4ー6
その後、アキラさんは冷めちゃった生姜焼きとポテトサラダとかき卵汁をおいしそうに食べてくれたけれど、こころはどこか別の場所にあった。
わたし、だめだなぁ。こんなことぐらいでなにも考えられなくなっちゃうなんて。
「あの、ごめんなさい。わたし、毎日ここに通うつもりでしたけど」
「無理もないよ。怖かったのでしょう? 無理しなくていいよ。フライパンや食材なんかも買ってきてくれたから、ちゃんと自炊する。ハナさんに心配かけないから、もう倒れたりしない」
「でもっ」
わたしが作ったご飯を食べて欲しい。
恥ずかしくてそこまで言えない。
不思議。ファミレスの時はあんなに図々しく言ってたくせに。なんか変。
「それでも、僕のことが心配?」
「……はい。なんか、忙しくてあまり食べてないみたいな顔色をしているから」
やだ。わたしったらそんなにずけずけと言わなくてもよさそうなものなのに。
だって、心配なんだもの。
「ああ、ゴミ箱見られちゃったかな? たしかに、忙しい時はカップ麺やコンビニ弁当なんかですましてるけど、こうして生きてるんだし、問題ないよ」
「アキラさん」
わたしは告白することにしたっ。
今言わないと、心配している理由がわかってもらえないから。
「わたしっ、アキラさんが好きですっ」
アキラさんはおどろいてかたまってしまった。
「好きだから、好きな人が栄養不足で倒れたりするの嫌なんです。だから。お弁当を作ります。それ、持ってくるので食べてください」
「その返事は早いほうがいいよね? 僕はもう、誰のことも好きになれないんだ。だから、ハナさんの気持ちに応えてあげることができない。それでも僕なんかのためにお弁当を作ってくれるって言う?」
「はいっ。それでもわたし、アキラさんにお弁当を届けに来ます。お弁当置いたらすぐ帰ります。だから、お弁当まで拒絶しないでください」
「本当に困ったな。……お弁当箱は、洗っておけばいい?」
「……はいっ!!」
やったっ。
こうしてお弁当作りに後戻りしちゃったけど、なにもしないよりはいいよね。
帰りは遅くなったからって、家までアキラさんが送ってくれた。
そして、アキラさんは深夜のバイトに出かけたのだった。
怖いこともあったけど、進展もあったような気がする。明日もがんばろうっと!!
つづく




