7ー1
「やせた?」
だいじを取って、学校を一日休んで登校したら、マサミくんにそう聞かれた。
「やせてないよ。体重変わっていないし」
もし、本当にやせていたのだとしたら、体中の水分が涙になってこぼれてしまったせいなのだと思う。
わたしはまた少しだけアキラさんのことを思い出した。
目の前で倒れた人がアキラさんだと気づけたのは奇跡だった。
もしあの日、アキラさんが倒れなかったら、一秒でもその馬に居るのが違っていたら、こんな気持ちにならなかったのにな。
「そう? 風邪治ってよかったね」
「うん。いろいろとありがとう、マサミくん」
小説投稿サイト、そろそろ更新しなくちゃいけない。
ファンタジーは読むのは好きだけど、書くのはすごく難しいんだ。
あと、なんか不思議な言葉が多い気がする。
わたしやっぱり、単なる本好きな料理人にはなれないんだろうな。
どうせなら、誰かのお嫁さんになりたい。
マサミくんのことは好きだけど、友だち以上の気持ちにはなれなくて。そこを履き違えてしまうと、山田の二の舞になりかねないから慎重になろう。
「お弁当は作ってきたの?」
マサミくんに聞かれて、ふるふると首を左右に振った。
「さすがに体力落ちて、フライパンをまだ振れないんだ」
うちはガスコンロだから、体調が万全でなければできるだけコンロに近づきたくない。そう言ってごまかした。
ごまかす必要なんてないのにな。マサミくんはうちのお勝手見て知っているから、わざわざそんなことを言う必要なんてなかったのに。
「ねぇ、マサミくんが好きな食べ物ってなに?」
「あ〜。いろいろあるねぇ。ベーコンの肉巻きだとか、卵焼きだとか。パスタはガッツリミートソースが好きかな。なんで?」
「作らないよ、わたし」
「うん。知ってる」
その理由をマサミくんは知っているから無理強いしにいでくれるのは助かる。
「僕はお昼は購買でパンを買おうと思っているんだけど、一緒にどう?」
「え、初めてだ。買う買う。わつしも購買でパン買う。なにがおいしいの?」
「あの戦歴を勝ち遂げて手に入れたものならなんでも格別にうまいよ」
戦歴、と聞いて笑ってしまったけれど。
お小遣い持ってきてよかった。
「じゃあお昼になったら一緒に購買に行こう」
マサミくんのその言葉が、まるで初めてデートに誘われたかのような特別感があって、複雑な気分になった。
やっぱりわたしは、まだ恋を知らないのかもしれない。
つづく




