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『異世界転移しない女子中学生の私』が『界の賢者』⁉  作者: 藍銅 紅@『前向き令嬢と二度目の恋』2巻 発売中


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第2話 三年二組 村上美沙②


「で? 何があったんだ?」

「あ……、はい……」


三年二組の教室から場所を変えて、学年主任室。

教室で使っているのと同じ机と椅子が並べられているけど、全部の机と椅子が黒板の方を向いているのではなくて、カタカナの「ロ」の字型に机が並んでいた。

ここで先生たちが学年会議とかをするのかもしれない……なんて、余計なことを思ったり。


そこの一つに私たち……緑川君と広崎さんが席を一つずつ開けて、座る。

沖田先生も座った。


さて……どこから説明しよう……。


悩んでいたら、緑川君が右手を上げた。


「時系列的に、申し上げたほうが分かりやすいですよね?」


時系列……なんて、難しい言葉を使うなあ……。つまり、出来事順……ってことでいいのかな?


「えっと、十二時ジャストくらいに『リンゴーン!』って教会の鐘の音みたいなのがいきなり鳴ったんです」

「村上さん、時間までよく覚えているねえ! しかもジャストって!」


感心したように、広瀬さんが声を上げた。


「あー、うん。お腹空いたなー、昼休みまであと何分だろう……、まだあと十分以上もあるなーとか……って、ちらちら何回も時計を見てたんだ」


「……そんなにお腹空いていたの?」


広崎さんが目を見開く。


「パニックも起こさず、おにぎり喰らってたもんなあ」


緑川君が笑った。


「緑川君だって、サンドイッチ食べたでしょ!」

「そりゃあ、村上さんがおにぎり食べたからだよ」


……ええ、すいていましたよ。鐘の音なんかより、お腹が鳴った音が教室内に響いたらどうしようと恥ずかしく思う程度には。


「で、保健委員の渡辺さんが『相川君が消えた』って叫んだんです」

「消えた……?」


眉根を顰めた沖田先生。

私たち三人は一斉に頷いた。


「確かに、いなかったんです。どうしたのかなって思っているうちにまた『リンゴーン』っていう鐘の音が響いて、今度は隣の席の井上君が消えました。叫んだのが堀田さん」

「消えた……。確かにさっきの教室には……生徒が半数程度しかいなかったが……」

「まとめて書きます。何か紙、下さい。あとペンも貸してください」

「あ、ああ……そうだな」


沖田先生から受け取った紙とペンと広崎さんにすっと渡す。


「広崎さん、書いてくれる? 私、字、あんまりきれいじゃないの」

「え、ええ……。分かったわ」

「緑川君は、何か意見あったら、その都度言って。広崎さん、それも書き加えてくれる?」

「了解!」

「ええ。書き加えます」

「じゃ、もう一回、初めから言いますね。十二時に、三年二組の教室に、鐘の音が鳴り響いた」


広崎さんが紙に「十二時。三年二組。教室内。鐘の音」と書いた。


「鐘の音が鳴って、生徒が消えた、その順番をまず言います」


一番目は相川君。(渡辺さんが叫んだ)

二番目が井上君。(堀田さんが叫んだ)

