第四話 山道にて
「親分…親分はあの噂、本当だと思いますか?」
山道で明次が大量の荷物を背負いながら金丸に聞いた。
「まあ…松の話を聞く限りは嘘話やろな。それに本当に信じてたら、わざわざこんな山まで来んわ。」
「そうすよね。ただ…僕、やっぱあの噂本当なんじゃないかって…」
「あ?なんだお前?ここまで来て怖気づいとるっちゅうんか?」
「い、いやそうじゃなくてっすね。やっぱりほら、火のないところに煙は立たないと言いますし、これは感ですけど、僕、あの噂は何か他の話とは違う不気味さが感じられるというか…」
「まあ…確かにその気持ちも分かる。俺もこの噂はど〜も体がむず痒い。」
「や、やっぱり親分なら分かってくれると思ってやした!そういうことならさっさとこんな山降りちまいましょう!」
「じゃがな…俺は別に怖気づいてるわけじゃねえ。別に飢影がこの山に無いんなら松の案で行きゃあいい。ただ…もし仮に飢影が本当にあったとすりゃあ、そんときゃ俺らは有名人さ!」
「親分…それは少し楽観的では?」
「いやいや!そんな事はない!飢影を高値で売りさばけば、下手すりゃ俺らは一生ひもじい生活を送らずに済むんだぜ?」
「まあ…そうでしょうね…噂だとどんな剣豪も敵わないだとか。もし本当にあれば、買い手がとんでもない数殺到するでしょうね…」
「そう!ただ仮にあったらの話な。まあほぼ確定でそんな刀ねえんだ。だから松の案でいけば馬鹿な奴が本物と勘違いして買うだろ。」
「……そうすね。」
「おっ!こんな話をしてる間にいい感じに開けたところに着いたじゃねえか!じゃあここで野宿だな。」
そこは透き通るように美しい川が流れ、耳を澄ませば滝の音や虫たちの奏でる音楽が聞こえてくる、都とは隔絶された森に囲まれた自然豊かな場所であった。
「凄いすね!こんな場所が山にあったんですね!」
「そうだな、俺もこんな場所初めてだ。よし、暗くなってきたしよ、飯食ってとっとと寝ちまうぞ。」
「うっす。」




