25.二度目の進化
『お、終わった…』
全部で二十四種類あった木の実を改めて鑑定し終えた私は、流石に疲れたので巣穴の中でぐったりとしていた。やはりスキルLvが上がると鑑定内容が増えていたようで、名前と味しかわからなかった木の実の効果を覚えるのにかなり時間がかかってしまった。
うぅ、しばらくの間は鑑定したくない…
「ピッ!」
ぐったりとしている私の所に、マシロがとことことやってくる。嘴にツイントレントの木の実をくわえていて、私の手に持たせてくれた。どうやら疲れている私に、差し入れのつもりらしい。私がマシロの頭を撫でると、嬉しそうに目を細めていた。
トレントの実よりも甘みが強く、サイズも大きいツイントレントの実。糖分を欲している私は有難く頂くことにした。
『おいしー…』
ツイントレントの実をかじりながら、ほっと一息つく。甘くて水分もとれて、私の好きな木の実の一つだ。しかも効果はそれだけでなく、トレント、ツイントレントの実には優秀な効果まで付いていた。
【トレントの実】トレントから実る、レア度Aの食用可能な木の実。みずみずしくて少し甘い。食べるとランダムでスキルか耐性を得られる。
【ツイントレントの実】ツイントレントから実る、レア度A+の食用可能な貴重な木の実。みずみずしくて甘く、市場に出回ることはほぼない。食べるとランダムでスキルと耐性を得られる。
このトレントシリーズの木の実、食べるとスキルや耐性をランダムで得ることが出来る。私のスキルや耐性の多さ、マシロがベビーフェザー時代から氷魔法を扱えたのはこの木の実のおかげだった。
私は自分のステータスを鑑定し、増えたスキルと耐性を確認する。
【名前】なし
【種族】ゴールデンハムスター
【ランク】F-
【レベル】1
【HP】202/202
【MP】185/185
【攻撃力】185
【防御力】192
【魔力】183
【素早さ】187
【器用さ】181
【固有スキル】木の実マスター、動物好き
【通常スキル】鑑定Lv4、体当たりLv1、かじるLv1、鎌鼬Lv4、正拳突きLv2、麻痺吐息Lv3、穴を掘るLv6、ハイジャンプLv2、MP自然回復Lv2、隠密Lv2、水魔法Lv2、土魔法Lv2、聖魔法Lv2、製薬Lv2
【耐性】毒耐性Lv2、麻痺耐性Lv4、落下無効、衝撃無効、幻惑耐性Lv2、暗闇耐性Lv3、炎耐性Lv4、氷無効、魔法耐性Lv4
【称号】転生者、名付け親、スキル好き、小さな勇気、????の加護
うんうん、食後だからステータスも上がってるけど、ちゃんとスキルと耐性も付与されてる…なんだがハムスターらしからぬ物騒なスキルだけど。
一気にLvが3も上がってるから、やっぱり何か木の実マスター以外にも影響してるみたい。スキルや称号がいつ増えたかなんてわからないけど、他のスキルLvや耐性Lvが2のところをみると、最近増えたのかな。とてもじゃないけど今は調べる気にならないから、いつか調べてみよう、いつか。
しばらく休んだ後、私はマシロに引っ張られ外に出ていた。今日も天気は良く、雲一つない晴天だ。マシロが私を引っ張り、外へ連れ出した。つまり、
『進化するの…?』
そう、マシロはもうすでにレベルが最大まで上がっている。ヒイロたちの襲撃でドタバタしてしまったが、いつでも進化出来る状態だったのだ。私と共に巣穴の外に出たということは、ついに進化することに決めたんだと思う。それなら…
『えいっ!』
「ピ?」
私はハイジャンプでマシロの背中に飛び乗る。初めて鑑定以外のスキルを意識して使ってみたけど、意外と違和感はない。案外他のスキルもすんなりと使えそうだ。飛び乗られたマシロは面食らっているけど、私はただ飛び乗った訳じゃない。
恐らく、マシロはこの進化でヒイロたちと同じような成体になる。せっかく大人になるのに、血や泥で汚れたままなのは如何なものか。私もマシロの血が付いたままだったし、私の水魔法で洗い流そうと思う。
魔法の使い方はわからないけど、こういうのはイメージが大事なはず、大丈夫、私は出来る。
私は両手を空に掲げ、シャワーのようなものをイメージしながら集中する。すると、私の両手の先からちょろちょろと水が生成され始めた。
「ピュイッ?!」
私が魔法を使ったからか突然水が背中にかかったからかはわからないけど、マシロが驚いた鳴き声をあげる。最初は戸惑っていたマシロだけど、私が血や汚れを洗い流してあげると大人しくしてくれた。
『綺麗になったね!』
「ピュルルルルー!」
いつもみたいな、綺麗で真っ白な羽に戻ったマシロ。これでいつ進化しても大丈夫だね。
マシロは羽をばたつかせ水滴を飛ばした後、私の正面に向き合うように立った。ゆっくり目を閉じると、マシロの頭上に淡い光が発生する。白い光はマシロの全身を包み込み、強く発光すると消えた。そして、
『………っ!』
そこには、太陽の光に照らされ白く輝く、綺麗なきれいな鳥がいた。体躯は以前よりも遥かに大きくなり、すらりと伸びた真っ白な長い尾羽。表情からは幼さが消えたけど、頭のてっぺんのくるんと丸まった羽は健在だった。
『おめでとう、マシロ』
この目でまた、あなたの成長を見守ることが出来た。
私はなんて、幸せ者なんだろう。




