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【完結】オオカミはフードを被る  作者: Nadi
オオカミはフードを脱ぎ捨てた

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歪み

あんまりいいお話しじゃないです‥‥

 『えんてーおじいちゃーん、だっこー』

 『ほっほっほ、ようしいいよ、おいで』


 魔獣の軍に所属するエンティアは、ウサギ型の魔獣で人型というよりか二足歩行をするウサギという見かけで、毛で全身が覆われている人間くらいの大きさの魔獣だ。


今は、小さな子供たちに囲まれて、だっこをねだられている。


その様子は、孫と遊ぶおじいちゃんそのものだ。


ただ、その子供たちはエンティアの実験と称して魔獣と人間の間で無理やり作らされた子供たちである。


獣の耳を持つ子やしっぽが生えている子、全身が毛で覆われている子など見かけは様々だ。


後ろ暗い研究の結果で生まれたということや自分たちの親もこの子供たちは知らない。


 子供たちは生まれたら親から引き離さなければいけない場合が多く、巨木の一画に子供たちの生活する施設をつくっている。


 エンティアは、たびたび子供たちに会いにこの施設に訪れる。それは、罪悪感からなのか、義務感からなのか、それとも愛情が芽生えているのか、それはエンティア自身にしかわからない。


 『ありゃ? ちと重たくなったのぅ』

 『えんてーじいちゃん、つぎぼくー』


子供たちがエンティアの服の裾を握り、無垢で大きな瞳で見つめる。


 『順番だよ、順番』

 『やっほー! エンティアとかわいい子供たち!』


ゼノが満面の笑みで子供たちのいる部屋に入ってきた。


 『あー、ぜのー!』

 『かぜ、びゅーってやって、やって!』

 『よいでしょう!』


ゼノがくるっと指を空中で回し、風をつくりだす。風は優しく子供たちを空中に浮かせる。


子供たちが空中でくるくるまわって、きゃっきゃっと楽しそうに笑う。


 「いつもありがとう、ゼノ殿」


エンティアは穏やかに微笑む。


 「いいのよん。アタクシけっこう子供たちと遊ぶの好きみたい」

 「キエリ様の時もこうやって遊んであげたのかい?」


ゼノが昔を思い出してるのか、苦笑する。


 「んふふ、それがね、アタクシそのとき子育てなんてしたことなかったから、子供が何をしてあげれば喜ぶかなんて全く分からなかったの。ほんっと、試行錯誤ばっかり。どんな研究よりも難しかったわ」

 「絵本を読むよりも魔法書を読んじゃったし、おもちゃをあげるよりも薬草をいじらせてたし‥‥あはは」


過去の自分に呆れているのか、乾いた笑いが出た。


 「ほっほっほ、そうかそうか」


エンティアは、子供を前に悪戦苦闘しているゼノが想像できるのか、穏やかに笑った。


 「でも、何よりも‥‥あの子には心に治らない傷があったから、笑顔になるには本当に‥‥本当に時間がかかったわ」


ゼノはいつもの笑みが消え、心が沈んでいるのが表情に現れる。


 ゼノは、自分がフェリクスを治すための薬の材料にオオカミ型の魔獣が必要だと、王と王妃に進言してしまった。


それがきっかけでキエリの父と母は命を奪われてしまった。


 「ご自分の犯した罪が許せないのですな‥‥」

 「えぇ‥‥一生、無理ね‥‥」


エンティアは、苦痛に心が潰されそうなゼノに、また穏やかな微笑みを見せる。


 「ゼノ殿、罪は償えます‥‥未来の子供たちのために死力を尽くしましょうぞ」

 「んふふ、そうね‥‥人間も魔獣も関係ない、何の垣根もなく過ごせる平和な世界を‥‥」

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