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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第2章 魔神覚醒編
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第六十六話 魔神と女の子の魔術革命-後編-

 あれから俺の魔法は飛躍的に進歩した。まずあのおかしかった出力が大幅に改善された。やはりあのミミズみたいな魔力図がどうも致命的だったらしい。左手と体の一部のみの施術であったが、ここまで改善されるとは思ってもみなかった。


 しかし訓練の最中に気づいた、想像以上に集中力が必要なのである。正直こんな集中しながら魔法を使って戦闘とか考えられない。仮にも天に喧嘩売ろうとしているのに、これは致命的だと考えた。


「ノヴィが言うことも最もじゃ。妾も魔術の限界を感じておる」


 レティの話によれば詠唱などを唱えている人は、歌と発動イメージを結びつけて、無意識に魔法を発動させる技術らしい。


 レティも何種類かは無意識に発動させることが出来ているが、どんなに魔力があっても限界点があるため難しいとのことだ。


 レティが俺のガスバーナーに異様に興味を示した理由が今になって解った。既存の魔法イメージ、理論ではどうしても大きな壁にぶち当たるのである。根本的に何かを転換する方向で考える必要がある。


 ブレイクスルーソードは間違いなく、既存の魔法イメージと掛け離れるものである。レティにはこれが聖剣のコンセプトに非常に近いことを説明し、二人でウンウンいいながら剣の柄をジット睨んでいた。


 そして大きなヒントは、この魔力図を見ることが可能な眼鏡に隠されていた。


 実はこの眼鏡、魔力図がレンズ部に映っているとばかりずっと勘違いしていた。ある日おでこに眼鏡を上げながら、作業をしていたところでレティに言われたのだ。


「お主も魔力図をそのまま見れるようになったのか?」


 との経緯で気づいた。実はこの眼鏡レンズではなく、俺の網膜もしくは脳内に魔力図を見せる仕組みだったのである。


■ブレイクスルーソードの仕組みはこう。

 魔力(俺)→(剣)→(剣)魔法として出力


■眼鏡の仕組みはこうだ。

 魔力(俺)→(眼鏡)→(俺)なんらかの力→網膜か脳内に影響、魔力図が見える。


 眼鏡は俺の何らかの力を引き出す、もしくは俺にアクションさせる為の増設回路だった。


 レティは既にブレイクスルーソードというシステムを一度組んでいるため、俺が言いたいことを上手く理解してくれた。


「つまりノヴィが言いたいのは、入力以降を道具任せにし、魔術発動までを全部自動化するというのじゃな」

「そうそう。秘密はこの眼鏡にある。この眼鏡は頭に装着すると、見えない筈の魔力図が見える。だけど見ているのはあくまで俺。入力となるスイッチが道具(めがね)なんだ。俺の予想通りであれば、この眼鏡の仕組みには、装着者に自動作用する機能が組み込まれているはず」


 俺は眼鏡無しには魔力図が読み取れない為、レティに一度魔力図を紙に書き出してもらう。


「まずは、この魔力図を解き明かそう」

「うーむ。しかしこれは難敵じゃぞ。妾も何十年と調べてみたが、ワケの分からん数字がある」

「数字?」

「そうじゃ。一と〇が一杯あるのじゃ。ここが晶石に当たる部分がじゃが、一と〇の羅列がただ続いておる」


 あれだイメージじゃない、この場は地球理論で考えるべきだ。そもそも、この魔力図アレに似ている。日本で言えばコンピューターやゲーム基板だ。あれよりはもう少し違う感じではあるが、図面が一面にしか書けないとなると、これが回路図に近いものであると思われる。


 そして、今レティが教えてくれた一と〇の羅列。コンピューターは高速処理をする仕組み上、一と〇の単純なものしか判別できない。電気が通っているか、通っていないかで判断するのだ。


 コンピューターは一と〇の羅列を二進数処理にて作業する。おそらく、これのことではないかと考えをまとめる。


 この世界は計算技術の概念が非常に未熟である。まず時計や一週間あたりの日数が存在しない。ヴィヴィアンに聞いた話では、この世界の一年は五百日で計算しているとか。


 レティには、十進数と二進数の違い、計算方法を丁寧に教えてあげる。


「というワケなんだけど……どう理解できる?」


「お、おぬしっ。天才か……たしかに一と〇だけであれば、魔力のON/OFFにて判別することができる。となれば、ノヴィが言っておった回路というのは、十分作る見込みがある」


「実は俺の居た世界じゃ、結構ありふれていた基礎技術なんだけどね。利用者が中身の仕組みを理解しているかは別だけど」

「素直に喜んでいいと思うぞ。少なくともお主はその知識を、妾に伝えるだけの理解度を示しておる」


 レティに褒められることを素直に喜んでおこう。


「レティちなみにもう一つあるんだけど……」


 俺は理解を十分示してくれたレティに、コンピューターで扱う、十六進表記、二進表記、機械化言語(アセンブラ)について説明する。


「お主、本当にこれが世界でありふれていたものなのか?……ここまで来ると妾でも疑うぞ」

「まぁ実現できるかどうかはともかく、予め辞書の塊みたいなものを作っておいて、この命令をしたらこれを引き出して~みたいなプログラムという技術を一端挟んでいるけどね。今回はこの辞書の一部と眼鏡と同じ装置が作ることができれば大丈夫だと思う」


「お主の説明で大体解った。心配せんでもノヴィの注文の品ぐらいは作れそうだぞ」

「おおおおおおお!! さすが天才でおられるレティ様だ!!」

「お主に天才と言われると、なんか馬鹿にされておる気分だ」

「いやいや超褒めてるよ俺。こんな説明で十分な理解を示してくれるだけでも、凄いと思っているよ」


「ノヴィお主の理論は簡単に考えておるようじゃが、これは紛れも無く魔術史上の最高峰の最強の力となる。無詠唱どころの問題ではない、高速詠唱などの発展に即繋がる。紛れも無い反則技術じゃ」

「でもレティがいなかったら、この境地には辿りつけなかったからね」

「そうか。もしかしたら妾とノヴィが出会ったのは、運命だったのかもしれぬな」





 言えない。こんな状況で言えない。俺が真に呼ばれた最大の理由……


 ヲタク趣味を持っていたからだなんて言えない。こんなキラキラ輝いている女の子の前で言えないよ!!

とりあえず2章のクライマックスです。なんか戦闘してねーのにクライマックスというのもあれですが、3章から戦闘がちょこちょこ混ざる予定なので、引き続きよろしくお願いします。


次話7/20予定。



※アセンブラとかうろ覚えだったので、これおかしいだろみたいなのがアレば指摘下さい。

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