第2257話 同時出産
今度は奈央の陣痛が始まったようだ。
☆亜美視点☆
11月13日の土曜日。 奈央ちゃんの陣痛が始まったようだ。 まずは奈央ちゃんからだねぇ。 奈央ちゃんのお腹の子は男の子だという事である。 奈央ちゃんは男の子が良いって言ってたから良かったよね。
「奈央結構辛そうだったわね」
「うん。 私達ももう少ししたら経験するよ」
「怖いわね」
「だね」
とりあえず奈央ちゃんが無事に出産出来るように祈る事しか出来ないのである。
バタバタ……
「うん? 何か隣がまた騒がしくなってるよ?」
「遥の部屋よね?」
「うん」
「も、もしかして、奈央が分娩室に移動するのかしら?」
「いやいや、まだ早いよ。 まだまだ陣痛初期段階だし……何かあったのかな?」
「気になるわね」
「見に行こう!」
「ええ」
心配になったので、私と奈々ちゃんは奈央ちゃんと遥ちゃんの部屋へ様子を見に行く事に。
二人の部屋の様子を確認すると、奈央ちゃんは普通に寝転びながら安静にしていたのだけど。
「遥ちゃんどうしたの?」
「あら亜美ちゃん。 遥ったら陣痛が始まったぐらいでナースコールしたのよ」
「し、死ぬほど痛かったんだよ……」
「じ、陣痛? 遥も?」
「おー……腹から腰にかけて凄い痛みが走ってなあ……つい怖くてナースコール押しちまった」
「では痛みの間隔が短くなって来たらまたお呼び下さい」
「は、はい」
看護師さんはそれだけ伝えると、病室を出て行った。 にしても……。
「二人ほぼ同時に陣痛って」
「つまりほぼ同時出産になるかもって事?」
「ですわね」
「うわわ。 それはまた凄い」
「まあ、予定日も一緒だったし」
「だな」
「誕生日同じになるねぇ」
「そうですわね。 今からだと日が変わって14日になりそう」
「だな」
心配していたような事は無くて、遥ちゃんも陣痛が始まったという事であった。 何だか凄い事になってきたよ。
◆◇◆◇◆◇
病室に戻って来た私と奈々ちゃん。 奈央ちゃんと遥ちゃんの事は気になるけど、陣痛が始まると私達に出来る事は何も無い。 いつも通り過ごすしかないのだ。
「……」
「むぅ」
私も奈々ちゃんもジグソーパズルしながら時間を潰している。 私の挑戦しているのは一色パズルである。
「あんた、よくそんなパズルを事もなげに出来るわね。 しかも結構早いし」
「形を見抜く力が必要だよ。 全部同じ色のピースだからね。 むっ、これはここにハマるよ!」
ピタッ……
「凄いわね……絵柄の見た目じゃわからないから普通は総当たり気味になると思うけど……」
「いやいや。 ここのピースの肩の部分と、丸い突起部分の角度と大きさはこれ以外無いよ」
「だからそれがわからないって言うのよ」
わからないか。 奈々ちゃんもまだまだだねぇ。
「そんなんじゃジグソーパズラー名乗れないよ」
「名乗らないわよ」
「そうなの?! そんなにハマッてるのに?!」
「入院中だけよ。 あ、ここはこれね! あともうちょい!」
凄く楽しんでるように見えるけど、今だけなのか。 何か勿体無いねぇ。
そんな感じで1時間半程パズルをしていると……。
「で、出来たわ」
「おお、やるね奈々ちゃん」
「ふふん。 どんどん早くなってる気がするわ」
「何かコツ掴んだんだろうね。 その内、私の域にまで達するよ」
「形見ただけでわかるようにって事? それは無理よ」
「いやいや。 意外と出来るようになるんだよ。 む、これはここだねぇ」
ピタッ……
「気持ち良いねぇ」
私もパズルにハマってきたかもしれないよ。
◆◇◆◇◆◇
そんなこんなで時間は過ぎ、時間は消灯時間に。 奈央ちゃん達は大丈夫だろうか? 明日になれば、二人と元気な赤ちゃん達が見られると良いね。
「気になる……」
「気にしても仕方ないわよ。 寝ときなさい亜美。 明日は私達かもしれないわよ?」
「た、たしかにそうだね。 予定日はまだ先だけど、前後する可能性はあるもんね。 よし、寝るよ。 奈々ちゃんおやすみ」
「ええ、おやすみ」
明日、すぐに奈央ちゃん達の様子を見に行こう……。
二人の無事の出産を願いながら目を閉じて、夢の世界へ落ちるのだった。
◆◇◆◇◆◇
起床時間に目を覚ました私は、慌ててスマホの画面を見る。
「おお! 二人共赤ちゃんが無事に産まれてるよ! って、奈々ちゃん居ないじゃん!? さては先に起きて抜け駆けしてるね! 起こしてくれれば良いのに」
という事で私もベッドから出て、車椅子で移動を開始。 すぐ隣にある奈央ちゃん、遥ちゃんの病室へ全速前進だよ!
