7ー2
眠い授業を乗り越えたら、血気盛んなわたしたちは教室を出て購買へと向かう。
そこはどんな宝の山なのだろう。
個人的に今は焼きそばパンを食べたい。
うちの購買で今川焼きを売っていることに気がついて、焼きそばパンと今川焼きを買ってしまった。
いいもん。やつれたから太るもん。
マサミくんにはあきれられたけど、食欲があるのはいいことだよねって笑ってくれた。
そんなわけでお決まりの、体育館裏の日当たりのいい場所でお昼ご飯と洒落込む。
日当たりはいいけど、体育館の屋根がちょうど影になっていていい場所なんだ。
こんなことって、手弁当で教室で食べてなかったら気づかなかったよね。
「ん〜。今川焼きおいしい」
「頭脳労働には甘いものの補充が必要だよね」
「たしかに。しみるぅ〜」
焼きそばパンと今川焼きを交互に食べると口の中がえらいことになる。しあわせすぎる。
「それで? 僕とおつきあいする気になった?」
「おつきあいまではいかないけど。なんでわたしなの? マサミくんだったら、ほかの子とも相性がよさそうなのに」
「そこは惚れた弱みだよ。気づいたら好きになってたってことあるでしょう? 僕だって、同じだよ」
お父さんがCDかけていたっけ。昔の曲。気づいた時にはもう愛していたって。あれを聞くたびにわたしはアキラさんに片想いをしてるんだって自覚して、録音させてもらったのだった。
「そっか。じゃあ、こういう関係って、マサミくんに失礼だよね」
「そこはほら、弱り目に祟り目を待つつもりだから。気にしなくていいよ」
「弱ってるけど、マサミくんのこと好きにならないかもしれないよ? それでもいいの?」
「いいよ。元々好きだって言うつもりもなかったんだし」
そっか。普通はそこであきらめるんだよね。
わたしはなんか、突っ走っちゃったんだよな、アキラさんに。
迷惑だってわかっているつもりだったのに、最低だな、わたし。
「ああ、みんながみんなそうだと思わなくてもいいから。ハナちゃんはハナちゃんなりに恋をした結果だし。まだ結論まで行ってない可能性もあるかもしれないし」
「結論なら出てるよ。マサミくんは優しいね。でも、わたしの失恋は決定事項だから」
そう、あのアキラさんが嘘までついてわたしを拒絶したのだから、これ以上しつこくするのはよくないもの。
「はぁ。恋ってわけわからないよね」
焼きそばパンをかじりながら、空をあおいだ。薄墨みたいに流れる雲が、傷口にしみる気がして、ほんの少しだけ顔をしかめた。
青春ってのもよくわからないや。
つづく




