第六十九話 所持金 0G
遅くなりました。スミマセン。
結局あれから悩みに悩んだ挙句、アリーシャは渋々ながら俺に助力を頼んだ。正直そこまで悩まれると手伝う気が失せる。そんなことをボソッと呟いてしまった。
「スミマセン。スミマセン。スミマセン」
ペコペコ頭を下げるアリーシャ。あまりイジメると可哀想な為、程々にしておく。
「方針は冒険者ギルドの依頼を消化しつつ、名誉回復&勇者の評判もとい教会の評判落とせばいいね」
「はい、よろしくお願いします」
「オーケーオーケー、まぁいざとなったら教会直接潰しに行くからさ」
「ひぃいいい」
「ノヴィ様、指を出して頂けますか?」
「いいよ」
ヴィヴィアンが俺の指になにやら、絹で編んだような指輪を巻いてくれる。
「何これ、妖精のご加護みたいな感じの?」
「はい。私の髪で編んだ、加護に御座います」
(加護というよりは、呪いっぽいよなこれ)
「今、呪いとか思いましたね?」
「ソンナコトオモッテマセンヨ」
「まあ今はいいです。何かあればそれを通して私にアクセス、もしくは私からアクセスできるようになる目印だと思い下さい」
「結構便利っぽいね。ありがとう助かるよ。ヴィヴィアンは物知りだからなんか困ったことがあれば、頼るかもしれないからその時はお願い」
使い方をレクチャーしてもらう。どうやらこれを水に浸け、魔力を通せばいいらしい。うん、久々にファンタジーらしいアイテムを見たわ。ここ最近レティの超兵器になれていたせいで、この手のアイテムに懐しさを感じる。
「アリーシャさんは何処の街にいるの?」
「私ですか?」
「そそ、事情を知ってるのはアリーシャさんだから、アリーシャさん所に行くのが一番いいかなって」
「私は『大都市メルディカバリ』の冒険者ギルドにおります」
「初めて聞く街だ」
「生誕を出てファルファシオン、幾つか町村を越えると御座います。かなりの大都市の為、大抵の地図をご覧頂ければすぐお分かりになるかと」
「あーあれかな。昔商人の人と話したとき、ファルファシオンの輸入品は大都市から流通させていると聞いたことがあるよ」
「多分それかと。『大都市メルディカバリ』が中心となるイメージで、他の街が分散していますからね」
「オッケー。大都市ということは、もしかして色々なお店もあったりするのかな?」
「はい、それは勿論」
「じゃあさ(ゴニョゴニョゴニョ)」
「はいそれも勿論。国軍などもいるものですから、一通りは揃っていると思って頂いて良いかと。でも宜しいのですか?」
「いいのいいの、よっしゃあ。俺のテンション上がってきたわ」
俺が何にテンション上がったか? アレだよアレ。俺といえばアレだよ。そう色街。お姉さん達と遊べちゃうお店だよ。この世界に来て以来、行けそうで行けない大人スポットである。俺の癒やしとなってくれる場所はそこしかない。
俺の嫁といえば、知らない所でポンポン子供産んだり、財産目的で近寄ったり。この人達に癒やしを求めるのはもう諦めた。ファンレのことは一度封印する。
そう俺は癒やしを求めて、お姉さん達が沢山いるであろうお店に行くのだ。決して性欲目的で行くのではない。あくまで癒やしを求めに行くのだ。本当だよ?
目指せ桃源郷!! じゃなかった『大都市メルディカバリ』だ!!
