第五十九話 ノヴィ危機一髪
遅くなりました。宜しくお願いします。
お爺さんとお婆さんが石を割ると、中からなんと! 裸の魔神が出てきました。
駄目だこのイメージは駄目だ。真っ二つの俺が出てくる。なぜあの日本昔話は、桃だけピンポイントで切れているんだよ。実は爺、婆の何方かが物凄い剣の達人だったのではないかと思う。
それよりも問題は現在。そして今まさにヴルムが剣を振りかぶっている最中であった。
「フンッ!」
「────ササ」
「フンッ!」
「──ササ」
必殺緊急回避。必殺でもなんでもないけどな! そもそも俺が殺されそうだし。必殺技項目に回避技があるゲームやアニメは色々間違ってるよね!
「ハッセル。この石を動かぬように抑えろ」
「ハッ」
(あ~ばよ~とっつぁ~ん)
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石は にげだした!
しかし まわりこまれてしまった!
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「お主等この石を抑えろ。妾が直接割ってやる」
おう……、レティが本気になってもうた。かくなる上は…………
「HAHAHAHAHAHAHA。お前達よく俺をココまで追い詰めたな! 流石だ」
「何を言うておるこの石。面妖な石だな。サッサと砕いてやる!」
「俺だよレティ、俺俺俺俺だよ、ノヴィだよ!」
「お前みたいな面妖な石がノヴィな訳なかろう! その石砕いて中を見てやる!」
だめだよレティ。俺を砕いても間違いなく臓物しか出てこないから!
「裸だったから石になって、隠していたんだよ。だからその物騒な魔法サッサとやめてよ!」
「何を阿呆なこというておる。そんな馬鹿な理由で石になるやつがおるか!! サッサと砕いてやる」
(えええそんな馬鹿な。えええい『解除!!』)
「ね? 俺でしょ? 俺だよノヴィだよ」
「石め、今度はノヴィに化けおったか!」
(えええそうなっちゃうの!?)
「レティ、その石というかそれ本物のノヴィよ……多分」
「ありがとうテレサ。流石俺と恋仲なだけある。俺を本物として一発で見抜くとは」
「うん。ところでノヴィは私達のお風呂場に行ったのね?(ニコニコ」
「フュ~~~~~(下手くそな口笛」
「一回死ね!」
「ひぃ!(ギリギリ回避」
俺が回避したところに、物凄い殺意の塊が走る。
「ひぃいいいいいいい!(偶然回避」
物凄く大きい鉄の塊。それが何かと見ると、どうやら斧のようである。その斧の先を辿る、ある御方が持ってらっしゃるようでした。羊のお姉さんだ。普段はクールな彼女が、真っ赤な顔で斧を振り下ろしたのだ。
「これは石。これは石。これは石。これは石。これは石っ!!」
ストゥニールが石と呟きながら、斧雨が降り注ぐ。
「待って下さい。ストゥニールさん。俺は天に誓って何も見ていない!」
「…………見た?」
あれ? なんか怒りの沸点のポイントが違った?
「何を見たのですか……ノヴィ様。さっさと吐きなさい!」
「ひぃいいいいい。見てません見てません。お着替えとか決して見てません!」
「っ!!────────────」
今日一番の一撃が振り下ろされる。
「ひぃ!」
~一時間後ぐらい~
「お主もアホよのう。秘術をロクでもないことに使いおって」
あれからテレサとストゥニールさんの二人に散々足蹴りに。巷ではこれをご褒美とか、ありがとうございますぅううと言うのが礼儀らしい。あえて言おう、死ぬからね。本当マジで。ご褒美とか嘘だから。目覚めそうになったとかないからね? 本当だよ?
