第2256話 病室でも誕生日
11月11日は奈央の誕生日だが。
☆亜美視点☆
11月11日の木曜日だよ。
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
「ハッピーバースデートゥーユー♪」
「ハッピーバースデーディア奈央ちゃーん♪」
「「「ハッピーバースデートゥーユー!」」」
パチパチパチパチ!
「ありがとう。 今年はこの通り入院してるから、実家のパーティーも無いし『皆の家』でのパーティーも無いけど」
今日は奈央ちゃんの誕生日。 残念ながら例年のようなパーティーは出来ない為、入院組の3人で祝う事にしたよ。 ちゃんとしたのは、私達皆が無事に出産して帰ってから、出産お祝いパーティーと一緒にやる事になった。
「VIPフロアとはいえ産婦人科病院だし、私達妊婦だからあまり騒げないけど」
「仕方ないですわよ」
「つーか、奈央の旦那ぐらいは祝いに来てやれよなー」
「春人君は私が居ない間、私の仕事を代わりに引き受けてくれてるから忙しいのよ」
「うん。 中々来れないと思うよ」
「まあ、太一さんもそうだけど、昨日は仕事終わりにチラッと見に来てくれたぞ」
「遥ちゃんの旦那さんは優しい人だからね」
「そうなんだよなあ!」
「惚気ないでよ」
「でも宏ちゃんも昨日来てたよね」
「前田さんと一緒にね」
「浮気ですわね!」
「許さないわ!」
「いやいや。 仕事帰りに様子見に来ただけだよ……前田さん、紗希ちゃんの時もよく来てたみたいだし」
「マメよね、前田さん」
「データキャラ極まって来たしねぇ」
「仕事以外では大体タブレット見ながらブツブツ言ってるからなぁ。 何なデータを整理してんだろうな、あれ」
「多分色々だよ」
何せ、何の役に立つかわからないような事まで「データ」もして入力しているからね。 一見無駄なデータに思えるけど、前田さんからすれば必要なモノなのだろう。
「今は真希ちゃんと美希ちゃんのデータを取ってるみたいね」
「他人の赤ちゃんのデータなんか取ってどうすんのよ……」
「双子のデータは貴重だそうですわよ」
ちなみに前田さん。 今のところ双子ちゃんの見分けがまだつかないらしい。 データが活かせると良いねぇ。
コンコン……
ガラガラ……
私達が談笑していると、不意に病室へ誰かが入ってきた。 音に反応して振り返って見ると、春くんが部屋に入って来たところであった。
「おお、旦那来たじゃないか」
「はい。 仕事が一段落したので誕生日を祝いに」
「お仕事ご苦労様」
「今日は西條クリーンシステムの監査だけだったねぇ」
「はい。 さすがは敏腕秘書の亜美さん。 よく覚えてらっしゃる」
「ふふふ。 産休中とはいえ、しっかりと奈央ちゃんのスケジュールは把握してるよ」
復帰後にスムーズにスケジュールを立てられるように、今からしっかり管理しているよ。
「本当、出来過ぎな秘書ですわねー」
「ははは。 奈央さん、帰りにケーキを買って来ましたので、皆さんで分けて食べてください」
「あらありがとう。 早速いただきましょ」
「ケーキ! 素晴らしいよ素晴らしい」
「亜美は本当に甘い物に目が無いわね」
「甘い物は私の命の源なんだよ」
「はいはい」
「亜美ちゃん。 ケーキ切り分けてくれるかしら」
「お任せあれだよ」
「出るわよ。 亜美の性格無比な切り分け作業」
「寸分の狂いも無いの凄いよなあ」
「目に色々な測量器具が入ってんのよ」
「入ってるわけないでしょ……。 むっ、ここがちょうど半分の線だね」
「やっぱり入ってるんじゃないですの?」
「入ってないよ……これで5分割だよ」
