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上司と部下  作者: 霧時雨
4/9

4本目

「やぁ馨、お疲れ様。」


「おう、佐伯か。お疲れさん。」


声をかけてきたのは佐伯(さえき) (すず)

本郷とは同期であり、共に支え合いトップクラスまで上り詰めたもう1人の実力者。その実力は女性でありながら、本郷にも引けを取らないほどである。


「どう、例の新人君。戦闘能力は高く評価されてるみたいだけど?」


「あぁ、伊月か。現場では優秀だな。戦闘能力、危険察知、判断力、どれも問題ない。まるで何年も経験を積んだベテランみてぇだよ。」


「現場では…か。てことは他のこと?」


あぁ…と、ため息を吐く本郷。

その後、任務後のことを話していく。


「なるほどねぇ、そりゃ大変だ。戦闘なら訓練と任務をこなしていけば、ある程度は改善される。だけど報告とかその他に関してはねぇ。」


余程吐き出す相手がいなかったのか、その後も本郷の愚痴は止まらない。佐伯もそれを飽きる様子もなく聞き、どこか楽しそうに会話を続ける。


常に命の危険に晒されている任務。その中で親しい者と話が出来ることは、彼らにとって、この上ない幸せなことなのだ。本郷も佐伯もそれを嫌という程、理解している。同期である2人は、最も長く共に生き、最も親しい相手であることは疑いようがない。


「まあ、よかったじゃない。アンタほどの人間を悩ませる相手が出来て。そいつ、大物になるよ!」


「こんなことで大物にならなくていいんだよ!」


くだらない事を言い、笑い合い、自分が、相手が、生きていることを確認する。


「あ、こんな時間になっちゃった。そろそろ行かないと。じゃあね、馨。」


「おう、死ぬんじゃねぇぞ佐伯。」


「誰に言ってんのよ。私を殺せるのはアンタくらいよ。」


そう言い残して佐伯は去っていく。

同期との会話で気持ちも足取りも軽くなった本郷も、自室へと向かう。明日もまた、この場所へ帰るために。

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