三番目、上野さん。

四番目、遠藤さん

五番目、奥田君。

六番目、加藤さん。

七番目、木下君。

このあたりで、教室内パニック。永倉先生が「落ち着いて」と叫ぶ。


「ええと、八番目に消えたのって……誰だっけ?」

「倉田」


緑川君が言った。


「倉田の次が、紺野。で、佐倉、清水、鈴木、相馬、田中、内藤、中野、根岸、野原……」

「すごいね、緑川君。よく覚えていたねえ……」


感心していってみたら「違う」って緑川君が首を横に振る。


「出席番号順……席順に消えて行ったのを覚えているだけ。ええと、長谷川はさっきの教室にいたから、出席番号一番から十八番までが順に消えたんだ」

「なるほど……。長谷川さんから後は残っていたよね……」

「とすると、ウチのクラスは三十二人だから、残ったのが十四人か……」


広瀬さんが、紙に「残った生徒、十四人」と書いた。

それから、名簿みたいに名前を列記する。


十九 長谷川

二十 広崎

二十一 福島

二十二 堀田

二十三 本田

二十四 松本

二十五 緑川

二十六 村上

二十七 目黒

二十八 八木

二十九 湯浅

三十 由良

三十一 吉谷

三十二 渡辺


私は出席番号二十六番。

出席番号がもっと前だったら、母が作ったおにぎりも食べられずに、空腹のまま異世界かどこかに転移……だったのかもしれない。


背中にぞわっとした冷たさを感じつつ、広瀬さんが書いてくれたメモをじっと見る。


「私たち……、どうして残ったのかな……?」


思わずぼそっと呟いた。


「……異世界転移系のラノベ読んでいると、クラス全員が、一瞬で転移したとかはよくあるんだけど」

「うん」

「主人公一人だけ、現実に残されて、他のクラスメイトは全員異世界に転移させられたとかいう話もあって」

「うん」

「だけど、ほら、四時限目の終わりのチャイムなっただろ?」


ああ、そうだ。あの間の抜けた「キーンコーンカーンコーン」の音がして、クラスメイトが消えるなんて、オカシナ現象が止まったんだ……。


「チャイムの音の後は、誰も消えなかった」

「異世界の鐘の音を、チャイムが止めた⁉」

「それとか時間的なリミットだったのかも。異世界と三年二組が繋がるのは十分間だけとか、何かしらの制約があるとか」

「そーいうものなの?」

「いや、分かんないけど。チャイムの音が、鐘みたいな音とぶつかり合って、作用が消えたとかかも」


ふーんと思いながら、小さく笑う。

兄が見ているアニメの世界の話みたいだ。


「原因も理由も分からない。と、すると……、これで終わりなのかどうかはわからないよね……」


ぼそりと緑川君が言う。


「緑川君、また誰か消えるかもって思ってる?」

「怖いこと言わないでよ緑川君!」


私の声と広崎さんの声が重なった。


全員が消えるまで、鐘の音が鳴りやまない……だったら、まるでホラー映画みたいだけど。


「いや……、なーんにも分からないけどさ。ラノベ展開を考えると、何でもアリになっちまいそうで……」


沖田先生がガリガリと頭を掻きながら、困ったように口をへの字に曲げた。


「……集団幻覚とかならよかったんだがなあ」


ガリガリガリガリ。更に頭を掻く。

と、同時に、学年主任室のドアがノックされた。


「ああ、はいどーぞ」

「失礼します」


入ってきたのは、クラス担任の近藤先生。


「保健室の生徒たちのほうは、芹沢先生と武田先生と保健の原田先生に任せてきました。まだまだ話を聞ける状態じゃないですしね。落ち着かせるまで保健室で待機させます」

「ああ、ありがとう。こっちはこの三人がかなり冷静でな。助かったが……」


ガリガリガリガリ。頭を掻き続ける沖田先生。学年主任とはいえ、生徒が消えたなんてことには、簡単には対応できないんだろうなあ。


「……近藤先生、保健室に行ったのはこいつら三人を除いて、出席番号十九番から三十二番の生徒……で、あっていますか?」


近藤先生はちょと考えてから「ああ、はい、そうです」と答えた。


「出席番号一番の相川から出席番号十八番のヤツは……いないんで、あっているか?」

「あ、ああ……、そう、です、ね……」

「とすると、原因は分からんが、とにかく、三年二組の出席番号一番から十八番まで、クラスの半数の生徒が消えた……ことになるが……」

「消えた……」

「手の空いている先生たちで学校内を捜索。本当に学校内にいないのか。消えたにしても……どこに行ったのか……。あと校長に報告と……、防犯カメラの確認とか、警察もか」


