27.知らぬが仏
「ねぇねぇ、もしかしてねずみさんも魔法が使えるの?」
『んー?私は水と土、聖魔法が使えるよ』
私とマシロは、巣穴の近くの森を散歩していた。といっても、私はマシロの頭の上に乗せてもらっているので歩いてはいないんだけど。
せっかくお喋り出来るようになったんだし、近くを散歩しながらということになったのだ。
「さ、三種類も…」
『あれ、マシロも三種類使えるよね?』
一般的には、そんなに何種類も扱えないものなのだろうか。そういえば、マシロの兄妹たちは一種類しか覚えていなかったような…?
「私はホワイトフェザーだから…でも、氷魔法はなんで使えるようになったか、よく覚えてないんだよね…」
不思議そうに、マシロが首を傾げる。たぶん、私があげたトレントの実が原因だと思う。出会った時のマシロは瀕死の状態だったから、最初に食べやすいトレントの実をあげたはずだ。
『トレントの実のおかげだよ。ランダムでスキルや耐性を得られるみたい』
「そうなの?あ、だからねずみさんは魔法を使えるんだね!」
マシロが納得、という感じでうんうんと頷く。確かにマシロからすれば不思議だよね、普通の動物なら魔法なんて使えないはずだし。私も今朝までそうだと思ってたもん。
一方私はというと、ホワイトフェザーだから、というところが気になっていた。どうしてホワイトフェザーだと、魔法が一種類じゃないんだろう?こっそり鑑定させてもらおう。
【ホワイトフェザー】白の祝福を受けた者だけが進化出来る、数少ないフェザー種。聖なる使いとされ、人間や動物を襲うことはない。光、聖魔法に恵まれ、魔法力に優れている。
なるほど、マシロはフェザー種の中では珍しい種族なんだ。人間や動物を襲うことはないって、そもそも魔物としてもかなり珍しい気がする。白の祝福を受けるのは難しいともあったし、努力した分属性にも恵まれてるんだね。
思い返してみると、マシロのランクはD+だった。マシロの兄妹でもD+なのはリーダー格のヒイロだけだったし…もしかして、マシロってかなり強いんじゃ?
「ホワイトフェザーが強いのかどうかはわからないけど、進化するのはかなり難しいって教えてもらったよ。でも、私なら出来るかもって言われたからね、頑張っちゃった」
えへへー、なんて、かわいらしい声でマシロが笑う。マシロはホワイトフェザーになるために、たくさん努力を重ねてくれたんだ。私もそれに応えたい、なんて思ったんだけど、
『教えて、もらった?』
マシロ、今教えてもらったって言ったよね?…誰に?
私以外にマシロと関わっていたのが、兄妹とリラさんくらいしか思い浮かばなかった。
リラさんは人間だからそんなことは知らないだろうし、第一言葉が通じないはずだ。となると兄妹だろうけど…あの兄妹たちが教えてくれるとは思えない。
私が困惑していると、マシロの口からとんでもない名前が告げられた。
「ツイントレントさんたちが教えてくれたよ?」
…はい?
私とマシロは散歩を早々に中断し、巣穴に戻ってきていた。否、巣穴というか、なんというか…ともかく、私はマシロの頭に乗ったまま、巣穴の上、見慣れた双子の木に向き合う。
『…鑑定』
【名前】なし
【種族】ツイントレント
【ランク】B+
【レベル】73/90
【HP】1929/1929
【MP】1265/1265
【攻撃力】692
【防御力】1151
【魔力】1088
【素早さ】321
【器用さ】794
【固有スキル】根を張る、植物操作
【通常スキル】吸収Lv9、毒霧Lv8、濃霧Lv8、HP自然回復Lv7、MP自然回復Lv5、硬質化Lv3、擬態Lv9、水魔法Lv7、土魔法Lv9、星魔法Lv4、世界の理Lv3
【耐性】状態異常無効、物理耐性Lv8、精神異常耐性Lv7、魔法耐性Lv5、水吸収、土無効
【称号】森の主、博識
………私、とんでもない所に巣穴作ったね?
私は自分の無知さに頭を抱えながら、マシロを介してツイントレントと対談することとなった。