「残りのケーキ二人で食べていいからね。じゃあ俺は寝るよグッバーイ」
俺はテンションマックスでベッドに潜り込む。
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~妖精族長の会話~
「アリーシャ、ノヴィ様は最後に何を聞いていたのですか?」
「少々お店の有無を聞いたぐらいですが(汗」
「最近のノヴィ様はそれはそれは沈んでおり、私も心を痛めていたのですよ」
「そうだったのですか」
「ですから、あれ程喜ばれているノヴィ様を見たのは久々でして」
「それはそれは」
「どのようなお店を聞かれたのですか?」
「宝石のお店があるかどうか、聞いてらっしゃいました……(汗」
「ほう……、わざわざ宝石店ですか……ノヴィ様の入れ知恵ですね?」
「(ひぃ、バレてますよノヴィ様!)」
「いえいえそんな。ノヴィ様は指輪を用意したく、宝石店を探していたようですよ(入れ知恵)」
「俗世の品々を持ち込めないことはノヴィ様も知っている筈。それに、この精神世界ではノヴィ様に創れないものは無いのです」
「(汗(汗(汗(汗(汗(汗(汗(汗」
「言いなさい。ノヴィ様が何を聞いたのか」
「(ひぃいいい。ノヴィ様スミマセン~)」
数分後、アリーシャがゲロってしまった。
「色街とは……あの方も困った旦那様ですね。私がこれ程にも愛しているというのにぃ……」
「ひぃいいいいい」
アリーシャはかつて無いヴィヴィアンの怒りに怯えていた。
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俺は再び生誕で目を覚ます。
(よっしゃああああ、いくぜえええええ)
かつて無いやる気に満ちた俺。リビドーが無限の原動力となる。となればまずは旅支度。武器は反則武器があるから必要無し。最低限、街に入るための金が欲しい。
(そういえば、俺が生誕の時に持っていたお金どうなったんだ?)
ルーカス辺りが把握してそうなため、本人に早速聞いてみた。
「ノヴィ殿の所持品は【黒き力】に呪われてしまった為、全て封印してあります。捨てることすらできないものなので」
「試しに見せてもらっていいかな?」
「了解しましたコチラです」
案内された先で箱を開けてもらう。何やら布で包まれている。
「私共は決して触れないようにと、妖精族の長から言われておりますので。こうして封印してあるわけです」
「ふーん」
いざとなったら浄火があるため、試しに布をめくってみた。
「うわっ、すげぇ真っ黒」
包みを開けると、例の短剣(聖剣もどき)、俺が所持していたであろうお金が全て真っ黒になっていた。お金に関しては金貨銀貨などが判別出来ないほどに真っ黒である。
「私にはこれが普通の短剣と金貨銀貨に見えるのですか」
「そうなの?」
「はい。ですので正直呪われていると言われても半信半疑でした」
「試しに浄火できるかやってみるかな」
俺はかる~~~~~~く炙るように力を入れてみた。
「浄火弱」
「「あっ!!」」
燃えてしまった。正確には跡形もなく消えてしまったのである。
「嘘だろ。まさか跡形もなく消滅なんて」
「凄いですね。正直あの時はテレサの言葉をにわかには信じられませんでしたが、呪いの品々を跡形もなく消し去るとは」
金貨銀貨どころか、あの黒い短剣(聖剣もどき)まで綺麗さっぱり消滅してしまった。
「あああああやっちまったああああ」
どうしようかな~。金が無いよ。まさに所持金0G状態に陥るとは……。
考えに考えぬいた末……。
「お願いルーカス。俺に銀貨二枚貸して下さい!」
「別に構いませんが。銀貨二枚程ならダンジョンの国庫から出しても大丈夫ですよ」
「まじか!?」
「はい、ノヴィ殿には色々開発に協力頂いておりますから」
「ヤッフゥゥゥゥゥゥ」
ルーカスが銀貨二枚をくれる。
「しかし、何にお使いになられるのですか?」
「実は新しい秘術開発用に(大嘘」
「そうなのですか(実は嘘と見抜いてる」
「うん。レティやテレサにもバレたくないから、黙っておいてくれるかな」
「ええ、構いませんよ」
「じゃあ秘術開発の為、少し旅に出るよ」
「道中気をつけて下さい」
「ありがとうルーカス。君のこの銀貨二枚大切に使うよ!」
こうして俺はイケメンに銀貨二枚のお小遣いを貰い、生誕を旅立つこととなる。
次話7/21予定