緑川君の言ったように、本当に異世界に転移したとかは……、この時点では私も先生たちも思わなかった。


それに、私たちができることは、現状説明以外にはないし、消えたクラスメイトがどうなったのかなんて、分からないし。


だから、この日は。


近藤先生たちが学校中を捜索した。

でも、消えたクラスメイトはどこにもいなかった。


沖田先生から説明を受けた校長先生が、警察に連絡をした。


先生たちが手分けして、ウチのクラスの保護者全員にも連絡をした。

非常事態が起こりました。生徒を迎えに来て下さい。


やってきた保護者に事情を説明しつつ、後日保護者会とか何とかを開催するので、今日はお子さんと一緒にお帰り下さいとか。明日は急遽学校閉鎖しますのでお休みになりますとかなんとか伝えて。


当然、三年二組の教室は、立ち入り禁止にされた。教科書や鞄、スマホなんかの私物もそのまま。お弁当もだ。

警察の現場検証の後になったら受け取り可能になるらしいけど……。腐らないかな?  

まだ春先だから、二日や三日は大丈夫? どうなのかな?

……私、おにぎり、食べておいてよかったなあ。

なんて。


とにかく、事件のあった日は、迎えに来てくれた母と一緒に私も帰宅した。

夕方、高校から帰ってきた兄と、仕事から帰宅した父に今日の出来事を話す。


父は「は?」という感じで、ポカンとしていたけど。


兄は……何か、真剣に考えこんでいた。


「兄……さん?」


じっと見たら、兄がふっと笑った。


「ダイジョーブ! 異世界転生だの異世界転移だの、アニメ展開が起こったとしても、美沙のことは守るから!」


ニカッと笑った兄の顔に……、私はほんのちょっとだけ安心した。


いざ何か、非現実的な出来事があったら。

アニメ、ラノベ好きってだけの、単なる高校生の兄に、何かできるとは思えない。

だけど、気持ちは嬉しかった。


「……ありがと、兄さん」

「おう! まかせろよ!」


頭をガシガシと撫でられて、わたしの肩までの髪がぐちゃぐちゃになった。

……ううう、ただでさえ、癖がつきやすい髪なのに。


「ぐっちゃぐちゃにしないでよねえええええ!」

「あっはっは!」


兄を睨んで、洗面所に向かう。

洗面台においてあるブラシで髪を整える。

……と言っても、ざっとブラシで髪を梳く程度だけど。


あー……、髪の毛もっと伸ばして、リボンとかゴム紐とかで結んだほうが楽かなあ。

でもあんまり長いと、髪を洗ったりドライヤーかけたりが面倒なんだよね。


毎回悩んで、結局、胸のあたりまで髪の毛が伸びたら、肩のあたりでぱっつんと切る……を繰り返している。


我ながら、女子力低いなあ……。


広崎さんなんかはきっと丁寧にブラッシングをしているんだろう。すんごいきれいなサラサラストレート。たとえるのなら、かぐや姫とかみたいだし。お手入れ方法とか、聞いてみようかなーなんて。


「ま、今は私の髪どころじゃないか」


ブラシを置いて、リビングに戻る。


お母さんが早くも夕ご飯の準備を始めていて。

兄はテレビのリモコンを手に、チャンネルをあれこれと変えている。

父はスマホで通話中。明日の会議がなんとかとか言っているから、仕事の電話かな? 帰宅してまでお疲れ様です。


「おかーさん、夕ご飯、なあに?」

「今日はうどんにするわ。いろいろあったから、消化に良いモノ食べなさい」

「はーい」


いつも通りのリビング。

いつも通りのあったかいごはん。


ほっとする。

だけど……多分私は、冷静とか落ち着いているとかなのではなくて、出来事が受け止められていないのだと思う。


いきなり人間が消えた。しかもクラスメイトの半数くらいが。

え? は? マジですか⁉


そんな感じで思考停止したまま。停止しているから、怯えたり泣いたりもできないのかも。


……なんて思いながら、食べるうどん。

母の作るごはんはしみじみ美味しい。


「ごちそうさま。あったまったよ」

「よかったわ。お風呂入る?」

「うん、そーする」


自分の部屋に戻って、着替えとか下着とかを用意はしたけど……、なんとなくそのままベッドに寝っ転がってしまった。


ぼんやりと、天井を見る。


緑川君とか広崎さんと話がしたいな……。

でも……私の荷物は三年二組に置きっぱなし。スマホは通学鞄の中だ。


まあ、スマホがあったところで、話をしたいと思ってみても、いざ話そう! とか気合いを入れても、何も話せないかもしれないけどね。


非現実的な出来事。

これから私たちどうなるの?


