表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】オオカミはフードを被る  作者: Nadi
オオカミはフードを脱ぎ捨てた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/99

突き進む

 (思い出した‥‥魔獣の世界でこのひとはわたしの家族を大切なひとを傷つけたんだ。今までどうして思い出せなかったんだろう?)


 キエリにとって衝撃的であった出来事は、キエリも知らず知らずのうちに心の奥にしまい込んでいた。


しかし今、恐怖の対象である魔獣の王と再会し、幼いころに閉じ込めていたはずの魔獣の王への恐怖が思い出とともに引きずり出された。


 ドラゴンを落とした魔獣の王は、魔力を奪い取って身動きが取れないキエリを横抱きにして巨木の中の部屋に下りた。


 『わたしをどうするつもり?』


キエリは、敵意溢れる視線を魔獣の王に向けた。


しかし、その視線をものともせず、にこりと笑って、魔獣の王は歩みを進める。


 『さっきの質問の続きになるかな‥‥もし、君に初めて出会ったのが僕だったら、君の心は変わるかもしれない』

 『僕だけの君にしたい』


魔獣の王からにじみ出る支配欲がキエリに這い寄り、まとわりつく。


キエリのからだ中、指先まで凍り付くように冷たくなる


 (いやだ! こわい‥‥こわい!‥‥たすけて、フェリクス)




 フェリクスたちを乗せたゾンフはウルブスの街に落ちていた。


街といっても、いまや植物となんとなく建物の面影があるのとがれきだらけだ。


 ゾンフは、落ちている間にも魔法を解くことはせず、フェリクスたちを守っていた。


お陰でフェリクスたちは無傷で着陸することができていた。


 コルヌがくたびれたように地面にひれ伏しているゾンフの様子を見る。


 「これは、王のお力だナ。おそらく、この娘っ子に落ちろと命令したんだろう」


プエッラが不思議そうな顔をする。


 「命令って、そんなのいつされたの? それに、どうしてこの子が、命令なんてきかなきゃいけないのよ?」

 「魔獣は、王の命令には基本逆らえない。そう、作られているのサ。あれに逆らうには相当な精神力が必要だろうナ」

 「それに、王は心に入り込む。これくらいの距離なら心に直接命令したんだろう」


プエッラは、そんなぁ、としょぼくれた。


 フェリクスがゾンフの頭を撫でる。


ゾンフは、顔も上げられず、目線だけはフェリクスを見ている。


 『運ぶ、ありがとう』

 『ゴメンネ ウゴケナイ キエリヲ タスケテ』


フェリクスは、力強く頷いた。


 「皆! ここは、敵地のど真ん中だ。油断するなよ!」

 『はい!』


 フェリクスたちは巨木を目指して走り進もうと動き始めた時だった。


 「フェリクス!」

 「!!」


ルナがフェリクスに注意を呼び掛けたとき、突然しなった鞭のような攻撃が襲った。


フェリクスは、抜いておいた剣で受け身をとり、うまく攻撃を受け流した。


鞭だと思っていたものの正体は伸び縮みが自由なしっぽで、崩れた建物の上にしっぽで攻撃を仕掛けた魔獣がいた。


 「ソールか‥‥」

 「グルルルル‥‥」


 ゼノの手によって魔獣化されたソールが唸りながらフェリクスたちを見据えていた。


ソールは、ゾンフのような鱗で全身を鎧のように覆っている。


前の傷は修復されたらしい。


フェリクスたちの周りからは魔獣たちがわらわらと姿を現した。


 「フェリクス、ソールは私に任せろ」


ルナが凛とした姿勢で剣を向け、ソールに向かい合う。


 「わかった。頼んだぞ」

 「あぁ」


ルナは、跳ねるように建物のがれきを飛び越えて、一気にソールと距離を詰めた。


 「ふんっ!」


ルナは、躊躇なくソールに剣を振りかざしたが、ソールも鋭い爪で攻撃を防いだ。


そして、すかさずしっぽでルナの脇から串刺しにしようとしたが、ルナはひらりとかわした。


 「殿下! ルナさんがおひとりであの危険そうなやつに!」


アクイラがルナが飛び出していったのが不安で叫んだが、フェリクスは全く不安そうなそぶりは見せずに、巨木に向かって走り、魔獣をなぎ倒していく。


 「ルナなら大丈夫だ! あいつは組手でソールに負けたことがないからな!」


 アクイラたちは、ソールという名前に聞き覚えがなかったので頭にはてなが浮かんだが、ルナの強さを信じようと、周りの魔獣の攻撃を耐えながらフェリクスに急いでついて行った。



 剣と硬い鎧がいくつもぶつかり合う音がする。


 「ここっ!」


ルナが一瞬のスキをついて、ソールの腹に蹴りを入れようとするが、ソールがしっぽでルナの足を掴んでそのまま放り投げた。


 「うっ!」


ルナは、空中で体勢を立て直し、がれきに着地してそのままがれきを蹴り、ソールに剣で突きの一撃を入れようと飛んだ。


 「グルッ!?」


まさか、あの体勢から復活して攻撃までしてくるとは考えていなかったようで、防御が少し遅れたソールの頭の鎧部分をルナの剣がかすめ、少し鎧にひびが入った。


 「ふぅー‥‥」


ルナは、細く息を吐き、再び構える。


 (あのしっぽを考えて動かないと‥‥ソールをどうすれば助けられるかまだわからない。でも‥‥)


 「はぁ!」


ルナは再び剣をソールに振り下ろした。


 (とりあえず、ソールを気絶させてから考える!)

わりとルナちゃんは脳筋なのかもしれない‥‥いや、ポジティブ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