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脇役王女の王国奇譚〜乙女ゲーム? いいえ、現実(リアル)ですわ~  作者: ぶるどっく
*脇役王女暗躍編

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第八話



「そして、もう一つの可能性があります」


 真っ直ぐにアーガスト侯爵を見詰め、セレスティナが口を開く。


「殺害された影が自ら犯人を招き入れ、施錠した可能性です。」


「なっ……それは……」


「…………」


「いや、だが……」


 そのセレスティナの言葉に室内に居た者達が息を呑む。


「……我が家に属する者が、味方を害したということですかな?」


「正確には、違います。

 殺害された影のみが、犯人と顔見知りだった。

 その者に対して、味方という認識だった可能性も有ります。」


 同じ陣営に属している、と思い込んでいた相手だからこそ……背中を見せてしまった。


「……どちらにしても、我が家も笑い事では有りませんな。

 儂の意に沿わぬ行動を起こした者がいる可能性は……零では有りませぬ。」


「その通りですわ。

 幾らアーガスト侯爵自身が忠義の臣で有ったとしても、その部下の心までは分かりません。

 そして、それは私達にも当て嵌まることかと。」


 悲しげに瞳を伏せたセレスティナに、他の重臣たちも思案げな表情を浮かべる。


「ふむ……此度の一件は、セレスティナが申したことも念頭に調べることとしよう。」


 難しい顔をしたレオナルド王の一言で、一旦解散となるのだった。






 セレスティナの執務室。


「(……今回の一件、アーガスト侯爵の仕業ではない……?

 では、犯人の目的は何なのかしら?

 それに……サミュエル殿は無事なのかしら……)」


 ゆったりと一人掛けの椅子に腰掛け、ミオンの淹れてくれた紅茶に口を付けながら、セレスティナは思考を巡らせる。


「…………セレスティナ様、一つお聞きしても宜しいですか?」


「アレクシェル?」


 静かに控えていたアレクシェルが、真っ直ぐにセレスティナを見詰めて口を開いた。


「……なぜ、私を庇ったのですか?」


 アレクシェルの脳裏に浮かぶのは、アーガスト侯爵を前にして犯してしまった己の失態。


「たかが護衛など切り捨てても構いませんでしたのに。

 ……私は、正式に貴女様に忠誠を立てた騎士ですらありません。

 あくまでも、お互いの環境が整うまでの繋ぎ、特に私は代えの利く存在ですよ?」


 だからこそ、セレスティナが不利になるかもしれない場面で、アレクシェルを庇うように前に出る必要はないのだ。


「確かに、貴女と私の関係は忠誠云々のものではありませんわ。

 正式に騎士として、剣を捧げられた覚えもないですわね。」


 まさに、剣のように真っ直ぐなアレクシェルの心。

 その心が曲がるのは、もったいないとセレスティナが思うのは傲慢だろうか?


「私は、アレクシェルの真っ直ぐな心根が好きですわ。

 それに、貴女ほどの武術を究めた存在を無実の罪で断罪し、切り捨てるなどもったいないでしょう」


「………………」


 セレスティナの心を見通そうと、無言で見詰めるアレクシェルへと微笑む。


「それに、貴女は例え友人でなくとも、無実の罪で断罪され、泣きそうになっている令嬢へと手を差し伸べた。

 その優しさを知っているから、私も助けたかったのです。」


 セレスティナの微笑みから、アレクシェルは一度視線を逸らす。


「(……私は……恥ずかしい……!

 騎士として一人前になったつもりで、オリヴィアと二人で偉そうに籠の鳥の姫君などと評して!

 セレスティナ様の素晴らしさを、何一つ知りもしないで私は……!)」


 どちらが籠の鳥だ!

 騎士としては兎も角、貴族の一人としても、アレクシェルはセレスティナの足元にも及ばないというのに!


「……セレスティナ様……私のような未熟者を、そんなにも評価してくださり、ありがとうございます……!」


 アレクシェルは、心の底から感謝の念を込めてセレスティナへと頭を下げる。


「こんな愚かな私を見捨てなかったセレスティナ様の優しさに報いることが出来るように!

 そして!必ずや、身の潔白を証明してみせます!」


 アレクシェルの瞳に炎が燃え上がる。

 愚かな己を信じてくれたセレスティナに報いるために。


「(いつか……いつか、必ず!

 歴代最高の女王になられるであろうセレスティナ様の横に有っても恥ずかしくない騎士となれるように!

 セレスティナ様に相応しい騎士になってみせる……!)」


 未熟な今の己がセレスティナへと騎士の忠誠を誓うことすら烏滸がましい。


「ふふ……アレクシェルったら身の潔白を証明するために、張り切ってますわね。」


「(……時々、セレスティナ様の発揮する天然って不思議ですよねぇ……。

 普段はあんなに察しが良くて、陛下や重鎮達すら唸らせますのにぃ。

 あのひよっ子騎士様は、明らかにセレスティナ様に剣を捧げる気満々って感じですのに!

 ま、私的には可愛いから、良いんですけどねぇ……?)」


 表面は澄ました笑顔のままに、内心ではセレスティナの天然に苦笑する。


「(ただ、セレスティナ様の一番の騎士の座を持つランちゃんが殺意マシマシで……ひよっ子を潰しちゃいそうですけど!)」


 セレスティナの一番の騎士がランスロットならば、一番の懐刀はミオンだと自負している。

 ミオンだって一番の座を奪われるなど絶対に許せない。

 似た者同士のランスロットの反応など火を見るよりも明らかだと、心の中で笑ってしまうのだった。




ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


王位の行方やセレスティナとジェダイトの恋の行方を「続きが気になる!」「面白い!」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです!


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これからもセレスティナたちを見守っていただけましたら幸いです!!

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