第1190話 遊びに行こう
宏太が名古屋へ行った2日後。
☆亜美視点☆
宏ちゃんが名古屋へ発ってから2日。 東京から来ていた弥生ちゃん達や、京都から帰って来ていた紗希ちゃんもそれぞれ戻ってしまった。
「さ、寂しいよ」
「何言ってるんだよ。 まだ十分騒がしいだろう?」
私が寂しがっていると、夕ちゃんは呆れたように溜息をついた。
「でもやっぱり宏ちゃんっていう存在は私の中ではかなり大きかったからね。 夕ちゃんもでしょ?」
「まあな。 悪く言えば悪友。 良く言えば親友。 それがちょっとの間とは言え居なくなるってのは多少なりとも寂寥感があるのはあるが、それを言っても仕方ないだろ」
「そうだねぇ」
夕ちゃんの言う通りだねぇ。 今生の別れというわけじゃないんだし、少しの間ぐらいは我慢だよね。 私なんかより奈々ちゃんの方がずっと寂しいだろうし。
「宏ちゃんがいない間は私が奈々ちゃんを支えなければだよ」
「そこまで重い話でもないだろうが……。 というか奈々美なら亜美がいれば宏太が居なくても大丈夫だろ。 逆に亜美が居なくなる方があいつはダメになる」
「そうかな?」
「あいつはあれでお前の事が大好きだからなぁ」
「えへへー」
ちょっと照れるね。 私も奈々ちゃんの事は大好きだし相思相愛だよ。
ピロリン……
「おっと、噂をすれば奈々ちゃんからメッセージが来たよ。 これから麻美と出かけるけど亜美達も来るか? だって」
「ふむ。 暇だし行くか」
「希望ちゃんにも声かけるねぇ」
という事で、部屋で勉強していた希望ちゃんも呼んで、奈々ちゃん達とお出かけする事になった。
◆◇◆◇◆◇
駅前に集合した私達。 今日は隣町まで遊びに行く事にしたよ。
「やほ奈々ちゃん。 宏ちゃんがいなくて寂しいから私達を誘ったんだね?」
「別に寂しいからってわけじゃないわよ。 どうせなら人数いた方が楽しいじゃない」
「なはは。 宏太兄ぃは向こうでお仕事始まったみたいだよ」
「ほう。 何か言ってたか?」
「仕事の方はこっちでやってるのと変わらないみたいよ。 ただ、たまに名古屋弁で話しかけられてわけわからんって言ってたわ」
なるほど。 名古屋に行くと周りの人は名古屋弁で話してるんだもんね。 まあ皆が皆ってわけじゃないんだろうけど。 でも仕事をする関係上、名古屋弁を勉強しないと不便だろうねぇ。 ちなみに私は名古屋弁まではマスターしてないよ。
「帰って来たら名古屋弁ペラペラになってたらどうしよぅ」
「別にどうもしないが、何言ってるかわからんのだけは勘弁だな」
「そだねぇ」
「他には何か言ってたか?」
「味噌カツ美味かったって言ってたのと、きしめんが美味かったってのは言ってたわ」
「食いもんばかりか……」
さすが宏ちゃんである。 まだ名古屋での生活も2日目だし、そんなに色々話題が出て来るわけもないか。
「今度の休みにお店の人と名古屋城見に行くって言ってたわね」
「名古屋城!」
「金のシャチホコー」
麻美ちゃんの言う通り、金のシャチホコで有名なお城だ。 私も行ってみたいなぁ。
「もう名古屋支店に馴染んでるのか。 コミュニケーション能力高い奴め」
「あはは。 宏太くんは誰とでも仲良くなるからね。 私とは大違いだよぅ」
自分で言って自分で落ち込む希望ちゃんであった。
◆◇◆◇◆◇
久しぶりに隣町までやって来た私達は、早速ゲームセンターへやって来た。 奈々ちゃんはストレス解消の為、パンチングマシンを思いっきり叩いていた。
「うわわ……過去最高得点を更新だって」
「ふぅ。 2日分のストレス溜まってたからかしらね」
