第六十二話 最強の魔法武器
「アツッ」
「アツッ」
結局あれ以来、大きな進展が無いまま、二人でこのガスバーナーの練習をしていたのである。
「肉体を高速で修復すれば、一定までは威力を高めることが出来るのじゃが」
「いやいや、レティはできるかもしれないけど、俺は無理だし。それにそれは禁止したでしょ。女の子が火傷の傷とか残すと俺も皆も悲しむから、自滅系は禁止」
「むぅ、そうか」
あれから気流を上手く使う方法、酸素を集中的に取り入れる方法などを駆使して、威力を高めるということは実証できたが、レティでも火傷をなんとかすることができないでいた。
そこからガスバーナーは本来どのように使うものかと聞かれる。
「本来は実験道具だね。お水を温めたり、家庭的なものになると調理に使ったりするんだ」
「ノヴィは本当に変なところから来たのじゃのう。武器には使ってなかったのか?」
「うーん、ガスバーナーとは仕組みが違うけど、炎を使った武器では火炎放射器かな。俺が使った浄火のイメージはそれに基づいているよ。あとは炎ではないけど、似たような系統の武器はあるね」
「どのようなものじゃ?」
俺はガン◯ムに出てくるヒート◯ークとか、ビーム◯ーベル的なものを説明してあげる。
中途半端になってしまったけど、ビーム◯ーベルについては電気から始まり、荷電粒子などの説明も含める為、相当な時間を要した。
「ノヴィの世界では、そのような凄い武器が出回っておったのか?」
「いや空想の世界だね。こっちで言うと、本とかに出てくるんだ」
「でも本に出てくるということは、考えついたものがおるのであろう?」
「そうだね。最初に考えた人は凄いと思うよ。最初はなんだろう。ビーム◯ーベルか映画のライト◯イバーが原型な気がするけど、俺もわからないな」
レティが興味深そうに聞いてくるので、色々話してあげる。
「お主の炎魔法。そのなんたらサーベル、なんたらセイバーと似ておらんか?」
「んー形は似ているね。ただあっちは多分電気や電荷の力だから、炎と根本的に違う気がするな。俺もちょっと自信が無いけど。炎で実現するとなると、それこそ燃えない柄を作らないといけないからね」
「そうか…………いや待てよ。ちょっと宝物庫を見てくる」
そう言ったレティは部屋を出ると、急に音沙汰が無くなったのである。その一方俺は黙々とただ、炎の研究に努めていた。
~十日後~
「おいノヴィ作ったぞ!!」
「ん?」
「だから作ったぞ。お主の言っておった、なんたらサーベル」
「え? 電気の力あるの?」
「それは知らん。だから炎で作った」
おう。教えた俺が言うのもなんだが、ちょっと分からないことを言い出した。
「ほら、はよ持て。ノヴィの分じゃ」
レティから手渡されたのは、確かに剣の柄らしきものであった。イメージは俺が伝えた、ビーム◯ーベルやライト◯イバーに近い鉄筒である。
そしてレティの分も合わせ二つ。レティによれば、竜の牙の素材やら色々使って、燃えない柄を実現したらしい。そもそも本来魔法の発動に対して、このように媒体を出入口にするという発想が無かったとのこと。この世界には、既存の武器に属性付加と呼ばれる技術しかなかったらしい。
現代的に例えるなら、ホースの先にシャワーヘッドや、圧力の高いウォータージェットという出力口を作ったという雰囲気らしい。従来の魔法はこの飛び出た水に、力や手を加えていたとか。どうやって作ったのかは一切知らん。
でもよくよく考えてみると、これって聖剣に似た感じである。吸い上げた力を剣で出力しているだけだし。そうだやはり聖剣とコンセプトが似ている。あれは完全に見た目が剣だけど、水やりに使うというイメージが入っている為、俺的には割としっくりハマる。
俺達の魔力をダイレクトに吸い上げる為、魔力がそこそこ無いと、出力も大変とかなんとか。とにかく一度試しにやってみようということで、一番広そうな玉座の間にやって来た。
~ヴォボボボボボボボボボボボボボボボボボボ~
「なんか、物凄いヤバイ音がするわ」
ライト◯イバーが、ヴン、ブゥ~ンという感じであるとする。今手に持ってる武器は、とにかくエネルギーが常に燃え続け、燃費無視でゴゴゴゴゴゴと超超最大出力になっている感じなのだ。
「ノヴィの言っていたのはこれじゃろ?」
「そうだね多分これよ。凄いなレティは、俺の説明とイメージだけ作っちゃうから。天才だよレティ」
