喪失と再会
「ググゥゥァ」
「はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥くっ!」
ルナは、ぼろぼろになりながらも、ソールを身動きが取れないように羽交い絞めにしていた。
それでも、ソールの抵抗が強く、拘束が取れそうになったが急に「アァァァァ!」と苦痛な声を上げて、ソールは力が抜けていった。
「はぁ‥‥ソール?」
ルナが拘束をといて、ソールの鎧に包まれた顔を覗き込み、肩をゆする。
ソールに反応はなく、くったりとしている。
「ソール? しっかりしろ!」
「‥‥‥」
「まさか、私に羽交い絞めにされたからと言って、死ぬわけないだろう? 起きろ!」
「‥‥‥」
「おい‥‥‥起きろ、ばか‥‥」
ルナは、ソールがあまりにも反応がなくて不安で泣きたくなってきた。
「‥‥‥‥る、な?」
「!!ソール?」
ソールに力が戻り、ゆっくりと動き出し、頭を押さえながら上半身を起こす。
「あ、れ? オレ、何してたんだっけ? ってか、なんだこれ? なんか、オレ被ってる!? ちょっ、とれない!」
「あ‥‥あはは、ソール‥‥ソールだ‥‥ふふ」
ルナは、ルナの知っているソールが戻ってきて、嬉しさのあまり涙を流しながら、笑みがこぼれた。
ソールは、自分の状況が飲み込めておらず、焦りながら頭の鎧を必死に引っ張っている。
「お、おい、ルナ、笑ってないで、これ取ってくれよ」
「ふふ、あはは‥‥」
ルナは、ソールに思い切り抱き着いて、ソールは勢いで倒れてしまった。
「どうしたんだよ? え? デレてるの?」
「うん、そう‥‥‥だから、もう少しこのままでいいか?」
「そ、れは、いいけど‥‥‥いや、やっぱこれ先に取って」
ルナは、少し拗ねながらソールから離れて、剣の柄を握った。
「そのまま動くなよ」
「え? ちょっとルナさん怒ってます?」
ルナは、力を込めて頭のひびが入っている部分に柄を何度か振り下ろし、鎧を破壊した。
ソールの眩しい金髪と明るい笑顔が戻ってきた。
「うわー! 明るい! ありがとさん、ルナ」
ソールは、ルナの顔をじっと笑顔で見つめると、人間のころとは違う、鱗で覆われた手でルナを引き寄せ、唇を重ねた。
ルナは、瞳を閉じて、ソールの首に腕をまわし、ソールの太陽のような温かさを感じた。
「ん‥‥ごめん、オレ、ルナに心配かけた?」
「かけたよ‥‥」
ソールがぎゅっとルナを抱きしめて、また涙が流れてきたルナを慰めるように、背中を撫でる。
「ごめんな、ルナ‥‥ありがとう‥‥」
しばらく、ソールはルナが泣き止むまで、優しく名前を呼んだり、背中を撫でたりして、落ち着かせた。
「なんか、記憶がないうちにだいぶからだが変わったんだなオレ‥‥痛くない?」
「少しな‥‥でも、離れたくない」
「ひゃー‥‥ルナの可愛さが振り切ってる‥‥キスしたい」
ルナは、ソールの頬に軽く唇をあてて、再びぎゅっとソールを抱きしめた。
ソールは、自分で言っておいて、あー‥‥うわー‥‥なんて言いながら頬が赤くなって、視線が空中に泳ぐ。
「‥‥ルナ、なんか変わった?」
「ソールがいなくなってから、だいたい四年くらい経っているからな、変わるだろう」
「え!? 四年!? マジで!?」
ソールは、うわぁーと落胆しながら、顔を手で覆った。
ソールが行方不明になったのは、王都ウルブスを奪還するときの戦いで、おそらくその時に敵に捕まったのだろう。
「そんな長い間オレは何をしてたんだか‥‥」
「何も思い出せないのか?」
「うーん‥‥なんか、ぼんやりと‥‥あれ? オレって最近ルナと訓練した?」
「まぁ、そんなところだ」
「ほ、ほんと? はぁー‥‥なんだかショックだな‥‥そういえばフェリクスは? ウルブスはどうなったんだ?」
ルナは、ソールが元に戻ったことの嬉しさにここが戦場だということを忘れていたが、さっと立ち上がって、ソールに剣を一振り渡した。
「そうだ、フェリクスとキエリさんを助けに行かないと。今までのことは走りながら伝える。ソール、戦えるか?」
「もちろん! ってか、キエリさん生きてたのか! よかった! んじゃ、行きますか」
ソールは、キエリが生きていると聞いてぱっと明るく笑顔になった。
この笑顔を見ると、ルナは心の底から温かくなり、ソールが戻ってきたと実感がわいた。




