no title 2
悪鬼羅刹の如く、その喉を猛らせ
暴れる蜥蜴の生き血を啜る。
全ては移ろうので御座います。
今こうしている間にも、様々な物が。
はて、何を話していたかな?
まぁ、そんな与太話は終わりにしましょう。
さぁ、お手を拝借。
結ンデ開イテ羅刹ト骸
ハチ
*
卓上コンロを四人で囲み、すき焼きを食べた。
〆はうどんにするか、雑炊にするかで、俺と鎖は激しく対立した。
「すき焼きと言ったら、うどんなんだよ!うどん! 絶対、うどん!」
俺はハッキリとうどんを主張した。
「誠司、お前は何もわかってねぇ!
魚沼産コシヒカリがあるのに、うどんで〆ようとか、バカヤロー過ぎるだろ!?
残った割り下に卵を溶いてご飯投入、かーらーのー、最後に七味か山椒で締めるのが俺の神ルートだ!
日本人なら、米を食えよ!!」
「は?! お前の親、イーロン・マスクだろ!? 生粋の日本人みてぇな言い方してんじゃねぇよ!
煮詰めて辛めになった割下へ、うどんとクタクタになった春菊があるー! そこに生卵を絡めて、ちゅるりと食べるのが、すき焼きの王道だろうが!!」
「多数決で決めるのはどうですか? 私は雑炊が食べたいのですが――」
俺と鋏がうどん派、金髪日本かぶれとクソ山羊が雑炊派に別れた。
「✂別鍋を用意して、調理すれば良いのでは?✂」
「天才! あの金髪傷野郎は日本人を騙る紛い者だ。食に関する誇りがねぇ。カトキチの冷凍うどんがどれほど至福をもたらすのか、目にもの見せてやろうぜ!!」
俺は鋏をひいきした。
「は? おい、輪廻。追い肉して、肉雑炊にしようぜ? 卵多めで、トロットロにしてやれ!」
「✂追い肉――良いなぁ……」
「うどんも追い肉して、みんなで食べましょう」
結果、全員が追い肉したうどんと雑炊を食べた。
――やべぇ。過去最高に美味かった!! 明日人にも、食わせてやりたかった……。
って、いうか、鎖が食材提供できるなら、俺がわざわざ地獄ザリガニ釣った回の意味は???
ま、いっか。歯を磨いて寝よう。
俺は歯を磨きながら、空間端末の自分のスターテス画面を見つめていた。
ステータス画面を開く度に新着通知が点滅するのだが、新着通知が何もなくても点滅するという怠い仕様になっていた。
「あーもー。ホントに新着ある時だけ、お知らせしてくれよ。何もないと思ってすぐ閉じちゃうんだよ。
ホントに新着があると、逆に驚くから、この仕様マジ止めてー」
技能名も【甘き果実の極めし形】何ていうのがあるから、何のことかと思ったら、ただのウサギリンゴだった。
――誰だよ! この名前考えたバカヤローは! 頭の悪い厨二か!!
いちいちもったいつけた漢字表現も、頭が痛かった。
結局何の技能なんだか、開いて見るまで意味がわからないのだ。
使えない技能は表示をオフに変えなければいけない。
怠い作業だが、俺はベッドに入ってもコツコツ、ゴミ技能の表示オフ作業をやった。
異世界で通用できる能力を改めて探す。
整理して更新すると、
【 新しい技能が追加されました。 】
突然、赤文字表記がされていた。
んー? なんだ? と、思ったら、
【美食家レベル1】
――うわ……いらねー……。
俺はあのスライムみたいに、何でも吸収して能力に変えるチート技が欲しいんだよー。
――あと、この謎のタイムラグ何?
最後に見落しがないか、俺はあくびをしながら、まだ表示されてるゴミ技能一覧を見つめた。
眠いので、空間端末の未確認ページに指が触れた――。
――うわ! タブ!? チッ……。まだゴミ技能があんのかよぉ。だるっ!
タブページは、既読されていた。
【獲得した称号】
漆黒守護者
俺はゴミ称号に舌打ちしてから、空間端末を閉じて寝た。




