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初期設定と禁断症状

結構下の方だけどランキング入りしてうれしかった!!

挿絵はざわまえという人に描いてもらいました!


 あれから数日経った土曜日の昼。つくりの目の前には届いたばかりのVRゴーグルと、『Fantasy(ファンタジー)Record(レコード)Online(オンライン)』通称FROのパッケージ。


「よーし!本体設定も終わったし、ふぁんたじーれこー…なんちゃらやるか~!」

 ゴーグルを頭にセットし、電源を入れ、FROを起動した。

 そのとたん、体の感覚と重力がフッと消え、頭の中に機械的な音声が響く。


 [ゲームをローディング…10%…50%…90%…起動します。]


 目の前が白い光に包まれる。現れたのは黒と青基調の電脳空間。初期設定の場所だった。


「これがVRの世界…なんかすご…」

 [ユーザーネームを設定してください]

 感動するつくりの頭に突然声が響き、目の前には半透明のパネルが現れる。


「ユーザーネームって名前だよね。うーん…」

 しばらく真(・)剣(・)に(・)迷ったすえ、『超絶最強(ちょうぜつさいきょう)ドーナツ神』と入力し、設定完了ボタンを押した。


「うん!めっちゃかっこいいかも!!!」

 [アバターを設定してください]

 パネルの内容が変わり、ウィンドウには真っ白なマネキンと、パラメータが表示された。


「これ…ゲーム内の姿ってこと? じゃあ、とびっきり可愛くしちゃお!」

 ウキウキしながら設定に取りかかる。


「髪にグラデーションかけちゃおうかな」

「装備は可愛いやつにして…」

「し…身長変えれる!!」

 設定の細かさにいちいち驚きながらも、小一時間かけてようやくアバターを完成させる。


「できた…最高傑作…!」


挿絵(By みてみん)


 金髪に淡いピンクのグラデーションが入った長いツインテール、ピンク基調の可愛い装備、少し盛って160cmにした身長と、可愛らしいアバターが出来上がった。

 何回かその場でポーズを取りつつ設定完了のボタンを押すと、瞬時にパネルが切り替わり、たくさんの職業が書かれたウィンドウが表示される。

 [職業を選択してください]

「え、まだ設定あるの…? 早く作業したいよ〜」

 文句を言いながら職業欄をスクロールしていく。剣士、魔法使い、盗賊……と多様な選択肢が並んでいるが、どれもつくりの目には魅力的に映らなかった。

「戦いとかしたくないしな~…一生作業してたい…ん?」



__と、その時。



「あれ…手、震えてる……?」

 操作を行っている右手が震えていることに気づいた。初期設定に時間をかけすぎたせいで作業ができず、なんと『禁(・)断(・)症(・)状(・)』が発症し、体に異常が現れ始めていたのだ。


「ま…職業とか何でもいいよね!! 適当なやつ押しちゃえ…!」

 もはや職業名すら見ずに適当な項目をタップし、設定完了ボタンを押す。


「も…もう終わりだよね?設定…。なんか動機止まんなくなってきたんだけど…!」

 作業をしなさすぎて、すでにつくりの体は限界だった。一刻も早く作業をしたい。作業しないと大変なことになってしまう!!!


 [ステータスを設定してください]

 だが無情にも設定はまだ続いた。


「う…う…わあああああああああああああああ!!!!!! 作業させろぉおおあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

 ついに耐えきれなくなり発狂するつくり。大変なことになってしまった。


「ぜっ…全部飛ばしてやる!!!!! 飛ばしてやる!!!!!!1!!!!!!!!!!」

 目の前のボタンを親の仇のごとく連打しまくり、残る全ての設定をスキップした。

 [これで設定は終了です。初期地点『メディナ街』へ転送します]


「早くしろや!!!!!!! 早く!!!!!!!!!!!」

 暴れるつくりの体がまばゆい光に包まれたかと思うと、一瞬にして消滅した。


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