2ー4
次の日、学校で山田につかまった。
マジウザいから。
「なんの用?」
今はアキラさんのことだけで頭が一杯なのに。邪魔しないで欲しい。
「そんなこと言うなよ、ハナ。よりを戻して欲しいんだ。もう浮気はしない。約束する」
「ならわたしが未来を予言するよ。山田は浮気する。そしてわたしはもうあたらしい恋っていうか初恋と出会ったからもろもろ無理。以上!」
「以上って。つれなくするなよ」
「そっちこそ、なれなれしくしないでよ。もういいでしょ? 自分の席に戻りなよ?」
って言ってもまだ休み時間なんだけど。
「あたらしい恋ってどういうこと? もしかして本当にそっちが先に浮気してたの?」
「なんとでも思えばいいよ? わたしの人生で唯一の汚点があるとしたら、それは山田とノリでつきあってしまったことだけだ」
友だちみんなで遊園地に行って、観覧車の中で告白されたから。
もしかしたら遊園地に行くことも、観覧車で二人きりになったのも、全部山田がみんなを巻き込んだ作戦だったかもしれないのに。
それを見抜けず、つきあったのが間違いだった。
「……ごめん。わたし、本当に好きな人ともう出会っちゃったんだよね」
「それが初恋? 僕がきみの初恋じゃなくて?」
……あのさぁ。
「わたしの初恋は、わたしだけのものだし、山田はわたしの初恋なんかじゃなかったよ。むしろクラスのみんながそれぞれ恋人がいてあせってたってのもあったけど。山田のこと、本気で守りたいと思ったことはないから」
守りたい、なんて自分の口から出てきて正直驚いてる。でも、本当にそうなんだ。
「きみはきっと、その人にだまされてるんだよ」
「そうだとしても。これはわたしの人生で、わたしの恋だから。山田はもうわたしの人生にいないしいらないの。お願いだからもうこれくらいで勘弁してよっ」
悲しかったり、泣きたかったり、苦しかったりする時はなにかを食べる癖がついちゃっているから、今猛烈にチョコレートが食べたいっ。
でもダイエット中なんだ。
「ハナのこと見損なったよ」
「それでいいよ」
また面倒なことを吹聴するんだろうけど、勝手にすればいいんだ。
アキラさんのことで妥協したくない。誰にも理解されなくても、誤解されたままでもいい。
わたしはわたしの正しさを貫くよ。
それが、初恋に対する礼儀だからさ。
つづく




