22.あるびの
わたしがうまれたとき、まわりにはすでにからのわれたたまごがよっつあった。
たまごのよこにはきょうだいたちがいて、わたしはいちばんさいご。
きょうだいたちは、わたしがたまごからでてきたのをよろこんでくれたけど、おとなたちはちがった。
わたしをみて、はずれだといった。
きょうだいたちはみんなはいいろなのに、わたしだけはまっしろ。
きょうだいたちはごはんをもらえるのに、わたしだけはなにももらえない。
おとなたちは、わたしをみない。
しばらくすると、きょうだいたちもわたしをみなくなった。
いつもあそんでくれていたのに、おはなししてくれていたのに、どうして?
いちばんおおきなおにいちゃんが、おまえはあるびのなんだっておしえてくれた。
にばんめにおおきなおにいちゃんが、おまえははずれなんだっていった。
さんばんめにおおきなおにいちゃんが、おまえはいらないんだっていった。
ふたごのおねえちゃんたちが、きもちわるいっていった。
わたしがかなしくてないていたら、まわりにはだれもいなくなっていた。
かなしくてかなしくて、さびしくてさびしくて、わたしはあるいた。
とちゅうでぷよぷよしたなにかにあったけど、おはなしはできなかった。
しかたがないからたたかって、わたしはあるいた。
でも、いつしかわたしはあるけなくなった。
あしはいたいし、しろいはねはあかくなってしまった。
このままひとりで、わたしはきえるんだっておもった。
きがつくと、めのまえにはちいさなねずみさんがいた。
ねずみさんはわたしのはねをさすって、やさしくなでてくれた。
ねずみさんはわたしにごはんをくれて、すむばしょをくれた。
ねずみさんはわたしのしろいはねをにこにこしながらなでて、わたしになまえをくれた。
いつも、いっしょにいてくれた。
わたしはしっていた。
ねずみさんは、よわいどうぶつだ。
まものとちがって、たたかえない。
だから、わたしがまもってあげるんだ。
わたしは、ねずみさんのためにたくさんがんばった。
ねずみさんがくれるごはんはおいしくて、たべるとどんどんつよくなれた。
ねずみさんがくれるやさしさは、あたたかくてどんどんがんばろうっておもえた。
ねずみさんのためなら、なんだってやれる。
そう、おもってた。
わたしたちのまえに、きょうだいたちがあらわれた。
さいごにみたときよりおおきくなってるけど、どんなにかわっててもわかる。
だって、きょうだいだもん。
きょうだいたちは、わたしたちにおそいかかってきた。
わたしはたたかいたかったけど、からだがいたくてうごかなかった。
これじゃ、ねずみさんをまもれない。
ねずみさんは、たたかえないのに。
わたしが、ねずみさんをまもらなきゃいけないのに。
ねずみさんが、わたしからはなれる。
ねぇ、どうするの?
ねぇ、いっちゃやだよ。
ひとりに、しないで。
きょうだいたちが、よってたかってねずみさんにおそいかかる。
ねずみさんはなんとかいきているみたいだけど、ねずみさんじゃ、きょうだいたちにはかてない。
やめてよ、ねずみさんはなにもわるくないのに。
ねずみさんは、よわいよわいただのどうぶつなのに。
どうしてわたしのからだはうごかないの?
なんのために、わたしはつよくなったの?
ねずみさんが、わたしのめのまえにきのみをくれた。
わたしはそれをたべて、ふたたびなんとかたちあがる。
ねずみさんをまもるためにうごこうとしたら、ねずみさんがしずかにくびをふった。
わたしに、わらってくれたようにみえた。
つぎのしゅんかん、おにいちゃんのはなったほのおがねずみさんをおそった。
まっかに、そまる。
やだよ、やだよ。
ひとりにしないで。
きえないで。
わたし、ねずみさんにあえたからおおきくなれたんだよ。
ねずみさんがいてくれたから、がんばれたんだよ。
大好きなんだよ、ねずみさん。
あなたはわたしの、ひかりなのに。




