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第1196話 準備

何の変哲も無い休日に奈央に呼び出された皆。

 ☆亜美視点☆


 今日は5月20日だよ。 別に何か特別な日ではないけれど、私達は「皆の家」に集まっている。 紗希ちゃんと東京の皆もだ。 というか宏ちゃん以外皆である。 わざわざ紗希ちゃんや東京組まで呼び出された理由というのは……。


「皆集まりましたわねー」

「何や何や……わざわざ休みに千葉に呼び出しよってからに」

「説明求むー」


 と、東京組は当然呼び出された理由の説明を求める。 まあそりゃあそうだよねぇ。 一応交通費は奈央ちゃん持ちとはいえわざわざ普通の休みに呼び出されたんだから。


「ふふふ。 長野旅行の時に思いついた夏の予定「富士登山」の準備を始める為ですわ!」

「きゃはは! 本当にやるつもりなのね」

「もちろんですわよ。 そもそも何で今までに思いつかなかったのかしら? 日本一の山、富士山への挑戦なんて私達に相応しい事を」

「あ、あはは……」


 相応しいかどうかはわからないけど、日本一の山というのは非常に興味がある。 しかし富士山級の山に登るというのは容易ではない。 まず体力問題だ。 富士登山に体力が必要不可欠。 更には高山病との闘いもある。 後は登山用の装備も必要になる。 今日はその装備の準備の為に皆は呼び出されたのだ。


「装備の調達てか」

「まあ、大事だよねぇ。 富士山はそこらへんの山とはわけが違うからね。 装備はしっかりしないと危ないからね」

「その通りですわよ。 西條グループに登山装備を扱う専門店チェーンがあるのでそちらへ向かいますわよ! さあ、私有バスに乗っていざ!」


 ちょっとテンションも高い奈央ちゃんに先導されてバスに乗り込み、いざ登山装備専門店へと向かうのだった。



 ◆◇◆◇◆◇



 40分程バスに揺られて到着したお店、西條グループの登山装備専門店。 やはり店舗の規模は非常に大きい。


「デカいナー」

「もう慣れたで」

「わたしはまだなれませン」

「私も慣れません」


 ミアさんとマリアちゃんはまだまだ西條グループのめちゃくちゃぶりには慣れていないようだ。


「さて、入りますわよ。 私も登山用の装備については詳しくはわからないので、店員さんにアドバイスをもらいながら選んでいきますわよ」

「りょ!」

「なははー!」


 店内に入っていく。 色々と登山用の道具が並ぶ店内。 リュックや靴なども、普通の物とは違う感じだ。


「店長さん店長さん」


 と、奈央ちゃんが店長さんを呼び出して、夏に富士登山を敢行する事を伝える。

 そして店長さんから富士登山をするにあたって必要そうな装備の説明を受ける。

 まず絶対に必要なのはリュック。 容量は大体30Lぐらいを推奨との事だよ。 リュックの中には雨具や着替え、飲み物や何やら大量に物を入れる事になるので、それなりの容量は必要との事。 デザインに関しては好きな物を選べば良いが、サイドポケットなんかがあるタイプの方がいいようだ。 次に登山靴。 丈夫で足にフィットするような物が良いとの事。 ここでは実際に履いて傾斜を歩かせてもらえるみたいだ。 靴は後で選ぼう。 後は雨具や防寒着だけど、それは特に常用している物でも問題ないとの事。 後はご来光を拝むつもりならライトも必要だという事。 2日目は早朝、暗い内に登山する事になるからだそうだ。 日焼け止めも必要だとか。 たしかに太陽に近付くわけだしね。 紫外線カットの物が良いとの事だよ。 後は必携ではないがストック等も好みでどうぞという事みたいだよ。


