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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第2章 魔神覚醒編
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第六十一話 出来損ないの未知の魔法

「どうですかノヴィ様。捗っていますか?」

「なんとか少しはマシになったよ」


 羊のお姉さんがお昼を持ってきてくれた。俺が部屋に篭っている為、最近はこうしてご飯を運んできてくれるのだ。本当このお姉さんには頭が上がらない。一応ちゃんと謝ったところ、こうして前よりも優しくしてくれているのであった。


 実は炎を見つめ一つ気づいたことがあった。本当に僅かではあるが、風魔法が自動で発動していたのである。ガスバーナー的なものかと思い、風魔法と炎魔法を同時にコントロールしてみたところ、随分と炎がマシになったのである。


 ただし、問題は山積みであった。


「アッツ!!」


 そうこれだ。炎属性の魔法は威力が上がると、ダイレクトに熱さが伝わる為、高威力での維持が難しい。特に俺はガスバーナー的なものから理論を持ってきている為、威力を上げれば上げるほど自分を焦がす、一種の自滅技になっているのである。


 試しに色々な炎属性の魔法を見せてもらい、火球とか完全に手から離れているものを真似てみたが、やはり上手くいかないのである。


 実は威力を底上げできる自信があるにはあるが、こうして手や指を焦がしてしまうため、なんとか出来ないか模索中なのであった。威力の練習よりも指や手を焦がさない練習のほうが重要。



 暫くそんな実験を繰り返していると……、


「ノヴィちょっといいか?」

「ん? ああ良いよ。何か用事?」


 レティが少し気まずそうに入ってきた。


「お主が随分と落ち込んでいるかと思ってのう」

「ああ別に心配しないでいいよ。ちょっと調子に乗っていたし反省はしたよ。一応炎の魔法はマシになったからさ。今はその練習をしているところだよ」

「ほう。良かったら妾に練習の成果を見せてくれぬかの?」


 なんだかんだでレティはこーいう気遣いができる魔王様なのだ。


「おーけー。じゃあ行くよ。といっても威力を上げ過ぎると、自滅するからね」


 俺は自分の限界である出力のガスバーナーを轟轟出してみる。こうして気遣ってくれるレティの為に多少は格好良いところ見せたいと思い、いつもより少し出力を上げてみる。


「アッチチチチチ!!」


 数秒も持たないまま、水を貯めたバケツに手を突っ込んだ。


「というワケなんだ。レティや他の皆みたいに火傷しないで使うのは、まだまだて段階だよ」

「お主なぜ火傷(・・)をしておる?」

「ん? だって火は威力高くしたら、火傷するでしょ?」

「ちょっと待て、普通は自分の魔法で火傷などせぬぞ」

「んん? いやいや普通火傷するでしょ」


 どうも俺とレティの理論が噛み合わないため、まずは俺が練習してきた過程を説明する。


「ふむ。随分と妾が持っているイメージと違うのう」

「そうなの?」

「そうじゃ。普通は炎魔法を作ったら、それを形取って、あとは魔力を注ぎ込むんじゃ」

「ふーん」

「ノヴィ、試しにお主のソレ妾にも教えてくれぬかのう?」

「別にいいよ。といっても正直使い勝手悪そうだけど」

「お主と同じ魔法を使ってみたいんじゃ」

「わかったよ」


 そうして俺のガスバーナーの練習を始めてみるが、予想外なことにレティも上手くいかないことが判明した。


「うーーーむ。思っていた以上に、難しいのうこれ」


 最初は威力が高くなったもの、ライターやガスバーナーのような炎の塊を収束できないのである。


 一度炎の練習を止めて、理科の授業を始めた。酸素、二酸化炭素についての話である。


「ノヴィは物知りじゃのう」

「そう? 俺にとっては割と常識に近い一般教養だったんだけど」

「そうなのか妾は学び舎という所には行ったことが無いからのう」


 あーアレか、蟻のやつね。確かに外に出れると分かっているのに、出れないのは少々可哀想だ。


 結局、炎は二酸化炭素のみになると燃えないなど、色々授業をする。



 ~翌日~



「ノヴィ、ノヴィ!!」

「ん? どしたの?」

「見ておれよ…………」


 レティが例のガスバーナーを実践した。


「アッツうううううう」


 レティも慌てて、手をバケツに突っ込む。


「あーあー、わざわざ火傷するなんて。レティも変なやつだな。女の子なんだから、火傷とか怪我には気をつけろよ」


 俺が注意しても、出来損ないの魔法に成功したことを嬉しそうに喜ぶレティ。


 それから暫く二人でガスバーナーの魔法を出しては、二人でアッツアッツ言いながら練習を重ねていく。



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ~ノヴィを見守る者達~


「遂にレティまでオカシクなったわ」

「まさか魔王様まであんな……」

「そろそろ怪我する前に、止めたほうがいいかもしれんな」

「でも、魔王様も笑っておるぞ」


「お暇なら皆様掃除なり手伝って下さい」


 以前と同じように一同をたしなめるストゥニール。


 ストゥニールは時々レティが孤独でいることに気づいていた。知識が豊富であるテレスタジアを抜き去る程に、レティは天才であった。しかし生誕にはレティ以上の天才はおらず、結果として一人で知識を高め、一人で魔法を高めていたのである。


 レティが魔法を修練出来る仲間に初めて巡り会えたこと、喜ぶ姿を優しく見守るストゥニールであった。


「頑張ってくださいお二人共」

次話7/19予定。

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