3ー1
いよいよ土曜日。約束の十時前、つまり九時半には待ち合わせのファミレスについてしまった。
どこか変じゃないよな、なんて鏡で何回もチェックしていたら、油断していた姿をしっかりとアキラさんに見られていた。
「あっ、あのっ」
「こんにちは。で、いいのかな? まだ早いと思ったんだけど、ハナさんの方が早かったね」
アキラさんは正面のソファに座った。
すぐにウェイトレスさんが注文を取りにきた。
「ドリンクバーにする?」
アキラさんに優しく話しかけられて夢見心地になる。うん、やっぱりアキラさんイケボ。
「はい。それでお願いします」
「ケーキとか食べる?」
「えっと。じゃあチーズスフレをお願いします」
注文を完了してから気がついた。アキラさん、たばことか吸うのかな? 勝手に禁煙エリアに陣取っちゃったけど……。
わたしの心配をよそに、さっそくケーキが届いたわたしと共に、アキラさんがドリンクバーへと向かう。
「アキラさんはなにを飲むんですか?」
「コーヒーだよ。ハナさんは?」
「わたしはアイスティーです」
しかも、ちょっと背伸びしてノンシュガーにするんだ。
それよりわたしたち。ほかの人たちからみたらどんな関係に見えるんだろう? 名前にさんづけして呼び合っているけど、年の差はあるから恋人っていうより先生と生徒とか?
ぎゃあ〜。店内で不審な雄たけびをあげないように気をつけなくちゃ。
席に戻るなり、アキラさんがコーヒーを飲む姿にときめいてる。
「あの。コーヒーだけでいいんですか?」
よか、よかったらケーキ半分食べませんかって喉まで出てきながら飲み込んだ。
「うん。だってハナさん、お弁当作ってきてくれたんでしょう?」
大天使降臨だぁ〜。ひゅ〜ひゅ〜。ファミレスの端から端まで走り回りたいほどテンションあがったぁ。
「は、はいっ。お口にあうかわかりませんけど」
「でも、ナツミに料理教えてもらったんでしょう?」
「ああ、それなんですけど。料理した方がいいよっていう教えだけなので、料理はもっぱら独学なんです」
「そうなんだ? でもこの前のお弁当、とてもおいしかった」
山田ぁ〜。聞いたか、ごるぁ〜っ!! 誰だよ、弁当がまずいだの言いやがった野郎は。もうなぁ、山田なんかのためにお弁当なんて作ってやらないんだからなぁ。外野で勝手に悔しがれ、このモブ野郎が。
……いけない。乙女らしからぬ攻撃的な思想になってきた。ケーキ食べながら落ち着こう。
つづく




