第六十七話 魔術回路-マギステル・サーキット-
アップが遅くなりました。よろしくお願いします
「おいノヴィ、これを計算しろ」
「…………あいよ」
あれから俺とレティの徹夜作業が連日続く。最初はもうお払い箱かと思いきや、計算を全部俺任せにしているのである。レティの計算機(人力)状態。先に変換電卓でも作ったほうがいいと提案したが、本人は今やっている作業に夢中らしく、変換電卓は後回しになった。
そして十日程の徹夜作業を繰り返し完成した。
「『最強無敵魔法バングル』じゃ」
あかん。またドヤ顔で言い出した。しかも道具が自信作なだけあり、ネーミングも相当自信があるらしい。さっさと名前を変えよう。
「レティ提案がある」
魔力図という名前をもじろうとも思ったが、この腕輪は完全に回路を使っている。であれば……
「『魔術回路-マギステル・サーキット-』にしよう……どう?」
「おっ、お主はいつもいつも、いい所で………………………………」
あれ? 駄目っぽいかな?
「なんでそう、そんな格好良い名前を考えることができる!! ノヴィばかりずるいぞ!」
どうも怒っているポイントが違うらしい。ということで俺達の最強魔法道具である『魔術回路-マギステル・サーキット-』が誕生した。
早速皆の前でお披露目会となった。
テレサがすげぇ睨んでいる。最近レティとばかり作業していたせいで、どうも俺がレティと浮気しているのではないかと睨んでいたらしい。流石にレティとイチャコラしちゃうと色々問題がある。それに幼女は愛でるものだ。
「魔術回路起動!! 一番ロード、ファイヤーボール!!」
レティが早速試すと、あっという間に火球がスポーンと飛んで行く。
「アーハハッハハハハ、妾は最強の力を手に入れたぞ!!」
駄目だその言い回し。その言い回しはいつか最強じゃなくなるフラグだ。といつもなら思うが、正直な所マジで最強クラスな匂いがする。この腕輪はプロトタイプだけど、発展に伸びシロがありすぎる。レティのさじ加減とひらめきで、幾らでも性能を増やすことが可能なのだ。
レティが例の秘密の部屋に入り浸っていただけあり、参考になる道具もとい魔力図がゴロゴロしていた。最初は意味不明だったものをレティが理解、紐解いてしまい、スーパー魔術兵器のアイディアにしてしまった。
先程は音声を発していたが、実はイメージ入力も可能な方式。構築しているナンバーはプロトタイプで一番から四番までを設定。一から順に火水風土を属性記憶させてある。ロードした際に体内にある魔力を最適化、それを直ぐ引き出すようにしたらしい。あとはイメージを形どれば、ハイ完成。イメージが固まらなければオートで放出系になる。
イメージが混ざるということはあれだ、イメージ力が通用する。俺向きなアイテムになってしまったのである。今までは俺のイメージが通用しなかったが、この回路を通すことで、イメージが最適化される。
あれ……あれ、なんかどっかでみたなこいつ……あれ何処だっけ。どっかで似たような……、
「『マジカル倉庫』じゃねーか!!」
「ノ、ノヴィどうしたの?」
「ごめん急に。実はこれ庭先にあった倉庫の仕組みに似ていたからさ」
今更ながら、コイツの黒箱っぷりに気づいてしまった……。
ちなみにこの『魔術回路-マギステル・サーキット-』トンデモナイのはこれじゃない。またまた付けてしまったのだ、レティがいつものように
『 お ま け 機 能 』 を !!
「並列回路!!」
「スタート10、二番マイナス、ウォータードロップ!!」
スタート10は同時詠唱10個という意味。二番マイナスは水属性の威力弱め、ドロップというぐらいだから雫を連想したのだろう。
レティの空中には拳ほどの水が十個浮かんでいた。
「アーハハッハハハハ、見たか皆の者。これが妾の力じゃ!!」
皆ポカーンと見ているよ。まぁ初見じゃあたり前だよな。この世界の魔術は同時詠唱なんて、せいぜい二つ三つが限界らしい。それも威力があやふやになったり、慣れているものでも相当時間が掛かるとか。
この副次効果が生まれるキッカケとなったのは、俺のある発言からであった。俺が最初に炎の魔法を研究していた際、炎と風が同時に発動していたことである。無意識で二つ発動できるということは、無意識なら二つ三ついけるんじゃねと言い出してしまったのがキッカケだった。これに気づいてしまったレティ先生がまたやってしまったのである。無意識にやりたい同時魔法を、意識的に発動するというとんでも無い副次効果を付加してしまった。
余談ではあるが、最小出力でテストしてみたところ、レティで並列起動最大500、俺は200が限界であった。因みに起動出来ないと不発に終わる。起動失敗となりエラーを起こす仕組み。
いずれにせよ並列起動数には限界があり、個人でその最大値に差があるらしい。五百と二百では頭の出来に差があるということなんだろうな。ちょっと悔しいけど、一般的な最大数が解らない以上諦めるしか無い。
こんな危険なアイテム、敵や他の者に奪われると拙い。レティがとりあえず適当なダミーを描いたり、俺とレティの魔力図専用で作動するよう作ってある。
当然こんなびっくりアイテムを見ればどうなるか……
「「「私達にも作って下さい」」」
となるわけである。あのルーカスでさえ、欲しくなる超兵器だったらしい。
この話はちょっとだけ続きがある。
「「起動しない!!」」
「発動はしますが、並列起動なんてできませんね」
入力元、出力先である者の魔力が足りていないと、満足に動かせない。あの施術を僅かでも体験したルーカスには辛うじて入り口が存在しているため、他の二人よりも動いているらしい。ライオンのおっさんとトカゲのおっさんは悔し涙をこぼしていた。
結局可哀想に思ったレティが簡易版『魔術回路-マギステル・サーキット-』を作った。俺達の腕輪型と違い、指輪型、イヤリング型、首輪型となる。皆それぞれ魔力図が異なり、レティがエネルギー伝達の効率の良さそうな部分を選び、オーダーメイドで作ったらしい。
こいつの仕様を考えると、専用設定を仕掛ける必要も無かった気がするが、用心に越したことはない。
魔神と小さな魔王はここから進みだす。小さな一歩だが、これが世界への一振りになると信じて。
オレの袖をクイクイ引っ張る方がいらっしゃる。羊のお姉さんことストゥニールさんである。
「どうしたの?」
ストゥニールさんも魔術回路欲しいのかな?
「皆さんが大事なことを全然お伝えしていないようでしたので、私からお伝えしようかと」
「なんのこと?」
「随分とゆっくりしていらっしゃるようなので、多分気づいていないと思います……」
周りを見ると皆が目を逸らす。アレ、何この雰囲気。
「ノヴィ様が、眠りについたあの事件から…………」
え? 何この雰囲気。まさか誰かがまた……!?
「あれから十年経っております」
「──え゛、─── じ ゅ う ね ん !?」
「はい、十年でございます」
ヴィヴィアンの話しによればこちらの一年は五百日計算。地球で換算の場合おおよそ1.4倍。
地球で考えた場合、十四年後……ちょっと意味がわからないよ…………こんなの絶対おかしいよ!!
これで2章は完結です。3章は14年後の世界の話。
あらすじやタグを書き直してみましたが、微妙だと思われるところがあればご指摘頂けるとありがたいです。
稚拙な文章ですが、ここまで読んで頂きありがとうございます。
次は早ければ7/20にアップ出来ると思います。これからも宜しくお願いします。




