第2239話 二人でリアル脱出ゲーム
夕也を借りて一日デート予定の麻美。
☆麻美視点☆
9月20日の月曜日ー! 誕生日を明後日に控えている今日は、夕也兄ぃを一日借りてお出かけする日ー。
「夕也兄ぃ、準備出来たかー?」
「おー。 んじゃ行くかー」
「うむー。 では行って来ますー」
「いってらっしゃいー」
というわけで、夕也兄ぃと共に「皆の家」を出発ー。
「あれ? 車じゃないのか?」
「違うー。 今日は電車ー」
「そうなのか? どこ行くんだ?」
「リアル脱出ゲームー」
「何だそれ……」
「なはは。 電車の中で説明するー」
とりあえず駅へ向かい、電車に乗るのであったー。
◆◇◆◇◆◇
「なるほど。 制限時間内にゲームエリアから脱出するゲームなんだな」
「うむ。 頭を使って謎解きするー。 今日行くのは有名な謎解きアクションの『グレイの冒険』シリーズとコラボした脱出ゲームー」
「俺も知ってるぐらい有名なゲームだな」
「なはは。 目指せ脱出ー」
夕也兄ぃに簡単に説明をして理解させたところである。 あとは現地で頑張るのみ!
◆◇◆◇◆◇
というわけで到着ー。 イベントスペースの一角は、「グレイの冒険」の世界を再現した飾りやBGMで彩られている。 辺りの雰囲気を楽しみつつ、いよいよ脱出ゲームに参加だー。 先に予約してあり、時間が指定されているのでそれに合わせて脱出ゲームコーナーへ。
「ふむ」
「ほいじゃイクゾー」
「おう」
制限時間は100分。 制限時間内に迷路になっているダンジョンから脱出することが目的だ。
今回は部屋からの脱出ではなく、ダンジョンの脱出なので各部屋に謎があって、それを解いて進む形式だね。
まずはスタート地点となる部屋に案内してもらい、専用の時計を貰う。 「100」と書いてあるので、残り時間が表示されているのだろー。
「おー、タイマー動き出したー。 スタートー」
「おう。 で、まずは何をすれば良いんだ? まあ、見たところ、ここは牢屋の中みたいだからまずは牢屋から出る事か」
「そうだねー」
夕也兄ぃの言う通り、私達が案内されたスタート地点は牢屋のような部屋になっている。 当然、係の人が出る時には鍵を閉めて行った為、扉は開かないようになっている。
「つまり、この狭い独房の中で謎解きをして、牢屋から出なければならないー」
「ふむ。 『グレイの冒険』的にはこの展開はどうなんだ?」
「2作目のスタートが牢屋スタートで同じー」
「その時はどうやって牢屋から出るんだ?」
「んーと。 ゲームでは確か、独房内に落ちてるアイテムで鍵を作って無理矢理脱出するー」
という事で、とりあえずは独房内を適当に漁ってみる。 そんなに広くはないという事で探索はすぐに終了。
「見つかったのは紙切れと何かを入力する為のパネルだけだな」
「まあ、ゲームと違ってこれはリアル脱出ゲームだからねー。 謎解きも頭を使うクイズみたいなのが多いのかもー」
「ふむ。 紙には何が書いてある?」
「絵が描いてあるー」
「絵?」
「うむー。 爆弾が3個、矢が10本、ハートが10個ー。 それぞれの絵の間に記号の『+』が付いていて、ハート10個の後ろには『=』があるー」
「つまり足し算しろってか?」
「多分ー。 計算結果をパネルに入力すると鍵が開いて外に出られるんだと思うー」
「ふむ。 じゃあ23って入力するのか」
ピッピッ……
「3桁入力するようになってんぞ」
「ほへ、3桁ー?」
ふむー。 これを3桁の数字に変換するような計算をしろとー。
「麻美ちゃんは何かわかるか? ゲーム原作で何かヒントになるような謎解きとか」
「ゲーム原作ー……おー……おー! ちょっと計算してみるー」
「おお、何か分かったのか」
「多分ー。 えーっと、爆弾3個で180エメルで、矢が10本で100エメルで、ハート回復10個は200エメルだからー……480エメルー」
「な、何だそれ?」
「ゲーム原作のショップで買う時のそれぞれの金額を足した数字ー」
「ほ、ほう……それが正解だとしたら最初からかなり難しい謎じゃないか?」
「かもしれないー。 でも金額はシリーズ通して全部一緒だし、やった事ある人なら割とあっさりかもー」
ピッピッピッ
ガチャ
「開いたー」
「おお。 さすが麻美ちゃんだぜ! こんな牢屋からはさっさとおさらばしようぜ」
「なはは。 セリフが悪役っぽいー」
とりあえず牢屋から出て廊下を歩き、次の部屋へー。
「ここは?」
「この間取りはミュートハイム城の地下ー。 あっちに見える扉から1階に上がる階段があるけど、多分あそこからは出られない」
「何でだ?」
「あそこは原作でも封鎖されてて、結局地下道を抜けて行くしか道が無いからー」
「そうなのか……原作プレイ済みの麻美ちゃんが居て助かるな」
「なはは。 任せとけー」
ここまでを見てわかった事がある。 このリアル脱出ゲームは「グレイの冒険2 ソードオブレジェンド」のオープニングイベントである、ミュートハイム脱出のシーンを再現した物であろうという事だ。 ただ謎解きはリアル向けに変えられている。
「こっちー」
「おう」
何度も原作をプレイしている私は、当然ミュートハイム城の間取りも頭に入っている。 迷わず地下道へ向かう。
「ここから更に地下へ降りる階段があるー。 けど、ここも原作では謎を解かないと開かないようになってるから多分ー……」
扉を開けようとしても、やはりロックされており開かなくなっている。
「じゃあまずはこの周辺で、さっきみたいな紙切れが無いか探すか」
「うむー」
恐らくは扉からそう遠くはない場所にあると思われるー。 ただ、さっきみたいな紙切れに問題が書いてあるタイプの謎解きとも限らない。 例えば……。
「原作通りだとこの鎧の置き物の兜をー」
クイッ!
時計回りに回すと……。
チャラチャラチャラチャラチャーン……
「な、何の音だ?!」
「謎解きが正解だった時にゲーム内で流れるSEー」
「はぁ。 つまり謎解き出来たのか?」
「うむ。 ここはまさかの原作再現だったー」
「そ、そうなのか」
どうやら原作そのままの謎解きもあるようだ。 それにしてもどんな造りをしているのか気になるー。
「次は地下道だけど、中は暗いから灯りが必要ー」
「ここまでに灯りなる物なんか無かったぞ」
「大丈夫ー。 このゲーム、原作はとても丁寧かつ親切なデザインをしていて、必要な物は通り道で必ず手に入るようになってるー。 だから、灯りもこの扉を開けた場所に……」
ガチャ……
そこには灯りの点いたカンテラが置いてあった。
「このようにー」
「さ、さすが麻美ちゃんだな……原作何回ぐらいやったんだ?」
「早解きまで含めたら1000回はー」
「……想像以上過ぎる」
カンテラを手に持って、私達は地下道エリアへと進むー。 ゲーム内のイベントを実体験出来るリアル脱出ゲームとは、中々楽しませてくれるー。 どんどんイクゾー!
まるでゲームの世界に飛び込んだかのようなリアル脱出ゲームに、ワクワクが止まらない麻美であった。
「遥だ。 これ、ゲームやったことない人は最初の部屋で時間切れだろ」
「だ、だねぇ」




