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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第3章 勇者冠水編
73/92

第七十話 魔神・ミーツ・勇者(量産型)

 どうも新しい肉体になってから、身体性能が向上している気がする。元々のスペック低すぎた。結構普通に走っていても息切れを起こし難い。それとも魔神覚醒した影響だろうか。いずれにせよ好都合。


 俺はといえば銀貨二枚を貰った後、石透過(ハインディング)にてかつて無い速度でダンジョンを脱出している。皮肉にも最初の頃と同じ光景を繰り広げている。


(しかし今回の俺はちょっと違う!!)


 そう俺はもうあの巨人(サイクロプス)を利用しなくてもいいのだ。俺の手元にはレティとルーカスからの情報でまとめあげた、生誕(ダンジョン)パーフェクト攻略ガイドブックがあるのだ。これがあれば罠どころかモンスターすら余裕で回避よ。まぁモンスターに関しては石透過(ハインディング)があるため、何も心配していない。



 とりあえず俺の計画(プラン)。まず銀貨を持ってファルファシオンに行く。そうしたら商人ギルドへ行って、お金を引き出して、そのまま『大都市メルディカバリ』に向う作戦だ。浄火する際に指輪も消滅してしまったが、シヴ爺さんに会えれば即解決だ。以前ダンジョンを脱出する時とは違い、夢と希望とリビドーでいっぱいだ。あの時の俺とは違う。


 かれこれ上層と呼ばれる五層、六層あたりになってから、冒険者をチラホラ見かけるようになった。たどたどしく罠を調べている様は、なんとも初々しい。


 しかし残念なことが一つある。冒険者をこれだけ見かけているのに、伝説の装備を付けたあの御方がいないのである。そうかの有名な伝説のアーマー。


『 ビ キ ニ ア ー マ ー 』 のことである。


 女冒険者といえば、一人ぐらいこれを身につけていてもいいだろうと思うが、未だ見かけない。


(よーし、メルディカバリに着いたら、ビキニアーマー注文しちゃおっ!!)


 夢がどんどん広がる。俺のテンションはまさにうなぎ登り。


 三層に差し掛かった辺りで、妙なパーティーを発見した。


「ありがとう勇者、助かったわ」

「みんな大丈夫かい?」

「流石勇者様ですね」

「勇者がいると心強い」


 男一人、女三人のハーレムパーティーである。勝ち気っぽい女戦士ぽい娘(多分ツンデレ)、弓矢を抱えてるクールビューティー(貧乳)、そして色々ぱっつんぱっつんな僧侶っぽい服着たお姉さん(一番好み)。各種取り揃えている。勇者と呼ばれている奴がイケメン。こいつはリア充っぽい。あえて言おう。


「爆発しろ!!」


「え? 誰か今なにか言った?」

「いや、俺は何も」

「でも、今爆発しろと聞こえたよ」

「私も確かに聞こえました」

「確かに聞こえた」


 なんか凄い悔しいので思わず叫んでしまったよ。しかしなんだ、勇者を名乗るとこんなにモテモテになれるの? 俺、街に着いたら勇者になりたいかも。ちょっと魔神から勇者にクラスチェンジしてみようかな。


 あれかなどこかにダー◯神殿でもあるのだろうか。教会が勇者量産してるっぽいし、ありそうだな転職システム。いかんな勇者に喧嘩売ろうかと思ってたけど勇者憧れるわ。時代はやっぱり勇者だな。街に着いたら勇者の成り方調べてみようかな。そんなアホな事を考えていると。


「今日中に頑張って十回層目指そう」

「でもこのダンジョンにはサイクロプスがいると、聞いたことがあります」

「生誕にサイクロプスがいるわけないよ」

「大丈夫サイクロプスが居ても、俺がいるから」


 サイクロプスめっちゃいますから。それよりもあの勇者サイクロプス倒せるのかよ。見た目の割に結構凄いんだなあの勇者。まぁレティもいるし余裕だろ。魔術回路マギステル・サーキットが反則級に強いからな。しかもレティはそれをきちんと使いこなしているし問題ないだろ。


 この生誕(ダンジョン)は下層に行くほど、モンスターのレベルが桁違いに上がる。上層はいかにも初心者向けの下級モンスターとトラップゾーン。しかし生誕は過去の事件がキッカケとなり、下層にはかなりヤバイモンスターが配置されているのである。


 以前と違いレティがサイクロプスをもう少し下層限定にしたらしいが、それでも中層からかなり踏破難易度が上がるのは間違いない。パーフェクト攻略ガイドブックを書いているときにそう思った。


 リア充勇者パーティーは先へと進んでいく。


 あー勇者だけ死んで、他のパーティー魔族に捕まらないかなとか、そんな夢希望を考えている。そうしてプチ拷問が始まるのだ。


(『クッ殺せっ』。女騎士さんがいないので、あのツンデレ剣士の娘さんで代用)


 俺の一番の希望は、やはりあのぱっつんぱっつんな服を着た僧侶ぽい人だな。この世界に回復職があること初めて知ったよ。よくよく考えてみると、レティも肉体修復とかできてたし、あるんだろうな回復魔法。練習してみればよかった気もするが、今更だしということでキッパリ諦めた。


 そんな妄想を繰り広げながら、生誕を脱出した。


 久々のお日様や!!


 魔神になったら日光に弱くなるかもしれないと、少しだけ心配していたが全く問題は無かった。


 それじゃあ目指しますか、ファルファシオン。


 十年経っているけど……俺の冒険が始まる。

少し短いですが次の話をまとめたかったので区切りました。


次回からノヴィがちょいちょい無双するかもしれません。スミマセン。


次話7/21予定。

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