という事で、5人分に切り分けてお皿に盛る。 うーん、凄い病室だねぇ。 何でもあるよ。
「はい、春くんにも」
「ありがとうございます」
「さて、いただきます。 はむ……んむんむ……美味しいねぇ!」
「大袈裟な反応ね……まあ、美味しいのは確かだけども」
「うめー!」
「こっちはいつも通りですわねー……」
このショートケーキ中々に美味だね。
「んむんむ。 これは市内にあるケーキ屋さん『メゾン ド ガトー』のショートケーキだね」
「わかんの?」
「わかるよ」
「箱にも袋にも名前は書いてないですわね」
「あのお店は箱にも袋にも名前載せないね」
「ご馳走様。 まさか病院で誕生日を祝ってもらったりケーキ食べたりするとは思わなかったですわねー」
「奈央ちゃんは私達のリーダー的な人だからね。 慕われてるんだよ」
「そうね」
「うめー」
◆◇◆◇◆◇
春くんが帰って私達も自分達の病室に帰ってきたよ。 しばらくすると、私達の様子を見に夕ちゃんと麻美ちゃんが病室にやって来たよ。
「おう。 来たぞ」
「なはは。 先に西條先輩のとこ行ってきたー」
「誕生日だからな。 祝って来た」
「うんうん。 私達もさっきお祝いしてきたんだよ」
「春人がケーキ買って来たのよ。 美味しかったわ」
「そうか」
「夕ちゃんと麻美ちゃんはケーキ買って来てないの?」
「春人が買って行くって言ってたからな」
「うむー」
「残念だよ」
「お前なあ……」
「あはは。 冗談だよ。 もういらないよ」
「お、おう」
「にしても、西條先輩今日産んでたら息子と同じ誕生日だったのにー」
「惜しかったよね。 でも予定日は15日みたいだから、近いところが誕生日になるね」
「つーか、子供達は皆近くなるよな」
「そうよね。 可憐ちゃんが一月早いけど」
「そこなんだよね。 可憐ちゃんだけ早いから単独バースデーになるんだよね」
「まあ、それは別によくない?」
「私と真ん中バースデーパーティーすれば良いー!」
「真ん中バースデーパーティー、アリだね」
麻美ちゃんが9月22日で可憐ちゃんが10月9日だから10月1日くらいにパーティーだねぇ。
「うんうん。 それで良さそうだよ」
「まあ、そうだよな。 短期間で何回もパーティーやるのも結構大変だしよ」
「あはは。 そだね」
「9月5日の私は?」
「おっと、奈々ちゃんも9月だったよ」
「そんなこと言ったら蒼井先輩も8月29日ー」
「おっとっと。 じゃあ二人の誕生日の真ん中で」
「むしろ今までそうしてこなかったのは何なのかー」
「皆、騒げる機会が欲しかっただけなんだよ……」
◆◇◆◇◆◇
夕ちゃんと麻美ちゃんがのんびりとしている内に、今度は宏ちゃんと前田さんもやって来たよ。 何だかんだで皆来てくれるよ。
「何だ、夕也達もいるのか」
「おー、宏太兄ぃと出入り口の前田さんー」
「出入り口のはいらないです……」
「おう」
「なはは。 ではでは夕也兄ぃ、我々は帰りますかー」
「おう」
「お、おいちょっと待てお前ら。 俺と前田さんを待つんだ」
「ほへ」
「何でだ?」
「車に乗せて下さいよ」
「なはは。 それもそうかー」
「ふむ。 じゃあもう少しゆっくりするか」
人数が増えて賑やかになった病室。 奈央ちゃんと遥ちゃんも来て、30分程皆で談笑して時間を潰したよ。
何か皆来てくれるから思ったより退屈しないね。 奈央ちゃんか遥ちゃんがもう少しで予定日だから、それまではこんな感じで過ごす事になりそうだ。
病室で小さな誕生日パーティーを楽しむ奈央であった。
「奈央ですわよ。 亜美ちゃん達に感謝ね」
「ケーキ美味しかったねぇ! 毎日誕生日パーティーしたいね!」