なんか違う気がするけど、レティが凄い嬉しそうに言うから褒めてあげる。レティが嬉しそうだし、別にこれでもいいよね。
とりあえず二人でチャンバラごっこ的な遊びが始まった。
二人とも剣術は丸っきりであるため、完全に子供の遊びである。ただ武器が恐ろしく凶悪。
実は試し切り用に不要な鎧を用意してもらったところ、一瞬で切り裂いたのだ。いや正確には、溶かし裂いたという感触。抵抗感が殆ど無く斬れてしまったのである。
凄い燃費悪い感じだったので、一度心配になってヴィヴィアンに聞きに行ったところ、今のところは特に影響が無いらしい。あまり燃費が悪いようであれば言ってくれとは伝えたが、私のものはノヴィ様のものですから、心配しないで下さいとか言われたわ。
とりあえず二人でチャンバラごっこで遊んでいると、ある男が俺達に目をつけた。
ライオン丸ことハッセルである。
「我の自慢の剣を見よ!」
とかいって、俺達のチャンバラ遊びに混ざってきたのである。だがライオンが直ぐに涙目になる羽目になった。俺の剣撃を受け止めようとした際、問答無用でその剣を溶かし切ったのである。結局、涙目のままライオンの人が去ってしまった。
「ハッセルに悪いことしたかな」
「まあいいじゃろ。ノヴィは最初に止めておいた方が良いと、伝えておったしのう。それよりも続きじゃ。次は妾がダー◯・ベイダー役じゃぞ」
結局二人で星の戦争ごっこを始める。しかしこれで終わりではなかった。そうライオンはこの生誕でも最弱。次の刺客が勝負を挑んできた。
「俺とも一度手合わせ願おう」
トカゲのオッサンことヴルムが勝負をふっかけてきた。
「いやいやマジでやめたほうがいいよ。ハッセルの武器なんて、一発で駄目にしちゃったからさ。この武器想像以上にヤバそうな代物だよ」
「大丈夫だ。俺のコレクションの一つから、竜の牙で作った逸品を持ってきた」
何やら竜の素材は熱耐性が異常に強く、その中でも炎袋とブレスを直接浴びる牙は、炎属性を無効にするらしい。
といった流れで始まる。
「いつでもいいぞ」
ヴルムが余裕で構える。まぁ炎属性が効かないとなると、普通の剣術勝負になっちゃうからな。俺では勝ち目が薄い。
「いくよ。お願いします」
で、俺が一振目を横から一気に薙ぐように払うと、予想していた通り、ヴルムの剣に阻まれた。
(やっぱりこうなったか。まぁ負けても当たり前だし、こうなったら手当たり次第に切ってみるかな)
そう考えると、二振目の瞬間であった。ヴルムの剣を透き通ったのである。
「ヤバッ!!」
寸前で剣をなんとか逸らす。ヴルムも尻もちを突くように回避していた。
「おおおおおおおい!! ノヴィ何だその剣は!?」
「いやいや、俺も知らないって。レティが作った剣だし」
あまりの異様な動作に、俺とヴルムがレティへ確認する。
「壊せない武器があれば、いつかこっちの武器が折れるかもしれないからの。一定の衝撃を感知すると、炎の収束率と出力を瞬間的に下げるようにしてみたのじゃ。アッハハハハハ」
レティといえば、ヴルムが尻もちを付いた姿を初めてみたらしく笑っている。俺はヴルムを溶かす寸前だったから、マジで笑えないわ。
それよりもレティがとんでもないことを言い出した。折れない武器を作ったのだ。折れ難い武器ではなく。折れないだ。一定の強度と炎が感知した武器に対してだけ、出力を弱くするように設定したとかなんとか。しかも炎属性を無効にする竜の素材に対して実践してしまった。
とどのつまり、炎属性無効に対しても、有効打にする武器を作ってしまったのである。例えば炎属性を無効にする鎧を付けていた相手と相対していても、鎧を通り、中にダイレクトアタックするらしい。超高出力な攻撃力でも驚いていたが、ソレ以上のトンデモ兵器であった。
俺の理論で考えると、無効属性の物質が通った瞬間、力は遮断される為、刃が短くなった状態になるかと考えたが、どうやら違うらしい。あくまで収束率と出力を落とすのは、その無効とされている部分だけらしい。何やら宝物庫に似たようなアイディアのアイテムがあった為、それの魔法図を参考にしてみたとかなんとか。
そもそもこの武器、折れても無限再生できる。なんせ魔法だ。この武器の一番ヤバイところは、レティがオマケが感覚で付けてしまった付加効果。
魔神属性が言っていたことを思い出す。
レティが反則存在だったことを忘れていた。
次話7/19予定。
もう一話分だけ武器の話が続きます。