「では、それぞれ好きに選びましょう」

「はーい!」


 まずはリュックを選ぶよ。 紗希ちゃんや希望ちゃんはデザインで選ぶつもりのようだよ。 私はもちろん実用性で選ぶよ。


「ふむ。 重さとかも大事だよね」

「お嬢さんの言う通り、登山に慣れている人程、荷物の重量をグラム単位まで削ってたりするんですよ」

「おお……」


 やっぱり重量ぱ大事そうだよ。 少しでも軽いリュックを選ぼう。


「んー。 サイドポケットが豊富で重量もそこまで重くない物……うーむ? これかなぁ?」


 為に背負ってみる。 荷物が入っていないため何とも言えないが、中々背中にフィットして良い感じだ。


「うんうん。 これにしよう! お値段は……う、うわわわわわわ?!」


 た、高い?! 何でこんなに高いの?! 私、そんなにお金持って来てないんだけど。


「どうしましたの?」

「ね、ね、値段」

「値段? あぁ、登山用の道具はかなり値が張りますわよね」

「うおっ?! マジだ」

「わ、私こんなお金払えませんよ……」


 他の皆もやはり私と同じようだよ。 しかし、奈央ちゃんはキョトンとした表情でこちらを見ている。


「心配しなくても、皆のお代は全て私が払いますわよ?」


「えぇーっ?!」


 それはそれでやはりびっくりだ。 とはいえ奈央ちゃんなら全員分のお代を払うぐらいはわけないのだろう。 いつかは返さないといけないねぇ。



 ◆◇◆◇◆◇



 皆それぞれ気に入った道具を購入して店を出て来たよ。 後の小物関係は富士山に行く前に買おうという事になりました。


「では皆さん帰りましょうか。 『皆の家』でこれからの計画を話し合いましょう」

「これからの計画?」

「ええ」

「富士登山には体力や山の知識、登山の経験と色々必要な事は多いですわ。 オリンピックもありますが、空いた時間を利用して体力作りや登山の知識、実践なんかを進めていきますわよ。 その計画ですわよ」

「それって私もやるの?」


 と、紗希ちゃんが自分を指差して首を傾げる。 たしかに京都で生活している紗希ちゃん、更には東京の5人を都度呼び出すわけには行かないはずだ。


「まあ、皆忙しいだろうからね……というわけで! 紗希達には私が特別にトレーニングメニューとか組んであげるからそれをこなしてちょうだい」

「な、なるほど」

「まあ、何でもええわ。 富士山登るからには完登したいとこやしなぁ」

「フジヤマ! たのしみでス!」

「ウチもヤー」


 東京組、紗希ちゃんも何とか空いてる時間を利用してトレーニングをする事で納得したようだ。


 さて「皆の家」へと戻ってきた私達は、リビングに集まって計画を立てていく。 その中で一つの疑問が。


「そういえば宏ちゃんは? 宏ちゃんの登山装備とかどうするの?」

「あ、それは今度私が出向いて名古屋で揃えさせますわよ」

「あ、そうなんだね」


 奈央ちゃんは何食わぬ顔でそう言った。 そこまでやるのかぁ。 奈央ちゃんは妥協を知らないねぇ。


「いつ行くのよ?」

「明後日。 ペットショップが定休日だもの。 佐々木君には話をしてあるわ」

「彼女の私より先に会いに行くとは……姫百合さんも奈央もどうなってんのよ」

「なはは! 嫉妬ー」

「あんさんも行ったらええやないの?」

「私は6月に予定してるもの」

「別に良くないー?」


 それを聞いた奈々ちゃんは「うーん」と少し考え込む。 まあ、明後日に奈央ちゃんについて行って6月にも行けば済む話だもんね。


「まあついて来たいなら後で連絡ちょうだい」

「わ、わかったわ」


 さて、この後は奈央ちゃんの富士登山計画の話し合いだよ。

富士登山計画始動?


「奈央ですわよ。 やはり富士山には登っておかないと。 いずれは世界の霊峰も……」

「さすがに無茶だよ」

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