第七十七話 S級冒険者クラウディア&S級妖精プライマリ
少し短めの話です。
「こんな調査、直ぐに終わらしてきますよ」
「頼もしい言葉ですな、流石勇者様」
S級冒険者クラウディアと対峙するのは、ファルファシオンの教会。
「それよりも成功したら、報酬は頼みますよ」
「それはそれは勿論」
教会を出ると、S級妖精プライマリが彼に話し掛ける。
「どうするクラウディア、今夜早速行くかい?」
「そうだな善は急げだ。上手く行けば報酬で、また奴隷が増やせるぞ」
「肉奴隷が増えるよ。やったねクラウディア!」
実はこのコンビ、かつてはヴィヴィアンの存在に怯え、身を潜めるように大人しくしていた優等生達。しかし十年程前に首輪が無くなった途端、それはそれは欲望の赴くままに行動を重ねていた。
具体的には妖精の力を使い、奴隷を増やしたり、これまでのクエスト報酬で奴隷を買ったり、それはそれは偏った方面でやりたい放題。
挙句の果てに、奴隷を斡旋してくれたり、金払いのいい教会側についている現状。
クラウディアは大剣を使う前衛型ファイター。火魔法を得意とする魔法使いでもあった。彼等は大剣と魔法を巧みに使いこなし、これまで幾度と無く難関を残り越えてきた強者。
しかし、クラウディアはモテなかった。
Sランクという肩書、それに見合うであろう戦闘能力を有しているにも関わらず、彼はモテなかったのである。
これまでモテなかった優等生に、女奴隷を手にできるチャンスが落ちてくればどうなるか?
お察しの通りになってしまう。彼はアダルティーな日常にどっぷりと浸かってしまった。抑制された気持ちの反動か、彼は欲望のなすがまま今日もクエストをこなす。
S級妖精プライマリもそんな彼の行動を咎めることはなかった。そう彼の実力に対して、異性にモテない事情をよく知る人物であった。プライマリも基本的な魔術操作には長けていたが、オリジナル要素に欠ける彼女は、よく小馬鹿にされることが多かった。
しかしクラウディアはプライマリを馬鹿にすることなく、絶大な信頼を寄せていた。長い苦楽を共にしている間に、ちょっとのことでは崩れない相互関係が築かれる。プライマリの善悪基準がクラウディアとなっているため、クラウディアのクエストについて疑うこと無く手を貸す。
「よしここだ。プライマリ行くよ、今日も便りにしているよ相棒」
「任せなさい!」
彼の拳と彼女の小さな拳がコツンとぶつかる。その姿はさながら物語の主人公の一ページ。
男と妖精は倉庫へと入って行く。
とんでもない怪物が口を開けて待っているとも知らずに……。
次回からまたノヴィ視点で再開します。よろしくお願いします。
次話7/22予定。