「関係あるのかそれ?」
「お姉ちゃんのパワーが上がってるだけー」
「はぅ。 宏太くん、いつもこんな力にで叩かれてたんだ……」
たしかに。 よく五体満足でいられるね。 やっぱり頑丈なんだ。
「さすがに宏太相手にフルパワー出したりしないわよ?」
「フルパワー出したらさすがのあいつも病院送りになるだろうな……」
「病院なら良いけど……」
「はぅ……墓地送りに」
「なるわけないでしょ……」
と、奈々ちゃんは呆れているけど、今のパンチを見せられてはね。 今、高校生ぐらいの男子がパンチングマシンで遊んでいるけど、奈々ちゃんの出したスコアには敵わずに「すげースコア出てるぞ!」と騒いでいる。
「なはは。 まさか女の人が出したとは思うまいー」
「だろうねぇ」
「奈々美はバレーボールよりボクシングやった方が良いんじゃないか?」
「嫌よ。 私は顔殴られたくないもの」
奈々ちゃんなら殴られる前にワンパンでKOすると思うんだよね。 きっとすぐに世界チャンピオンになれるよ。 そんな事言ったら私がワンパンでKOされるから絶対に口には出さないよ。
「あ、私あれやるぅ」
「ん?」
珍しく希望ちゃんが反応したのは何やら変わった見た目の筐体だ。
「ボケねこミュージック……」
「こんなのまであるのか……」
「なはは!」
「これは何なの?」
「これはいわゆる音ゲーだよぅ。 上から降ってくるノーツにタイミングを合わせてボタンを押すの」
「なるほどな……別にボケねこじゃなくても良くないか?」
私もそう思う。 希望ちゃんはそんは夕ちゃんの言葉をスルーしてゲームを始めてしまった。
「な、何か思ってたより本格的な音ゲーみたいだな」
「うわわ。 凄く速いよ」
「はぅはぅ!」
しかしそんな高速で流れるノーツに遅れる事もなく、確実に攻略していく希望ちゃん。 希望ちゃんは動体視力が並外れているから、あの高速で流れて来るノーツも簡単に攻略出来るらしい。 何だかんだパーフェクトを出してしまう。
「希望姉凄いー」
「いつもマイペースでのほほんとしている希望があんな素早くキレキレで動くなんてね。 ちょっと面白かったわ」
「本当だよね」
「ナマケモノが素早く移動しているのを目の当たりにしたみたいに……」
希望ちゃんは唇を尖らせてそんな事を言うのだった。
その後は麻美ちゃんがUFOキャッチャーでスゴテクを見せてくれてたりしたよ。
◆◇◆◇◆◇
ゲーセンを出た私達は次にカラオケへやって来たよ。 久しぶりだね。 カラオケ……麻美ちゃん……あっ。
「ぼぇー! ぼぇぼえーん!」
「あ、あはは……」
麻美ちゃんはとにかく音痴である。 もはや元歌の音程がわからないほどに別歌になってしまう。 ただ本人は凄く上手に歌えていると思っているので、指摘しても認めないのである。 夕ちゃんが優しく「いや、中々味のある歌い方だな」と嘘を吐いて褒めるもんだから更に調子に乗って歌いまくるというヘルスパイラルが繰り広げられる。
「ふー! 満足じゃー!」
「し、死ぬかと思ったわよ」
「み、耳がおかしくなった……」
「はぅ」
「……」
麻美ちゃん意外の4人はぐったりとしてしまい、カラオケどころではなかった。 麻美ちゃんとはからに来ない方が良いかもしれない。
「カラオケと言えば、宏太の新歓でカラオケパーティーするらしいわよ」
「そうなんだ?」
宏ちゃんはそれなりに歌上手いし、きっと人気出るよ。
久しぶりに隣町で遊ぶ亜美達。 宏太は今頃何をしているやら。
「紗希よ。 麻美の歌はなんとかならないわけ?」
「無理そうね」