ウィーン……
「うわわ。 速過ぎだよ……屋内ではゆっくり移動しよう」
ガラガラ……
病室を出て左右確認をしていると……。
「あ、春くんに神山さん。 廊下に突っ立ってどしたの?」
「あー、亜美さん。 おはようございます。 今、ミルクタイムらしくて」
「男は追い出されました」
「お、お父さんさんなのにねぇ……」
「ははは」
「まあ、もう少しで終わると思いますが」
「赤ちゃんはどう? 可愛い?」
「はい」
「遥に似てると藍沢さんや西條さんは言ってました」
「うちの子も母親似だそうです」
「そうなんだね。 というか、奈々ちゃんやっぱり抜け駆けしてたんだね」
春くん、神山さんと廊下で話していると、病室のドアが開き奈々ちゃんが姿を現した。 私の顔を見るなり「あら、おはよ」とか言っているよ。
「おはよ、じゃないよ。 私も起こしてよ」
「いや、ぐっすり寝てたし」
「むぅ。 とりあえず赤ちゃん見たいよ」
奈々ちゃんがドアの前から避けたので、私達も順番に病室の中へ入る。 ベッドでは赤ちゃんを抱っこした奈央ちゃんと遥ちゃんが座っている。
「おお、可愛いねぇ。 二人共名前はもう?」
「ええ。 私と春人君の子は界人 世界の界に人で界人ね。 世界を統べる人物にと……」
「スケールおっきいねぇ……神山さんと遥ちゃんの子は?」
「広いと大きいって書いて広大だよ。 とにかくでっかい男になってほしいと思って」
「なるほど。 どっちもスケールが大きいね。 誕生日はやっぱり一緒?」
「ええ。 11月14日ですわ。 産まれたのは界人の方が早かったですわよー」
「30分だけな」
「そかそか」
「あとは二人だけですわね」
「うん」
「ええ」
「頑張んなよ。 結構きついぞ」
「うっ、が、頑張るよ」
「そ、そうね」
奈央ちゃんと遥ちゃんも元気な男の子を無事出産。 残るはいよいよ私と奈々ちゃんだけである。 もうその日もすぐそこまで来ているよ。
「でも、二人共本当に整った顔立ちした赤ちゃんだねぇ。 将来は美男子でモテモテだね。 幼馴染の間で争奪戦が起こるかもね」
「まだわかりませんわよ……」
「だな」
まあ確かにわからないけど、なんかそうなってもおかしくはないよね。
「美夜は簡単には上げないわよ」
「もう親バカ発動してるよ……」
界人君と広大君、将来はどんな男の子になるんだろうねぇ。 あ、でも美夕を簡単には上げないよ!
奈央、遥のまさかの同時出産。 残るは亜美と奈々美だけ。
「紗希よ。 同時って凄っ。 私ももうちょっと遅らせてたらなー」
「皆同時はさすがに難易度ベリーハードだよ」




