↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第2章 魔神覚醒編
55/92

第五十三話 姉さん、いよいよ俺も憧れの給水マン

『サキュバスの大好きな水』に蜜を加え、子供たちに『甘露』を配る仕事。


 毎日大忙しです。


 …………。

 …………。

 ……………………。


「ノヴィ様……もう花の蜜がありません……」


 サングラス装備のヴィヴィアンが戻ってきた。


「もう、やってられるかぁあああああああああ」


 蜜の有無以前に色々限界である。俺はサングラスを放り投げる。


 そもそも何故サングラスか。


 そこら中でペカーペカーペカーとフラッシュしまくり。最初は神秘的だったのに、公害並みの扱いになっていた。子供には罪が無い為、そのような事言えるわけもなく、俺がマジカル倉庫からサングラスを用意。ウー、フィー、ナー用も取り出したのは言うまでもない。



 俺は妖精達一同を連れ、サキュバスの住処『魂の回廊』へと旅立つ。



 ~魂の回廊到着~



「なんじゃこりゃあ」

「あぁ~(ふらっ」


 ヴィヴィアンが目眩を起こしたかのようにふらつく。無理もない。魂の回廊にはサキュバスが溢れかえっているのである。以前は美人が歩く街並みに喜んでいたけど、もう有り難みも何も無いわ。


 一言で言うなら『大量発生』。


 この大繁殖の原因は、俺の取り付けた蒸留装置のせいだろう。しかしこの繁殖力は異常過ぎる。


 直接、一族の長に聞くしか無いとテレサを探し出す。


「おい、テレサぁ! これは一体どうなっとんじゃあああ!!」

「あら、ノヴィ久しぶりね(よそ見」

「なんでこっちを見ない?」

「何のことかしら?(よそ見」


 この女(テレサ)俺と目を合さないで、逸らしているのである。


「話せ、今直ぐに大繁殖の理由を。話さないと蒸留装置を撤去する。水も全部捨てるからな」

「待って、全部話すから待って。後生だから許してお願い」


 サキュバスの特性を知る。彼女達の生殖には男性が必要無いらしい。最初は無性生殖のことかと思いきや、魂を分裂させて増やすのだという。例えるなら細胞分裂である。


 これがそもそもどうして大繁殖に繋がったのか、紐解いていくと犯人像が徐々に浮かび上がる。


『サキュバスの大好きな水』の味にハマってしまったお姉さん達は、やはり例の如くガブガブ飲んでしまったらしい。で、当初はテレサと同じく発情してしまい、結果一人で鎮める事となる。


 しかしここで、ある裏ワザを見つけた人物がいたのである。先に子供を作る、この場合魂を別けると言ったほうがいいであろう。魂を先に別けて、消耗状態から『サキュバスの大好きな水』を飲むと、なんと発情しないことが判明したらしい。


 サキュバスは一人で鎮める行為が相当恥ずかしいらしく、皆が皆こぞって裏ワザテクニックに走ってしまったとの経緯。


 俺は犯人に一つ心辺りがあった。蒸留装置を付けるよりも前の日(・・・)のことである。全然見覚えのない子供達が、初めて俺の家の前にやって来た日のこと。


 あのとき、水の味を知っているのは彼女しかいない…………


「お前が原因じゃないか! テレサぁあ!!」

「うううううごめん。ノヴィ、ごめんなさい~」


 テレサが裏ワザを見つけた張本人であった。


 俺はヴィヴィアンと共に、魂の回廊の現場調査に入る。例の新しい秘術で俺とヴィヴィアンを石と認識させ、住人たちの様子を調べた。


 ~ 現場その一 ~

「ママー、私もそれ飲みたーい」

「だーめ。これは大人の飲み物なの」

「えー、私も飲みたいよ~」

「ダメダメ。大人になったらね」

「どうしたら大人になれるのー?」

「魔神様にね大人にしてもらうの」

「わかったー」


 ~ 現場その二 ~

「子供を作った後の、一杯は格別ね」

「私なんて、この前一度に三人も作って、二杯一気飲みよ!」



 頭が痛くなる台詞が飛び交っていた。精神世界を壊すとは言ったが、完全に秩序が崩壊していた。飲み目的で皆子作りをしている。しかも子作りにおいて相手を要する必要が無い為、繁殖ペースが異常過ぎる。


