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第2245話 ライバルと切磋琢磨

バレーボールの練習に精を出すアルテミスメンバー。

 ☆亜美視点☆


  9月24日の金曜日。


 キュッ! キュッ!


 パァンッ!


「くっ?!」

「だはは! まだまだやな星野さん」


 何をしているのかというと、まあバレーボールの練習風景を見ているだけである。 町内体育館を借りてバレーボールの自主練中の皆。 私達妊婦組は、床にふわふわ暖か絨毯を敷いて練習風景を見ているよ。


「やはりクリムフェニックスのメンバーは中々止まらないね」

「ですわね」

「来月からのシーズン、私達抜きでどこまでやれるかだな」

「クリムフェニックス以外にも大阪ホワイトフォックスに福岡ブルーコンドルズもいるし。 どのチームにも二連敗するのだけは阻止しないと」


 今期からSVリーグに昇格している各チーム。 どこも変わらず強敵なので、かなり苦戦を強いられるだろう。 幸いな事に、守備の要である麻美ちゃんと希望ちゃんは試合に出られる為、そこで何とか粘り強く行きたいところである。


「やっぱり亜美ちゃんらがおらんとあかんか」

「っ! そんな事はありません!」


 弥生ちゃんの煽りにマリアちゃんが反応する。 渚ちゃんが「まあまあ、落ち着きや」と宥めるが、マリアちゃんはゾーンに入ってしまい聞いていないようだ。


「マリアも十分凄いけどね」

「だねぇ」


 ただ、ゾーンに入っても更にその先に行ける弥生ちゃんにはとても敵わない。 あっさりと弥生ちゃんの「絶対女王」の前に敗れている。


「……ば、化け物ですか」

「あっちにほんもんが座っとるやろ」

「人間だよ!」


 まったく。 隙あらば私を化け物扱いするんだから。


「まあウチに勝てんようでは、亜美ちゃんに追いつくのは無理やで。 頑張りなはれやマリア」

「ワハハ。 マリアのライバルはいまんとこミアやロ」

「はわわ」


 確かに、ミアさんとならかなり良いライバル関係だと思われるよ。


「ミアさんですか。 確かに、私が今一番ライバル視しているのはミアさんですが」

「私もでス。 アミに追いつくには、マリアさんと切磋琢磨してレベルアップするのが近道でス」

「ミアさん、切磋琢磨なんて言葉知ってるんだねぇ」

「はい!」


 やはりマリアちゃんとミアさんは良いライバル関係になると思う。 ライバルの存在があると、やっぱり負けたくないっていう気持ちが強くなって、成長が早くなるからね。


「あ、弥生ちゃんが強くなるのは私の所為なのか」

「今更何を言うてんのん……」

「あ、あはは。 にしても、皆して私を倒すだの追いつくだの言って、私は一体何なのかな?」

「ラスボスやろ」

「大魔王的な感じー」

「ですわね」


 な、何だかなぁ。 私の扱い、いつもこんなんだよ。



 ◆◇◆◇◆◇



 練習が終わると、「皆の家」に戻る私達。 まあ、いつも通りのんびりタイムである。


「ミアさんはマリアちゃんや私、弥生ちゃんと同じでオールラウンダーだよね?」

「クリムフェニックスでの立ち位置はそやな」

「マリアはまだ一年先よね?」

「はい」


 マリアちゃんは麻美ちゃん達の一つ下で、今は大学4年だ。 来年プロ入り予定である。 既にアルテミスに加入する事が決まっているよ。


「マリアちゃんもオールラウンダーだし、やっぱり良いライバル関係だよ」

「あまり直接対戦した事が無いのでピンとは来ないですが、結構ライバル視はしています」

「はわわ」

「ええやん。 来年からはバチバチやりおうたら」

「そうそう。 その内亜美達に追いつけるわよ。 多分」

「が、頑張ります」

「星野さんはやっぱり麻美ちゃんが目標になるのかな?」

「え? あー、どうでしょうか? 私、麻美先輩のようにはなれないと思うんですけど」

「なはは!」

「ま、まあ、唯一無二だとは思うけどねぇ」


 確かに、麻美ちゃんのプレースタイルはあまりに独特過ぎて、これを目標にするのはかなり難しいと思われる。


「目指すべきは蒼井先輩かと」

「その方が良いー。 蒼井先輩は最強ー」

「だから成績は麻美の方が良いんだっての」

「ブロッカーとして優秀なのは遥でしょ」

「それはそやな。 やりにくいのは麻美っちやけど」

「なはは!」


 多分、麻美ちゃんの独特なブロックを相手にしてやりやすいという人はいないだろう。 私も苦手である。


「麻美ちゃんをMB(ミドルブロッカー)にしたのは遥ちゃんだからねぇ。 私は最初、OH(アウトサイドヒッター)にする気だったんだよ」

「麻美っち、アタッカーも普通にやれるもんな。 OH(アウトサイドヒッター)でも多分ええ線行くで」

「いやー。 そのポジションは魑魅魍魎だらけなのでー」

「人間だよ」

「きゃはは」

「でも、遥ちゃんはすぐにMB(ミドルブロッカー)にしようって言って来たよね?」

「中学入学当初の麻美って、ブロックの基本も何も無かったじゃない? またどうしてそれを見てブロッカーに推薦したわけ?」


 そうなのである。 麻美ちゃんは私達と一緒になってバレーボールの練習をしたりはしていたけど、ブロックに関しては教えてなかったので、中学でバレーボール部に入って来た時はMB(ミドルブロッカー)初心者も良いところだったのだ。 それでも遥ちゃんは麻美ちゃんの練習を見て「こいつはMB(ミドルブロッカー)だ! 亜美ちゃん、奈々美の妹、私に任せてくれないかい?」と、わざわざ言いに来たのである。


「何つーかな。 MB(ミドルブロッカー)としての勘が麻美に働いたんだよなぁ。 確かにブロックの基本は出来てなかったけど、ボールへの嗅覚とか相手を丸め込む読みの深さとかは見て取れたからよ」

「そ、そうなんだね」


 確かに、アタッカーにしても相手ブロックをよくかわしていたけどね。


「まあ、こいつに基本を教えるのは大変だったが……」

「未だに基本が怪しいですものね」

「ちょいさ! ちょいさ!」


 手を上げながらブロックの真似を始める麻美ちゃん。 確かにちょっと怪しい。


「麻美はこれで最強だから良いのさ」

「なはは」


 実際に私達は麻美ちゃんの謎のブロックに何度も助けてもらってるし、今更疑う余地も無いけど。 私達が居ないアルテミスを上手く盛り立ててくれる事を期待しよう。


「シーズンが楽しみやな。 亜美ちゃんが居らへんのはちょっと残念やけど、麻美っちに渚、佐伯さんやらも居るし倒し甲斐のあるチームやで」

「マナベキャプテンもおるやデ」

「……あの人は今でも苦手やな」

「それは弥生ちゃんとキャミィさんが悪いだけだよねぇ」


 高校時代、二人は色々と眞鍋さんを困らせていたと聞く。 だからこそ二人には特別厳しいのだろう。 眞鍋さん自身はとても良い人である。


「とにかくや、今シーズンはウチらがリーグ優勝するさかいな!」

「ワハハ」

「でス」

「負けへんよ。 な、麻美」

「おー、ブロックでわからすー」


 今シーズン、私は子育てをしながらアルテミスを応援する事になりそうだ。 来シーズンには復帰出来たら良いなぁ。

 

マリアもミアと切磋琢磨して強くなろうと頑張るようだ。


「紗希よん。 私のライバルは奈々美かしらね」

「あら、そうなの?」

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