その後簀巻きにされ、こうしてレティの前に転がされていた。
「我が名は魔神ノーヴィス=レムリアンシード!! この世界を破壊する為参った!!(簀巻き状態」
「お主その格好で言っても、欠片も説得力無いぞ」
しかも俺の両サイドには執行人のように、テレサとストゥニールが立っている。
「テレサぁ~、お主本当にこんな男が好きなのか?」
「…………ちょっと考え直している最中です」
あぁ、早くも破局の危機が迫っている。
「とりあえず、この縄と着るものをなんとかして欲しいな(テへ」
「妾は構わぬが、お主の横にいる二人が怒っておるからのう。いい加減許してやれ二人とも」
「「死刑!!」」
~更に一時間後ぐらい~
おかしいな。魔神覚醒したはずのに、この生誕のカーストは相変わらず一番下っ端だよ。なんとか服は着せてもらえたもの、正座させられていた。
「お主随分と魔力が増えたものじゃの、妾には及ばないが結構な力だ」
「多分ヴィヴィアンの湖と俺の外殻が、つながっているからじゃないかな?」
「ほう。妖精族の長か。確かにあの女であれば納得できる魔力量かものう」
ん? というかヴィヴィアンの湖でも相当でかい気がするが、レティのはもっとでかいのか? そっちの方が俺は驚きだよ!
「してノヴィよ。お主さっきのアレはなんだ?」
「あれね。俺が覚えた秘術よ秘術。魔力扱えるようになって、秘術覚えたの」
「使った場所は夢魔族のお風呂場だけどね」
「そっ、そうすね……スミマセン。でも、あのお水作るためて言ったでしょ」
「あ゛ん゛?」
「すみませんすみません。俺が全部悪いです」
「ノヴィは他に魔法使えるのか?」
「もう一つ、浄火という秘術が使えるね。あとはアレンジでちらほら」
「ほう。試しに見せてくれ」
ということで、試しに見せてあげました。
「浄火(弱火)」
俺のかざした手からは、そこそこの火がボボボボボと出ている。
「どう? 結構すごいでしょ」
「何を言うておる。サッサとやらぬか」
「え? 今出てるよ。ほら」
試しに中火にしてみる。さっきよりも轟轟出て、そろそろ周りに影響が出そうなレベル。
「ほらほら」
「だからお主何を言っておる。お主が手を突き出してるようにしか見えぬぞ」
「まじで? うそ?」
「レティ、私には見えたわ。ノヴィ多分だけど、精神体が見えるような人じゃないと、その炎見えないのかも」
「まっ、まじですか!?」
じゃあ何、もし俺が『セイクリッドファイア!!』みたいに言っても、周りには見えないから、超痛い厨二病末期患者に見えるということ? うわー酷い、これは酷いわ。
「でもノヴィ、浄火は下手に撃たないほうがいいかも」
「ん? どーいうこと?」
「ノヴィの浄火は普通の人に見えないの。だけど精神体には直接攻撃が当たるの。ここまでは分かる?」
「うん」
「さっきノヴィが撃っていた時、私はかなりの熱さを感じてたわ。つまり精神体への攻撃手段となるの。私やノヴィは精神体の防御手段があるけど、普通の人には防御手段が丸っきりないの」
「そうなの?」
「本来精神世界には住人が存在していなかった。そこから攻撃されることもなかったから、こっちの世界にいる人は防御手段を備えていないの」
「もし、一般人に当てると、即まる焦げということ?」
「そう。だから普通に人には撃たないほうがいい。いきなり魂だけ燃やす秘術になるから。多分ノヴィや周りが思っている以上に、ソレ凄い凶悪よ。なんせ一般の人には見えないから」
理解した。ゲームで考えると普通の攻撃、魔法を使ってもHPと防御力でしか計算されない。だけど精神攻撃に属する浄火はSP(精神体のHP)と精神防御力で計算されるということ。一般人には必要のないパラメータであった為、SPと精神防御力が滅茶苦茶低いということらしい。
「ノヴィは随分と逞しくなったの。他には何ができるんじゃ?」
「よく聞いてくれた。俺は最強らしいからね。だから何でもできるよ!大事なのはイメージよ。イメージ」
「ほうほう、はよ見せてくれ!」
「よし行くぜ、イメージしろ!」
そうして俺はイメージを高める。ヴァン◯理論で行くぜ!
次話は7/19予定です。




