2ー2
ハチ公作戦なんて言ったって。ただそれらしき場所で待つってだけのことなんだわ。
映画の『ハチ公物語』って観たことある? あれ絶対に泣くよ。
と、まぁ話はそれたけど。最初にアキラさんが行き倒れた場所には待てども暮らせども来ない。
ほかに情報はないとなると、そのバイトをクビになってしまった可能性が高くなる。
うぉ。運命の再会から一気に手詰まりだよ。
残る一手は病院だけど。
「アケミさん、お願いっ!!」
わつしは親戚で看護師をしているアケミさんに手を合わせてお願いした。
「気持ちはわかるけど、だめなものはだめなのよ。患者さんのプライバシーは守らなくちゃね」
はぁ。やっぱり断られてしまった。
アケミさんは、うちのお母さんが盲腸の破裂で死にかけたことがきっかけで、看護師の道を進んだ。
そんな人に規則を破れなんてとても言えない。
「そうだよね。ごめんなさい」
わたしは今日も二人分の弁当を平らげた。
いつになったら食べてくれるのかな?
ショートメッセージも電話も、お仕事の邪魔にならない時間にかけてるつもりなんだけど。
せめて最初のショートメッセージだけは返信して欲しかったな。
そんな気持ちを込めて、嫌われるの覚悟でショートメッセージを送ることにした。
『いい加減、読んだのなら返事を返してくれてもいいんじゃないですかっ!? 毎日二人分のお弁当食べてるから確実に太るし、アキラさんのためにお弁当作っているのに無視するなんてひどいっ』
本能で打ち込んだ。
やっちまった。
こんな強気で書いたものに返信なんてくるわけない。
わかっているけど、あれから一ヶ月もたってるんだよ? 気持ちが煮詰まって苦しいんだからっ。
元彼に浮気されたのとはまったく種類の違う悲しみに、ずっととらわれている。
このままだとわたし、発狂しそう。
それから五分後くらいに返信がきた時には、ひゃって悲鳴が口から飛び出していた。
『それはごめん。かえって迷惑をかけていたようだね。僕は、どうすればいい?』
会いたい。
素直にそう思った。
恋人じゃなく、わたしの完全な片想いだけど。
だから、そのまま素直に『会いたいです』って送った。
しばらくしてまた返信がきた。
『いいよ。どこで会う?』
愛おしくて笑いがもれた。
「いつ、とは聞かないんだ?」
わたしはもう、とっくにアキラさんに恋をしていた。
つづく




