初ログインと初作業
前回から時間空きました!なので今回は文字数多めです!
挿絵はざわまえという人に描いてもらいました!
白い光がパッと視界を覆ったかと思うと、体が粒子で構築され、つくりは初期地点へと転送された。
「うおわああああああああああああああ!!!!! 作業させろあああああ!」
かと思うと、つくりは作業をするため一目散に走り出した。
だが、どれだけ走っても一向に街の外へ出られる気配がない。
「……あれ? 迷っちゃった?」
ようやく立ち止まり、少しだけ正気を取り戻したつくりはキョロキョロと辺りを見渡す。
中世ヨーロッパを彷彿とさせる石造りの街並み、ファンタジックな装飾、行き交う大勢のプレイヤーたち。ここがFROの首都であり、始まりの場所『メディナ街』だった。
「早く作業したいんだけどなぁ…」
途方に暮れたつくりは、とりあえず近くのプレイヤーに道を聞くことにした。周りを見回すと、ぽつんと立っている青髪の男性プレイヤーが目に入る。
つくりは迷わず距離を詰めた。
「あの〜、すみませ〜ん」
「__あ、はい…なんでしょう…?」
プレイヤーは自分に話しかけられたとは思っていなかったのか、少し反応が遅れる。
「この近くに作業できる場所ってありますか? 採掘とか釣りとか!」
「え…さ、作業…?」
予想外の質問に目を丸くしたプレイヤーは、しばらく首をかしげて考え込んだ末、東の空を指差した。その先には、ゴツゴツとした岩山が連なっている。
「…釣りのスポットは詳しくないですが、採掘ならあそこですかね。『ルノティス鉱山』といって、初心者でも素材集めができるんです」
「そこに行けばいいんですね! ありがとうございます!」
つくりが元気よく頭を下げる。
「いえいえ…。じゃあ、僕はこれで___」
背を向けて去ろうとするプレイヤーを見て、つくりは思わず引き止める。
「あの〜!よかったら案内してくれませんか?」
◆◇◆◇◆
「えー!? そのモンスター結局倒せなかったんだ!!」
「そうなんですよ! もう防御が硬すぎて、全然攻撃が入らなくて!!」
鉱山へ向かう道中、つくりたちは楽しそうに会話をしていた。
最初こそつくりが一方的に質問を投げかけるばかりだったが、つくり持ち前の明るさで緊張が解けたのかすっかり打ち解けている。
プレイヤーの名前は『フカガワ』というらしく、彼も二週間前に始めたばかりの初心者だった。
すると、フカガワははっと気づいたようにパネルを呼び出した。
「__あ! すみません…! 僕、もうログアウトしなきゃ…」
「どうしたの?」
「僕、理由があって一日一時間しかゲームができなくて…今ちょうど一時間経っちゃったので…」
フカガワは申し訳なさそうに頭を下げ、ログアウト画面を操作する。
「じゃあ僕はこれで。お気をつけて~」
「うん!また会おうね~!」
身体が眩しい光に包まれ、粒子となって消えていった。
見送った後さらにしばらく歩くと、つくりは無事に目的地の入り口へと到着した。
「こんにちは〜♡ ルノティス鉱山の受付NPCで〜す!」
「(この子めっちゃ可愛い…)」
語尾にハートが浮かびそうな受付NPCは、透明なパネルを操作しながら受付手続きを進めていく。
「超絶最強ドーナツ神さんは〜、職業が『採掘師』なので採掘効率がちょっと良くなりますよ〜♡」
「ん、採掘師…?__あ、職業適当に選択したんだっけ。」
身に覚えのない単語を聞いて首をかしげたが、そういえば初期設定で適当に連打して選択したことを思い出した。その時に『採掘師』が偶然選ばれたのだろうと納得する。
「じゃあ、入場料は所持金から引いておきますね〜。中に入ったら自動でツルハシが装備されると思うので〜♡ それじゃあいってらっしゃ〜い」
「いってきま〜す!」
手を振るNPCに手を振り返し、つくりはワクワクしながら薄暗い坑道へと足を踏み入れた。
鉱山内は奥へ行くほど薄暗く、ひんやりとした空気と静けさをまとっている。
「よーし、採掘するぞ〜!」
人目がつかない奥の坑道を見つけたつくりは、さっそくツルハシを振り下ろした。 カキーン、カキーンと 静かな鉱山に、心地よい音が音する。
しかし、最初こそノリノリで作業していたつくりだったが、数時間が経過したあたりで徐々に動きが重くなっていった。
「なんか…思ってたんと違うかも…」
実際に腕を振り続けるVRの作業は、ボタンをポチポチ押すだけのスマホゲームとは違い、肉体的な疲労が伴う。
やはりスマホの作業ゲーの方が性に合っていたのだろうか、とがっかりしたその時だった。
ピロン、と目の前に透明な通知パネルが出現した。
[スキル【採掘 I】を取得しました]
「…は? 何これ…?」
つくりは呆然と説明文を見つめる。
「このスキルは採掘速度や採掘範囲などをステータスに関係なく常に上昇させます…スキル?ステータス?なんじゃそら___」
次の瞬間、つくりの脳内にビビッと電流が走った。
「採掘『I』…つまり1。___ってことは…これ、どんどん数字が上がっていく…ってこと!?!?!?」
つくりは思った。この採掘Iを限界突破させてみたいと。
「____掘らなきゃ……掘らなきゃ掘らなきゃ掘らきゃッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」
先ほどまでの疲れが嘘のように、恐ろしい速度でツルハシを振り下ろすつくり。
「嘘!!! さっきの嘘!!!! 思ってたんと違わない!!!! 楽しい!!!!!! 楽しいなぁああああああああ!!!!!!!!!!!!」
一時間、また一時間と時間が経過しても腕を止める気配はなく、むしろどんどんと加速していく。
[【採掘 Ⅰ】が【採掘 Ⅱ】に上昇しました]
「もっと下!!! もっと深くまで掘っちゃおう!!!!!!!!」
下へ下へとつくりは掘り進める。 深層へ進むほど岩の硬さは跳ね上がる。
だが、硬ければ硬いほど、つくりの破壊衝動と達成感を刺激するだけだった。
[疲労レベルが危険値まで達しています。今すぐログアウトしてください!]
ビーッというけたたましいサイレンの音とともに、つくりの前に赤い警告パネルが出現した。だが、そんなことつくりはみじんも気にしない。
「あはははははは!!! たのしいたのしいたのしい!!!!!! 作業最高!!!!!!!!!!! あーっはっはっはっはゲホッゲホッ…ははっは!!!!!!!!!!!!!!」
暗い鉱山の底に、つくりの笑い声とサイレンの音が不気味に響き渡り続けた。
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