なーんて、緑川君や広崎さんに聞いても分かんないとしか答えようがないだろうし。

近藤先生や沖田先生に聞いても……、先生たちだって、保護者対応とかで手いっぱいだろう。


毛布を被る。そして、目を瞑っていたら……そのまま朝まで眠ってしまった。



   ***



どんな時でも朝は来る。

クラスの半数が異世界に転移したとかいう非現実的な事件が起こった次の日も。


私は寝コケてしまったけど、多分沖田先生とか校長先生とかは、眠れない一夜を過ごしたのではないかな……とか思ったり。


で、朝。

母の作ったハムエッグを食べている最中に、学校から母のスマホに、保護者連絡メールが届いた。


「美沙ちゃん、今日と明日は全校生徒お休みで、明後日は登校ですって! でも、教室には行かないで、体育館で全校説明会? みたいよ?」

「えっと、明後日の登校時間は?」

「十時に体育館集合ってあるわ。お弁当もなし。説明だけで帰宅ってカンジかしらね」

「……親も一緒?」


集団失踪事件の説明会に、生徒だけを呼ぶってことはなさそうだなあ……なんて、ぼんやりと思った。

それに、生徒向け、保護者向け、別々に説明会なんて二度手間だよね。

一気に片づけたいっていうのは沖田先生っぽいななんて私は思った。


「生徒向け説明会だけど、希望者は親も参加可能ってカンジ」

「ふーん……」


二日間。

私は家でぼんやりしていたけど。

テレビのニュースとかインターネットの世界ではあれこれいろいろ騒がれていたみたい。


さすがの兄も、アニメじゃなくてニュース番組を追いかけている。

顔が真剣。


私はなんとなく、兄の横で、ニュース番組を見ているけど……。


自分の中学校の校舎の映像とかが、テレビのニュースで流れるなんてなんだかなあ……。

現実とは思えなくて、やっぱり私はぼんやりとしたまま。



ボケーっと過ごしているうちに、全校説明会の日がやってきた。

私は制服に着替えて母と一緒に学校の体育館に向かう。


体育館に集まった生徒の前で、近藤先生や沖田先生が、三年二組に起こった非現実な出来事を説明する。


小説やアニメに毒されたのではなく、現実だと話し出した沖田先生。


更に、この二日間で、非現実的な出来事を沖田先生たちも、実際に体験したらしい。


まず、十八名の生徒が消えた次の日の昼間。時間はやっぱり十二時過ぎ。

三年二組の教室を確認しようと、沖田先生や校長先生たちがドアを開けたところで『リンゴーン!』という鐘の音が一回だけ、鳴った、らしい。


そして。


『相川、井上、上野、遠藤、奥田、加藤、木下、倉田、紺野、佐倉、清水、鈴木、相馬、田中、内藤、中野、根岸、野原、十八名、全員無事。また、連絡する』


三年二組の黒板に、手紙のような文章が、いきなり現れたらしいのだ。


沖田先生の話によると、チョークは動いていなかった。

ただ、黒板に文章が現れた。


沖田先生は、とっさに、手にしていたスマホで、黒板の写真を撮った。


で、更に次の日。

やっぱり十二時過ぎに、鐘の音と共に『こちら、第三界の地球というところの、中央大陸に位置するアイオアディ王国』との文章が浮かび上がったらしい。


意味不明だ。


第三界の地球?

アイオアディ王国?


