表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/43

7ー4

 スーパーにはなんでもそろっているけれど、昨今の値上げでかなり食費も制限されてくる。


「唐揚げと卵焼きと、あとなにがいいかな?」


 マサミくんはそうだな、と言って、野菜コーナーへ向かって行く。


 サラダ? それともおひたし?


「妹に元気になって欲しいから、ほうれん草の胡麻和えの作り方を知りたいな」

「なるほど。でも、教えられることと言えば、茹でて胡麻とあえるだけだよ?」


 たぶん、誰でも作れるんじゃないかな?


「フルーツもなにか欲しいところだけど。どうする?」


 わたしのいつもの食卓は、食後にフルーツを食べるのが恒例となっている。


 フルーツが高ければ、ゼリーとかにしちゃうけど。


「フルーツか。母さんはミカンが好きかな?」

「ん〜。時期的にミカンがないからゼリー作ってみる? そうしたらミカンの缶詰め使ってミカンゼリーになるけど」


 ゼリーだって、寒天と混ぜるだけだから割と簡単なんだけど。


「じゃあそうするよ」


 そして取扱が簡単な粉寒天とミカンの缶詰めをカゴに投入。


 豆乳も身体にいいんだけど、今回は見送ろう。


「ねぇ、マサミくん。わたし、どうすればいいのかな?」

「なにを? そしてなぜそれを僕に聞くの? これで二回目だよ」


 ああ、そうだったよね。前の時もわたし、マサミくんにすがってしまったんだった。


「僕と付き合えばいいなんて言ったけどさ。そんなにアキラさんのことが気になるんだったら、何回でも気持ちをぶつけてみればどうかな?」

「断られても?」

「断られても。だって、きみが一番ご飯を食べて欲しい相手はアキラさんだろう?」


 はっとした。


 わたし、そんな簡単なことに気づかなかったなんて。


「あのね、マサミくん」

「いいよ。唐揚げは難しいかもしれないけど、今はいろんなツールがあるから、本気で料理しようと思えばならう場所はどこにでもある。でも、食べて欲しい相手はかぎられているよね?」

「……うん。ありがとう、マサミくん」

「いいんだ。新聞勧誘には気をつけて」

「うんっ。また明日」


 マサミくんはひらひらと手を振った。


 わたしの足はもう駆け出していて、アキラさんの住むアパートへ足を進める。


 ああ、買い物してきたもの、全部わたしが持ってきちゃった。でも、大丈夫だよね。マサミくんなら、いくらでも料理できちゃいそうだもんね。


 気持ちが前のめりに吐き出しそうになる。好き。それだけなのに、わたしはアキラさんにご飯を食べてもらいたいから。


 新聞勧誘のおじさんなんてもう怖くない。


 アキラさんちの合い鍵、返してなくてよかった。


     つづく



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