5ー3
マサミくんは自分で言った通り、わたしのことを山田から守ってくれていた。それがどんなに心強いか。
だけど人にはいろんな側面があるから、どうしてマサミくんがこんなに優しくしてくれるのかをどうしても知らなければならなかった。
そうじゃなければ、山田の二の舞になったりしたら目も当てられない。
だから昼食の時、マサミくんが購買でパンを買ってきて食べようとしていたところをつかまえてしまった。
「マサミくん、唐揚げ好き?」
世の中に唐揚げ嫌いな男子はほとんどいないだろう。
案の定、マサミくんはにやりと笑った。
「大好物」
そして、わたしはお弁当を広げてマサミくんに唐揚げを進呈した。
「ありがとう。もしかしてハナちゃんの手作りだったりする?」
「うん。結構自信あるんだ」
そう。山田はわたしのお弁当がまずかったと言いふらしてくれたけど、自分では満点をあげたいくらいだ。
「いただきます。おいひい」
男子でもおいひいって言うんだな、なんて思っていたら。
「実は山田に嫉妬してたんだよね。ハナちゃんのお弁当、いつもおいしそうだったから」
「そうだったんだ?」
「それなのにあいつ、まずいとか言っただろ? なんかもう頭に血がのぼったね。この世で冷凍食品以外のお弁当を作ってくれる彼女をけなすんじゃねぇつてさ。それで、いつかやりこめてやるって見張ってたんだ」
マサミくんは鼻にシワを寄せて憎々しげに言い放った。
「ふん。いい気味。盗撮に盗聴までしてたんなら、警察に突き出されてもおかしくないんだからさ。もっとも、あいつの父親がもみ消すだろうけどね」
「それ、ありそう」
なんなら過去のいざこざもみんなから聞き始めていたから、やっぱり困った人なのだろう。
「それでハナちゃんにお願いがあるんだ」
「なに?」
「できれば僕に、料理を教えてくれないかな?」
「え? いいよ」
お願いと聞いて、ややこしいことを予測していただけに、肩透かしを食らってしまった。
「実は妹が入院中でさ。母さんがつきっきりなんだ。それでしばらく、手料理食べてないってのもあるけど、妹に弁当作って持って行ってあげたいんだよね。母さんにも、だけど」
「素晴らしい心がけだね。いいよ。放課後、家に帰ったらアキラさんのお弁当作るから、一緒に見てかまわないよ」
「やった。ありがとう、ハナちゃん」
「こちらこそありがとうだよ」
手を組んだわたしたちを尻目に、山田がお弁当を持って教室から出て行く姿を認めた。
敗者はきまったようだね。ふっふっふっふっ。
つづく




