表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
上司と部下  作者: 霧時雨
3/9

3本目

「また勝てなかった。すぐには無理だな。」


任務を終えた伊月はそう呟いた。

新人にも関わらず、組織の中でもトップクラスの実力を持つ伊月だったが、それでもライバル視している者が何人かいる。その中でも、共に働く本郷は最も近くにいるが最も遠い存在となっていた。


「経験の差か…いや、それだけじゃない気がするな。でも一体なんだろう。それが分からないと、背中すらも見えないんだろうな。」


そう言う伊月は悔しそうで、しかし何処か楽しそうだった。追いかける相手がいる、超えたいと思える相手がいる。それは研鑽を続ける伊月にとって喜びであり、それを達成した時の高揚感は何物にも代えられない。


「今は鍛えるしかないな。経験は焦っても手に入らない。それなら今は出来ることをするだけ…か。」


自分の中で答えを出し、踵を返してトレーニングルームへ向かう。任務から終わったばかりの時間なら空いていることが多く、伊月はそのタイミングによく利用している。

人がいる時に伊月がトレーニングをしていると、周りの人は伊月の観察を始める。それもそうだ。飛び抜けた実力のある新人であり、本郷と肩を並べて仕事をすることの出来る逸材。そんな彼に憧れる者も少なくない。その張本人がトレーニングをしているのだ。興味を持つなというほうが無理な話。

話しかけられるわけではないので伊月としても邪魔をされているわけではないが、やはり視線が気になり、人が少ない時間帯を選んでいる。


「うん、この時間はやっぱり気楽でいいな。」


身体を動かしている間は自分のことに集中できる。余計なことを考えず、ただ目の前のことに没頭する。

それが伊月にとって、かけがえのないことであり、この上なく幸せな時間なのだ。

しかし、ふとした時に頭をよぎる上司の顔。


「…あの人はどうしてあんなに強いんだろう。戦闘技術も、精神面も、何がそんなにあの人を強くさせるんだろう。」


いややめよう、と雑念を払いトレーニングを始める。

今はそれしかない。伊月のトレーニングは夜まで続いた…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