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6ー4

 夢を見た。死んだはずのナツミさんが、アキラさんと腕を組んで歩いている。二人は公園のベンチに座ると、お弁当を広げた。


 ちらし寿司とイカの唐揚げ、それにマカロニサラダが並べられた。


 アキラさんはそのどれをも最高の笑顔でおいしいと食べている。


「前にストーカー気質の女の子がいて。僕に無理やり弁当を渡すんだ。礼儀だから食べたことにしたけど、見てない時に捨ててしまったんだよ」


 夢の中なのにわたしはすごくショックを受けている。


 そりゃそうだ。知らない女子高生が作ったお弁当なんて、気持ちが悪くて食べられないよね。

 

 最初はたまたま栄養失調だったから食べてくれただけだもの。


 それなのにわたし、なんて図々しいことをしていたのだろう。


「最近の女子高生って、みんなそうなのかな? 親切のゴリ押しってやつ? 知らない女の子からお弁当を作ってもらうっていうのも、なんかねぇ」


 心底嫌そうにアキラさんは言った。


「本物のカノジョ以外の人が作ったものを食べるのって、勇気がいるよね」


 違うっ。アキラさんはそんなこと言わないっ。


 ……でも、わたしはそう思ってる。


 わたしは自分のことをそう思ってるんだ。


 ああ。終わりにしよう。


 こんな夢の中で正解を探し出そうとすることも、アキラさんへの想いもお弁当も。


 冷凍食品でなにが悪いの?


 ジャンクフード? もしろウェルカムだよ。


 そして最後に夢の中のわたしが裏切られて泣いていた。


 泣くなよ、わたし。


 失恋ぐらい、引きずるなよ。


 だってわかっていたじゃん。


 アキラさんと再会できただけで、おにぎり食べてもらえただけでしあわせじゃない。


 これ以上望んだら迷惑だよ。


 マサミくんはどう思う?


「僕? 失恋している女の子って、簡単におちるよね」


 そんな風に言われち(ったら、もうわたし、いいところがないじゃないよ。


「よし。終わろう」


 夢の中でわたしに言った。わたしはずっと泣いていたけど、泣きやんだらきっとあきらめている。  


 そんな予感がするんだ。


 お弁当作ってるぐらいで得意にならないでよ。


 手抜き料理をあまくみない方がいい。


 時短料理でいいじゃない。その方が合理的だもの。


 ふっと、ナツミさんのはにかんだ笑顔が浮かんだ。


 わたしはずっと、ナツミさんにあこがれていたんだ。


 だから、ナツミさんと同じ人を好きになれば、ナツミさんになれると勘違いしていたんだ。


 そんな簡単なこと、ずっとわからないでもやもやしていた自分にチョップしてあげたい。


 アキラさん、ごめんなさい。もうお弁当のゴリ押しはしません。


 さようなら。


     つづく



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