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5ー5

 お弁当をタッパーにつめると、わたしたちはあわてて家を出た。


 もしアキラさんが先に帰っていたら、盗聴器の話をしなくちゃいけない。


 それを話したらきっと怒って、今日の分のお弁当も食べてもらえないどころか、縁を切られるような気がする。


 だから、できるだけ早くアパートに行って、盗聴器を探さなくちゃならない。


 使い方はマサミくんがわかるって言ってたけど、そんな物騒な機械、よくわかるな。


 アパートに入る前に、昨日の新聞勧誘のことを話すと、マサミくんも怒ってくれた。


「それ、現場で盗撮していた山田が出て行くべきだよ。あいつ、腰が引けたんだろうな」


 山田はとことんぽんこつなようだ。

 

 部屋の中は誰もいないけど、一応ノックしてから鍵を回す。


「さてと。早いところ盗聴器を探すから、ハナちゃんは自分のことしていていいよ」 

「え? わたしも探すの手伝うよ?」

「いいってことよ。それに……」

 

 マサミくんの持つ機会がぶっと鳴った。


「一個目発見。さて、なん個あるのかな?」

 

 なんと合計六個も盗聴器ぎしかけられていた。おそろしい。それだけの財力を持つ山田だからこその犯行だから、マサミくんは記録のための写メをたくさん撮っていた。


 これで山田が金輪際アキラさんにもわたしにも手出しできなくなったらしい。

 

「ありがとう、マサミくん」

「いいってことよ。それに今日は初めてリンゴを剥いたからね。教えてくれてありがとう」

「どういたしまして」


 ぐずぐずしていたら、また誰かと遭遇しそうだから、お弁当を置くなり部屋を出て鍵をかけた。


「でも、いつまでこんなことつづけるつもり?」


 自分でも思っていたことをマサミくんに指摘されて、言葉につまる。


「好きなんだ? アキラさんのこと」

「うん。でも、だから迷惑はかけられないの」

「そっかぁ。でももう、アキラさんもハナちゃんに関わっちゃったからね。今さら迷惑もないと思うよ。むしろ、関わった分、たくさん迷惑かけるべきじゃない?」


 意外な言葉にわたしは感心してしまう。


「そんなことって……きやっ!?」


 その時、車の影から山田があらわれた。咄嗟のことだったけど、瞬間的にマサミくんがわたしの前に立ちはだかってくれた。


「なんの用? こっちは盗聴の証拠を持ってるんだけど?」

「じゃあその盗聴器返してくれよ」

「嫌だね。どうせなら権力にこびる女の子を相手にすればいいのに。なんでハナちゃんなんだよ?」

「うるさいな。俺はこびない奴の方が好きなんだよ」


 まぁ、だけどさ、とマサミくんは今のやり取りをスマホで録音していたことを証明して見せる。


「ストーカー規制法案ってのがあってさぁ、山田の被害者、ハナちゃんで三人目なんだわ」


 えっ? わたし三人目だったの?

 

「その都度親父さんがもみ消すのはわかってるんだけど、そっちはそろそろ本気で叱られるんじゃない」

「くそっ。くそ、くそぅっ!!」


 捨て台詞を吐くと、山田はかけ足で去って行った。


「これで山田にしつこくされることはなさそうだね」

「うん。なにからなにまでありがとう、マサミくん」


 あらためてお礼を言うと、マサミくんは意外な過去を口にするのだった。


     つづく


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