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黒幻のリンクライン  作者: 水無雲夜斗
第二章 ネームレス襲撃編
35/79

2-1 どうしてこうなった

今回から二章開始です!


●あらすじ●

 ニュービーキラー事件からおよそ一ヵ月。ようやく平穏な日々を取り戻したレン達だったが、ある日一年A組のサボり魔だった生徒―――セシル・A・ネームレスが珍しく登校してくる。

彼女はなぜか執拗にレンにちょっかいを出し、日常をかき乱してくる。

学園生活の中でセシルを中心に始まる困惑の第二章。

果たしてセシルの目的とは―――?

 どうしてこうなった、とレンは思う。

 一方はまるで怒り狂った猫のようだった。ふーっ、ふーっ、と息を荒げながら相手を威嚇し、大剣を構えて今にも斬りかからんとする勢いだ。

 一方は至って冷静だった。目の前に猛獣がいることはわかっているが、その猛獣とは檻を挟んで向こう側にいるかのような余裕。武器を構えられているというのに無防備の中に身を置き、にやにやと意地の悪い笑みを浮かべている。


 前者である少女―――エファ・ヒルデブランドは、警戒心全開というよりは怒り心頭という表現が一番適している状態である。

 その理由は、目の前にいる前述の後者である少女―――セシル・A・ネームレスである。

 藍色の髪に紺碧の瞳、十代後半にしてはかなり小柄に見えるのは、彼女が比較対象に限りなく近い場所にいるからだろう。


 結論から言ってしまうと、現在セシル・A・ネームレスはレンの右腕にぴたりとその身体を密着させていた。その状態で、まるでエファを煽るように意地悪な笑みを浮かべているのだ。

 密着されているレンは、確かに女の子に触れることができて役得かもしれない。だが、そんなものが気にならないほど状況は最悪だった。

 なぜなら、彼らの周囲には大量の学生が転がっていたからだ。

 数にして10人前後。その中にはレンの悪友であるケイス・ラースヘルも混ざっている。無論、彼らの命に別状はない。

 島立レアード高等学園、第二体育館。それが今惨状が繰り広げられている現場だ。


 「どうしてこんなことになっているんですかねぇ」


 そこに騒ぎを聞きつけてやってきたレンの担任教師―――エイゼル マストウェイが困った顔をしながらやってくる。

 もう一度、レンは思う。

 本当に、どうしてこんな惨状ができあがってしまったのだろうか。

 それを語るには時を遡らなければならない。

 では、説明と物語を始めよう。この惨状に至るまでと、その後の話を。

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