何なんだそれは。


体育館の檀上、天井から吊り下げられたスクリーンには、スマホで撮ったらしい写真二枚が投影されていた。


全員無事との文字を目で見てほっとはしたけれど。

もう一枚の写真にある書き途中の文章みたいなものは、どれだけ見ても意味不明。


壇上でマイクを握っている沖田先生が、言う。


「十二時前には、黒板に文字は現れておりませんでした。十二時過ぎ、どこからともなく鐘の音が鳴り、元々黒板に書かれていた文字は消え、黒板に別の文字が浮かび上がる仕組みのようです。実際に、この目で見ても信じられませんが、現実に起きたことです」


生徒たちや保護者たちがざわつく。

誰かがいたずらしているのではないのか。

黒板に文字が浮かびあがるなんて、ありえない。

消えた生徒はどうなった。

本当に無事なのか。

何かの偽装ではないのか……。


「警察による現場検証も済ませております。信じられませんが、生徒十八名が消えたのは……実際に、起きたことです。文字が勝手に消えたり浮かんだりするのも……」


沖田先生の言葉の途中で、保護者の一人が手を上げた。


「あ、あのっ! 何が起こったとかそんなのはどうでもいいんです! うちの子は……、アツシは本当に無事なんですか⁉ 帰って来るんですよね⁉」


アツシ……というのは、ええと、井上君だったかな?

私はクラスメイトの男子生徒の下の名前までは、正確には憶えていない。


だけど。

本当に無事なんですか?

帰ってくるんですか?


親御さんの気持ちは……、知りたいのはそれだけだよね……。


「……申し訳ありません、分かりません。ただ、黒板に浮かび上がった文字を信じるのならば、消えた三年二組の十八名は、今、第三界の地球とやらの、アイオアディ王国という場所にいる……ということになりますが」


そんなの信用できるのか。

先生たちまで夢でも見ているのか。

アニメに毒されているんじゃないのか。

真っ当に返答しろ。

警察は何をしているのか。

組織的な誘拐とかではないのか。


消えた十八名の親たちが一斉に怒鳴る。

体育館内は怒声や喚き声で混乱状態。


説明会は打ち切られるようにして、終了。


大半の生徒や保護者や大人しく帰宅したけど。


消えた十八名の親たちは……、沖田先生や近藤先生に詰め寄っていった。


怒鳴る気持ちはわかるけど……、先生たちだって、こんな非現実的な出来事に対処するマニュアルだってないんだろうし。


私も、どうしていいのか分からないけれど。

異世界に転移させられた十八名とは違い、私は、私たちは、教室に残された。


……残された。


三年二組の教室に居なければ大丈夫なのか。


場所で呼ばれたのか、それとも三年二組に在籍しているから、その名簿か何かによって、順番に呼ばれたのか。


異世界に行くことから逃れた私たち残りの十四人は……この後、無事に、何も起こらず、このまま、この世界で普通に授業を受けて、高校入試をして、この学校から卒業……できるのだろうか?


中学校を卒業して高校生になって、大人になった時に、いつかふっと呼ばれるかもしれないのか。


分からないことが多すぎる。


怖いとか不安とかより、分からな過ぎて、座り心地が悪い感じ。


モヤモヤしたまま、これから一生ずっと過ごすのか。


とにかく残された私たち三年二組の十四名はどうなるんだろう?


……学校に行ったら、三年二組の教室に行ったら。


後からでも、私たちも異世界に転移させられるのかもしれない……。


ぶるっと体が震えたのは、春の風がまだ冷たかった……からじゃない。


これから先の未来がどうなるのか。


ようやく……少し、怖い気がしてきた。


非現実感が薄れたのかな?

本当に起こったことだと……ようやく実感したのかな、私……。

でも、まだ、どこか、気持ちがふやふやしている。


ある日、突然、何事もなかったみたいに、クラスのみんなが帰って来るんじゃないかな……なんて、希望的観測。


まあ……私ができることなんて、何にもないよね……なんて、このときの私は思っていたのだった……。



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