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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第3章 勇者冠水編
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第七十五話 手のひらの上で踊る者達

ノヴィに置いてかれた人達の閑話。読み飛ばしても大丈夫です。


※話は短め。

 ~夢魔族の場合~


「色街って…………、殺すしかないわね」


 生誕内で全く姿を見せないノヴィを心配して、テレサが精神世界に戻って来た。随分と探し回るが一向に見つからないでいる為、こうしてヴィヴィアンに事情を聞くことになったのである。


「でもどうしよう、生誕から出る許可もらえるかしら。以前もレティに生誕から出ることを、禁じられていたの」

「しょうが無いですね。私が知恵を貸しましょう(ゴニョゴニョゴニョ」

「うん。それなら上手く行くと思う。今は貴方が味方で良かったと思うわ、ヴィヴィアン」

「私もですよテレサ(ニッコリ」

「ところでヴィヴィアンは、なぜノヴィを追いかけないの?」

「追いかけたいのは山々ですが、どうしても手が離せない用事があったもので……」

「そう、まぁいいわ。ノヴィのことは任せなさい。とにかく首輪を付けてでも連れ戻すわ」

「よろしくお願いします」


 テレサが再び生誕へと帰って行く。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ~小さき魔王の場合~


「というわけで、ノヴィは色街に行ったのよ!」

「あやつ、最近全く姿を見かけないと思ったら、生誕を出ておったのか。何も反省しておらんなあやつは」


「ノヴィを追いかけるわ」

「いかん。テレサは生誕から出るな」

「そうは言っても色街よ!!」

「あやつも男じゃ。そういった店や女の集まるところに、行きたくなるものだろう」


「レティ、貴方は問題を甘く見過ぎているわ」

「何をじゃ?」

「色街は何をするところか知っているの?」

「妾だってそのぐらい知っておる。男が女と子作りの真似事をして、性欲を発散させる場であろう」

「そうね。でももしかしたら、何かの拍子に子供ができるかもしれない。いえ、道中で出会った女と子作りに励むかもしれないのよ」

「別にいいじゃろ。男と女の間に子供ができるのは自然の摂理」


「もしノヴィと女の間に子供ができたら、ノヴィはどうすると思う?」

「大切に育てるじゃろうな」

「そうね。ノヴィはレティのことよりも、子供を大切(・・・・・)にするでしょうね」

「え?」


「ノヴィのことだから子煩悩になるわ。なんせ、初めて会った夢魔族の娘が消えるというだけで、必至で頑張っていたわ。自分の子供となったら想像もつかない。今までレティと居た時間は、全部子供の時間になってしまうのよ」


「え? 嘘じゃろ? そんなことはないよ……な、スゥよ」


「正直に言いますと十分あり得るかと……、ノヴィ様は子供には純粋に愛を注ぐ御方ですから」

「そうなのか? 本当に妾との時間が無くなるのか?」


「そうね、少なくともご飯と寝る時間は、間違いなく子供が優先になる。遊ぶときも全部子供優先ね」


 ……。

 …………。

 ………………。


「行くぞ、テレサ!! ノヴィを追いかけるのじゃ、なんとしてもノヴィの子作りを阻止せねば!」


「そうね、急いで行きましょう!」


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ~苦労人の場合~


 ルーカスは知っていた。おそらくレティとテレサに黙る必要のあった時点で、こんなことではないかと予想していた。ただノヴィは生誕の為、色々頑張っていた。少なくとも不利になることはおそらくしないだろうと、彼の好きなようにさせたのである。


 しかし状況が悪化。テレサどころか、レティまで外に出ると言い出してしまった。


「なりません、魔王様。外に出て行かれてはいけません」

「嫌じゃ行くのじゃ、は・な・せ!ルーカス!」

「な・り・ま・せ・ぬ!!」


「(誰だ入れ知恵をしたのは!!)」


 生誕の一番の苦労人が今日も奮闘する。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ~妖精族の場合~


「本当に私もテレスタジア(おばかさん)が味方で良かったと思います(ニタァ」


 彼女は一言告げると、再び書物を手に取る。


「色街に行くのは気に入りませんが、私がそれを追いかけるのも面倒ですからね。今インターハイの丁度いいところなので、手が離せなかったのです」


 彼女が手にしている書物は……某バスケット漫画。彼女は優雅に紅茶と茶菓子を堪能しながら、旦那(予定)のいない部屋でダラダラと過ごす。




 彼女(ヴィヴィアン)の手のひらの上で魔族が踊る。

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