 ヴィヴィアンも同様の反応。


 俺はトンデモナイ勘違いをしていたのかもしれない。夢魔族のお風呂を考えたであろう人物。実はこの異常繁殖を恐れ、ワザとギリギリの調整をしていたのではないかと……。今更ながら、作り手の心づかいを知る羽目になった。


(お風呂作った人、まじでスミマセン)




 そして翌日、テレサを含めた、夢魔族一同を俺の家の前に集合させる。


 出るわ出るわ。何処にお前等いたんだよ、というぐらい湧いてきた。数百レベルじゃない。数千、数万の国軍レベルで湧いてきたのである。


 隣にいたヴィヴィアンは数千を越えたあたりで気絶し、家のベッドで寝かせた。



「お前達、夢魔族に告げる。今日から子作り禁止!! 子供が一人でも増えたら、蒸留装置即撤去。水も直ぐに捨てる!!」



 魔力全開にしビビらせながら命令する。


 この独裁命令により、事件は収束に向かうと思っていた…………。



 ~二日後~



「あのノヴィ様少しご相談が……」

「ん? どうしたの?」

「ちょっと言い辛い由々しき問題が発生しまして……、とにかく一度森の()に来てくれませんか?」

「森に用事があるなら、俺も森の中行くよ?」

「いえ、とにかく来て頂ければ直ぐお分かりになります」


 ヴィヴィアンにしては妙な物言いではあったが、彼女と共に森の前まで来た。


 速攻で気づいた。森の中から大合唱が聞こえるのである。盛のついたメス猫達の声が。


 少し流してみよう。


「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」


 今はメス猫達の声を副音声で再生している。主音声で流したらR18タグとか色々大変なのである。


 入り口でこれだ、奥に行くとトンデモナイのだろう……。


 森から出て来たサキュバスのお姉さんとチラッと目が合う。(うぶ)な女学生のように走り去って行く。


 これは流石にヴィヴィアンが可哀想だ。男の俺でもげんなりする。同性の彼女からしたら、相当酷いのであろう……。試しに俺も同姓で想像してみようと思ったが、直ぐに振り払った。考えることが恐ろしいと直ぐに気づく。



 翌日、夢魔族一同を再度集めた。


「お前等、妖精族の森に入るの禁止。破ったら即撤去!!」



~更に数日後~


「ノヴィ、お願いだからなんとかして~」


 テレサが俺に泣きついてきた。自分で撒いた種を、俺に何とかしろというのである。そもそも最初に数を増やさなければ、ここまで大問題にはならなかったはずだ。


 テレサが泣きつく為、渋々ながら魂の回廊へ入った。天国のような地獄のような絵図が、繰り広げられていた。わかりやすく例えるなら、四方八方からアダルトな映像を無理やり見せられている状態。



 最終的にこの問題は無事収束できた。


 実は魂の回廊にて人が居ない、空きの建物があった。そう当初ネリサが寝ていた、病院みたいな施設のことである。


 俺は夢魔族一同に一人で鎮める場合は、その建物を利用するようにと指示した。翌日からその建物には長蛇の列が続く。


 その建物は後々こう呼ばれるようになる、『HOTEL(ホテル)』と……。




「姉さん、今日もホテルは大忙しです」

魂の回廊編は終わりました。次回から通常運転にもどります。


因みにネタが古いのでわからない方は、HOTELとテレビドラマ、姉さん~とかで適当にググって見てください。


引き続き、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。