第三話 金狂いの金丸
「なんだ?なんだ?」
「あっちの方からやな……?」
都の大通りの左右で、松と明次が太鼓を鳴らす。
そして、その中央の土台で金丸が腕を組み、仁王立ちをしている。
「お控えなすって〜お控えなすって〜。わっし、姓は小林!名は金丸!泣く子も黙る大博打人!江戸が生んだ金狂いの金丸ったあ〜、わっしのことよ!」
「金狂いの金丸……?」
「知らねえのかよ!あいつだよ!都の裏賭博場で花札、丁半博打、ありとあらゆる賭け事で無双した、あの金丸だよ!」
「え!?そうなのか!?」
「こうして現れたのは、ほかでもありやせん、あの忌まわしき噂。そう!飢影伝説!一度は聞いたことあるんじゃ〜ないですか?中にはそんな恐ろしい噂に日々恐怖している者も……。が!心配ご無用!あの忌まわしき呪いの刀、飢影!この小林金丸が山に登り、必ず、必ずや見つけ、皆様の目にその真の姿をさらけ出させてぇえ〜やりやす!」
「うおー!」
「本当かよ!?」
辺り一面から称賛の声が上がる。
その演説は大盛況のうちに幕を下ろした。
「フン!甘ったれたヤツらや……。あの博打だって全部イカサマなのに、どいつもこいつも気づかねえで、その場の熱で簡単に騙されちまう。全く、演技中も笑いそうになっちまったじゃねえか!」
三人が飲み屋で酒を飲みながら話す。
「全くその通りっすわ!」
「ひ、人って案外あんなもんなんですね……」
「じゃあ俺と明次が山でしばらく籠る。松、お前は良い具合で山に来て、俺らに刀を渡してくれりゃいい。」
「うっす。いや〜しっかし自分で考えた案でしたけど、こんなにホイホイ簡単に進むとは思ってませんでしたわ〜。」
「そうす……ん?ってええ!?なんで僕も籠るんですか?」
「なんでって、そりゃお前、飯やら何やら誰が持ってくんだ?まさか俺に持てって言うんか?あ?」
「うう……ひどい。」




