5ー2
「山田とよりを戻せって? そんなのできるわけないじゃない」
「なんで? この動画ばらまかれたら、ハナよりこのおじさんがこまるんじゃない?」
いいかげんむかついた。
「じゃあばらまけばいいじゃんよ。わたしはアキラさんに恩を感じているし、お弁当を食べさせてあげたいだけよ」
「俺も同じの食べたいんだけどな」
「それも無理。あんたの好きにしていいけど、盗聴は立派な犯罪だから。あと、山田なんてだいっきらいっ。前も言ったけど。わたしの人生の汚点はあんたみたいなのと一度でもつきあったことだよ。これ以上しつこいとさすがに警察呼ぶことになるけどいい?」
「はいはい。そのくらいにしておきなよ、山田」
完全に手詰まりになったわたしと山田の間にクラス委員のマサミくんが割って入った。
「はい、山田、スマホ没収」
ぼんやりしている間に、マサミくんが山田の手からスマホを奪い取り、例の動画を削除した。
「委員長、横暴!! いいよ、コピーとってあるから」
「心配しなくていいよ、ハナちゃん。こいつ、コピー取るとかバックアップとかできないタイプだから。あと、盗聴器も取り外してあげるから放課後一緒に電気屋行こうね?」
「なんだよ、委員長。俺をダシにしてハナ口説いてるんじゃねぇよっ」
その時、マサミくんの目がすっと細められて、素早い動作で山田の動きを完全に封鎖した。
「いてててててて」
「女の子を脅迫しておつきあいしようだなんて、とんでもない外道だな。心配いらないよ、ハナちゃん。これからは僕がきみのことを守ってあげるから。主に山田からね」
「え?」
突然のことで、なにを言われているかわからなかった。
「こう見えても、昔の映画で自己流の空手を習得してるんだ。あくまで自己流だけど、役には立つんだよ。山田、もうスマホを悪いことには使うなよ」
そう言うとマサミくんは、山田のスマホを放り投げた。
山田はあわあわとスマホをキャッチした。
「ありがとう、マサミくん。助かったよ、とても」
「そう? ならいいけど。あいつしつこいから、しばらく僕と一緒にいるといいよ。それと盗聴器の件、本当に早い方がいいから」
「うん。ありがとう」
人間って、いろんな人がいるんだな。山田とか、新聞勧誘のおじさんみたいなのもいれば、アキラさんやマサミくんみたいな人もいるんだから。
動画もだけど、盗聴器のことも解決しそうでよかった。
わたしのせいで、アキラさんに迷惑をかけちゃいけないもん。
それに、そういうことからもう会えなくなっちゃうのって、悲しいもんね。
つづく




