5ー1
次の日、学校に行くと山田に待ち伏せされた。
「今度はなんの用?」
「担任の先生にこれ見せたらなんて言われると思う?」
山田は自分のスマホからわたしとアキラさんがアパートから出てくるところを動画で見せた。
「無神経な奴っ。いいよ、やましいことはなにもしてないもん」
「担任はそう思わないんじゃない? 少なくとも僕はこれを見てとても不愉快だったけど」
「あんたさぁ、こんなの撮ってるくらいだから、新聞勧誘のおっさんに乗り込まれたところも記録してあるんじゃないの?」
「ああ、あれね。なかなかおもしろかったよ。ハナがあんなに震えるなんて、初めて見た」
本気で無神経でむかつく。
「なんて警察呼んでくれなかったのよ!? あのままわたし、なにかされてたらどうするの?」
「そういう場所に自分で行ったから悪いんじゃん」
そうだけどさ。
山田なんかに助けられたくないけどさ。
「ねぇ、このおじさんとつきあってるの?」
「この人はほかに好きな人がいます」
「でももう死んだ存在だろう?」
山田が勝ち誇った顔をしてわたしを見た。
「ナツミって名前の人。興信所に頼めば、そんなのすぐわかるって。ちなみにこのアキラっておじさんと俺らは十歳も年が離れてる」
「それがなに?」
「ハナを受け入れたら、瞬間ロリコンの犯罪者確定するけど?」
「どから、わたしのことなんて好きにならないんだってば。山田はなにがしたいの? わたしにあやまれって?」
「そうだよ、あやまれよ。そうじゃなきゃ、この映像拡散するよ。アキラって人の仕事先の人が見たら、どうなるかな?」
「……はいはい、ごめんなさいねっと。これでいい?」
「コピーもとってあるから、これだけ消しても無駄だよ?」
「あとは? なにがお望み?」
「そうだな」
山田はふいにかがみ込んでわたしの耳もとに口を近づける。
「作って」
「なにを?」
やましいことは、なにもない。なのに、こんな風にアキラさんのことをけがされたくない。
「だから。もう一回つきあおうよ。それで、弁当作ってよ。おじさんには弁当作ることになったんでしょ?」
その詳しい口ぶりに、まさか、と頭を駆け巡る。
「盗聴器でもしかけたの?」
「まぁね。これで、おたくらがやましいかどうかがはっきりするだろう?」
「バカじゃないの?」
話を聞くだけでもとても疲れる。
「バカだよ。でも!こんな俺にしたのはおまえだぞ、ハナ」
なんだかひっちゃかめっちゃかになってきた。
つづく




