第八十八話 交差する思惑 その2
前回と同じく他視点。読み飛ばしても支障の無いシーンです。
「我々の他にも男を探している者達がいるようだな」
「女を中心に街の男共が探しているようでして……」
教会の一室。厳かな髭を生やした初老と中年の男が蝋の火を挟み対話する。
「いつまでグズグズやっておるのだ。さっさと引きずり出さぬか」
「それが未だ潜伏先が見つからないもので。それに……」
「なんだ何かあるのか?」
「教徒の何名かが街の女達にやられているようです」
「チッ。あのSランクの豚はどうした?」
「調査に向かわせた後、連絡が取れなくなっております……」
「役に立たぬ豚だ。Sだからと飼っていたが、唯の豚ではないか」
中年の男は汗を拭く為、ハンカチを取り出す。
中年の男はファルファシオンの過去を知る人物であった。数々の名産品が生まれ、金が動く街となったファルファシオン。金の亡者である司教がファルファシオン教会の管理者となり、中年の男は手足となり動かされていた。
「手を引くのが賢明な判断かと……」
「あの男共に幾ら持って行かれたと思う。ここであやつらを見逃したら私の大司教への道が閉ざされる。中央の阿呆共が考えも無しに金を出しおって。妖精の欠片も私が見つけたにも関わらず、全て権利を持って行きおった。なんとしても大司教にいかねば割に合わん」
「実はそのことで、もう一点お伝えすることが」
「さっさと言わないか」
「近々新しい妖精の欠片が売りだされると、街中で噂されております。しかも銀貨5枚10枚程度の破格で」
「白々しい嘘を。大方噂を流し、素となる石を安く売りだそうとしている魂胆なのであろう」
「しかしその噂を聞いてか、ここ数日妖精の欠片が全く売れていないようでして……」
「噂に騙されおって」
「あの大量の持ち込みを考えるに、唯の噂と軽んじるにはあまりに危ういかと……」
「お前もそのようなデマに踊らされるでない。街中におる冒険者の幾人かを金で捕まえろ。なんとしても向うよりも先にだ」
中年の男は司教の部屋を後にする。
かつてこの街が腐敗の道を歩むとき突如現れた『妖精の欠片』。このアイテムが大きな起点となり、街の腐敗を取り除いた。欠片が記す光が、この街に安寧をもたらしてくれたと知っていた。
そして彼は気付いていた。この街が再び腐敗していることに。腐敗を招く原因がこの教会であることに。光の加護に導かれし勇者と先導し、世界を混乱させていることに。神に祈りし教会が腐敗の原因だということを理解しつつも、それを止める術が無いことも知っていた……。
街で噂されている新たな光は、この腐敗を取り除く希望の光であると祈る。
「どうか神よ、我らをお導き下さい」
中年の男……、司祭が礼拝堂で祈りを捧げる。以前にこの街を救ってくれた神へと。
色々感想を頂き助かります。とりあえず雰囲気だけでも改善したいとは思うので、影響の少ないプロローグ部だけでも近々改変致します。ストーリー上は影響の無いようにしたいと考えております。先行で読んで頂いている方々には申し訳ありませんがご了承下さい。




