはならないという事を良く知っている人だからねー。


「その通りやな。 次のセットもその次のセットも、流れを掴んで逃げ切る。 それで勝ちやよ」

「そうどすな」

「はいっ!」

「はぅ。 頑張るよぅ」

「カチマス!」


 おお。 こっちのメンバーのやる気は十分だー。

 これならまだまだ戦えそうですー。


「前田さんからは何か作戦とか無いー?」

「現状で打てる策は全て打っている状態ですからね。 新しい作戦は今のところありません」

「なはは。 りょーかーい」


 つまり、流れを失えば打つ手無しという事かー。

 やはり厳しい試合であるー。


「麻美さんは思った以上の働きを見せてくれていますし、他の人も今以上に力を出せればこの試合、勝てると思うのですが」

「なはは! 渚頑張れー!」

「頑張っとるわい。 まあ、エースとしてはまだ足りてへん気がするけどやな」

「実際にデータで見ても、今のところ渚さんは奮ってませんね……」

「ぐぬぬ」

「まあ、肩肘張らずにリラックスして臨みなさいな。 エースなんてただの肩書きなんだから、変にプレッシャー感じる事無いわよ」


 と、佐伯先輩のアドバイスが渚に送られる。

 さすがはエース経験者ー!


「わ、わかりました。 いつも通りやってみます」

「うむ」

「あと30秒ですね。 皆さんスターティングポジションへ」

「はーい」


 緩く返事をしてコートへ戻る。

 次セットはクリムフェニックスのサーブで始まるぞー。

 恐らくは浜中さんのサーブからになるだろー。

 それに対しては希望姉にお任せすれば問題無いー。

 主審がラインナップシートを確認した後、試合再開の笛が鳴ったー。

 やはり最初は浜中さんのサーブ。

 希望姉に任せておけば大丈夫ー。


 パァンッ!

 

「おお?」


 浜中さんのサーブは希望姉から逃げるように逆サイドへ。

 そこは渚の守備範囲かー。


「私かいな!」


 パァンッ!


 渚はレシーブも普通に出来るプレーヤーだから、このぐらいのサーブなら問題無しー。

 さて、眞鍋先輩からはいきなり同時高速連携のサインが出たので、すぐさま助走に入る。

 まずは確実に決めていきたいところー。

 渚がレシーブの後に少し助走が遅れているけどー。


「天堂はん!」

「はいっ!」


 パァンッ!


 ここは天堂さんにトスが合わせられる。

 彼女もまた、私達が卒業した後の月ノ木バレーボール部でエースを経験していた。


 ピッ!


「くぅっ。 セット間インターバル挟んでも流れ切れへんのかいな」

「なはは! 簡単に流れは渡さないー!」

「やるわねアルテミス」

「このセットも取って一気に勝ったるさかいな」

「ワハハ! マナベキャプテンがあいてでもマケへんデ」


 2セット目のスタートはとりあえずクリムフェニックスのサーブを一本で切る事に成功ー。

 ローテーションして眞鍋先輩のサーブだ。


「サービスエース決めて下さいー」

「新田はん相手に無茶言いなはんな……」

「なはは……」


 眞鍋先輩はそれでも出来るだけやってみるとの事で、フローターサーブで揺さぶりをかけていく。


「拾います!」


 パァンッ!


「まあ、あきまへんわな」


 新田さんには全く通用せず、簡単に拾われるー。

 

「こうなると来るのが」


 セットポジションにはミアさんが入る。 やはり同時高速連携か……と、思わせておいて、浜中さんからもトスを上げるぞという匂いがするー。


「むう!」


 ギリギリで浜中さんから漂う匂いがトスから攻撃に切り替わったのを察知し、ミアさんからはキャミィさんへのトスが匂ってくる。


「ま、間に合えー!」


 猛ダッシュでキャミィさんの前に移動し、ブロックの構えに。 そこにしっかりとついて来たのは渚だ。


「渚! せーの!」

「おら!」

「ウリャ!」


 何とかギリギリで間に合っている。 しかも、渚が私の動きについて来た事もあり、キャミィさんのスパイクコースを塞ぐ事に成功しているー。

 しかし、キャミィさんは咄嗟にブロックを避けてスパイクを打ってきた。

 何という判断能力!


「はぅっ!」


 パァンッ!


 だがしかしー! 更にその上を行くのが希望姉という(リベロ)だ!

 しっかりとキャミィさんのスパイクコースに入ってレシーブを上げているー。


「ワハハ! ホンマかソレー!」


 私と渚は、ブロックの着地と共に少し後ろに下がり、今度は攻撃動作に移る。

 眞鍋さんからのサインは無いので通常の攻撃だ。

 MB(ミドルブロッカー)のミアさんに最大限注意を払いつつ、眞鍋さんの背後からクイックのタイミングで跳ぶ。

 が、私にトスは上がらず。 ブロックも月島先輩一人を釣っているー。


「渚はん!」

「よっしゃあ!」

  

 ここでトスはエース渚へー。

 ブロックはミアさん一枚。

 私の模倣をしている様子は無いが、代わりにアメリカ代表のオリヴィアさんの模倣をしている。

 あれは強敵だがー?


「おらあっ!」


 パァンッ!


 しかし渚がここで見せたのは、神崎先輩の十八番である真下打ち「メテオストライク」だー!


 ピッ!


「っし! 出来るかわからんかったけど、何とかなったで」

 

 エース渚もようやくエンジンかかってきたかー?


 0-2スタートと、2セット目は良い滑り出しだ!

2セット目開幕早々好スタート。


「紗希よん。 きゃは。 また私の技パクられてる」

「難しいと思うんだけどねぇ」

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