第五十三話 姉さん、いよいよ俺も憧れの給水マン
『サキュバスの大好きな水』に蜜を加え、子供たちに『甘露』を配る仕事。
毎日大忙しです。
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「ノヴィ様……もう花の蜜がありません……」
サングラス装備のヴィヴィアンが戻ってきた。
「もう、やってられるかぁあああああああああ」
蜜の有無以前に色々限界である。俺はサングラスを放り投げる。
そもそも何故サングラスか。
そこら中でペカーペカーペカーとフラッシュしまくり。最初は神秘的だったのに、公害並みの扱いになっていた。子供には罪が無い為、そのような事言えるわけもなく、俺がマジカル倉庫からサングラスを用意。ウー、フィー、ナー用も取り出したのは言うまでもない。
俺は妖精達一同を連れ、サキュバスの住処『魂の回廊』へと旅立つ。
~魂の回廊到着~
「なんじゃこりゃあ」
「あぁ~(ふらっ」
ヴィヴィアンが目眩を起こしたかのようにふらつく。無理もない。魂の回廊にはサキュバスが溢れかえっているのである。以前は美人が歩く街並みに喜んでいたけど、もう有り難みも何も無いわ。
一言で言うなら『大量発生』。
この大繁殖の原因は、俺の取り付けた蒸留装置のせいだろう。しかしこの繁殖力は異常過ぎる。
直接、一族の長に聞くしか無いとテレサを探し出す。
「おい、テレサぁ! これは一体どうなっとんじゃあああ!!」
「あら、ノヴィ久しぶりね(よそ見」
「なんでこっちを見ない?」
「何のことかしら?(よそ見」
この女俺と目を合さないで、逸らしているのである。
「話せ、今直ぐに大繁殖の理由を。話さないと蒸留装置を撤去する。水も全部捨てるからな」
「待って、全部話すから待って。後生だから許してお願い」
サキュバスの特性を知る。彼女達の生殖には男性が必要無いらしい。最初は無性生殖のことかと思いきや、魂を分裂させて増やすのだという。例えるなら細胞分裂である。
これがそもそもどうして大繁殖に繋がったのか、紐解いていくと犯人像が徐々に浮かび上がる。
『サキュバスの大好きな水』の味にハマってしまったお姉さん達は、やはり例の如くガブガブ飲んでしまったらしい。で、当初はテレサと同じく発情してしまい、結果一人で鎮める事となる。
しかしここで、ある裏ワザを見つけた人物がいたのである。先に子供を作る、この場合魂を別けると言ったほうがいいであろう。魂を先に別けて、消耗状態から『サキュバスの大好きな水』を飲むと、なんと発情しないことが判明したらしい。
サキュバスは一人で鎮める行為が相当恥ずかしいらしく、皆が皆こぞって裏ワザテクニックに走ってしまったとの経緯。
俺は犯人に一つ心辺りがあった。蒸留装置を付けるよりも前の日のことである。全然見覚えのない子供達が、初めて俺の家の前にやって来た日のこと。
あのとき、水の味を知っているのは彼女しかいない…………
「お前が原因じゃないか! テレサぁあ!!」
「うううううごめん。ノヴィ、ごめんなさい~」
テレサが裏ワザを見つけた張本人であった。
俺はヴィヴィアンと共に、魂の回廊の現場調査に入る。例の新しい秘術で俺とヴィヴィアンを石と認識させ、住人たちの様子を調べた。
~ 現場その一 ~
「ママー、私もそれ飲みたーい」
「だーめ。これは大人の飲み物なの」
「えー、私も飲みたいよ~」
「ダメダメ。大人になったらね」
「どうしたら大人になれるのー?」
「魔神様にね大人にしてもらうの」
「わかったー」
~ 現場その二 ~
「子供を作った後の、一杯は格別ね」
「私なんて、この前一度に三人も作って、二杯一気飲みよ!」
頭が痛くなる台詞が飛び交っていた。精神世界を壊すとは言ったが、完全に秩序が崩壊していた。飲み目的で皆子作りをしている。しかも子作りにおいて相手を要する必要が無い為、繁殖ペースが異常過ぎる。
ヴィヴィアンも同様の反応。
俺はトンデモナイ勘違いをしていたのかもしれない。夢魔族のお風呂を考えたであろう人物。実はこの異常繁殖を恐れ、ワザとギリギリの調整をしていたのではないかと……。今更ながら、作り手の心づかいを知る羽目になった。
(お風呂作った人、まじでスミマセン)
そして翌日、テレサを含めた、夢魔族一同を俺の家の前に集合させる。
出るわ出るわ。何処にお前等いたんだよ、というぐらい湧いてきた。数百レベルじゃない。数千、数万の国軍レベルで湧いてきたのである。
隣にいたヴィヴィアンは数千を越えたあたりで気絶し、家のベッドで寝かせた。
「お前達、夢魔族に告げる。今日から子作り禁止!! 子供が一人でも増えたら、蒸留装置即撤去。水も直ぐに捨てる!!」
魔力全開にしビビらせながら命令する。
この独裁命令により、事件は収束に向かうと思っていた…………。
~二日後~
「あのノヴィ様少しご相談が……」
「ん? どうしたの?」
「ちょっと言い辛い由々しき問題が発生しまして……、とにかく一度森の前に来てくれませんか?」
「森に用事があるなら、俺も森の中行くよ?」
「いえ、とにかく来て頂ければ直ぐお分かりになります」
ヴィヴィアンにしては妙な物言いではあったが、彼女と共に森の前まで来た。
速攻で気づいた。森の中から大合唱が聞こえるのである。盛のついたメス猫達の声が。
少し流してみよう。
「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」「ニャーニャーニャアアニニャアアアアーーーニャ~」
今はメス猫達の声を副音声で再生している。主音声で流したらR18タグとか色々大変なのである。
入り口でこれだ、奥に行くとトンデモナイのだろう……。
森から出て来たサキュバスのお姉さんとチラッと目が合う。初な女学生のように走り去って行く。
これは流石にヴィヴィアンが可哀想だ。男の俺でもげんなりする。同性の彼女からしたら、相当酷いのであろう……。試しに俺も同姓で想像してみようと思ったが、直ぐに振り払った。考えることが恐ろしいと直ぐに気づく。
翌日、夢魔族一同を再度集めた。
「お前等、妖精族の森に入るの禁止。破ったら即撤去!!」
~更に数日後~
「ノヴィ、お願いだからなんとかして~」
テレサが俺に泣きついてきた。自分で撒いた種を、俺に何とかしろというのである。そもそも最初に数を増やさなければ、ここまで大問題にはならなかったはずだ。
テレサが泣きつく為、渋々ながら魂の回廊へ入った。天国のような地獄のような絵図が、繰り広げられていた。わかりやすく例えるなら、四方八方からアダルトな映像を無理やり見せられている状態。
最終的にこの問題は無事収束できた。
実は魂の回廊にて人が居ない、空きの建物があった。そう当初ネリサが寝ていた、病院みたいな施設のことである。
俺は夢魔族一同に一人で鎮める場合は、その建物を利用するようにと指示した。翌日からその建物には長蛇の列が続く。
その建物は後々こう呼ばれるようになる、『HOTEL』と……。
「姉さん、今日もホテルは大忙しです」
魂の回廊編は終わりました。次回から通常運転にもどります。
因みにネタが古いのでわからない方は、HOTELとテレビドラマ、姉さん~とかで適当にググって見てください。
引き続き、宜しくお願いします。




