第五十話 SIRI地獄
暑い。
俺はサキュバスの風呂場の片隅で、身動きが取れず、苦行を強いられていた。最初はヒャッホゥという感じであったが、数十分後にはただのサウナ地獄を強いられていた。
~五十分程前~
(ヒャッホゥ!!)
いかんいかん。テンション上がり過ぎた。もっと心を石にしないと。俺は石だ。体は石でできているとか考えみる。
秘術を発動後、無事桃源郷への侵入を果たす。見学が目的なので、隅っこにでも寄っておくことにする。
待つこと数十分。
(全然湯船に入らないな)
湯船。この人達が浴槽に貯めた、お湯に浸からない。ずっとお喋りをしてばかりだ。時々浴槽のお湯でタオルを濡らし、汚れを落とすぐらい。
(もしかして、何か思い違いしてるっぽいかも……)
かれこれ何人かのサキュバスが入れ替わるが、とにかくお喋りをして帰って行くパターンなのだ。
おそらくではあるが、ミスト状になっているこの空間。『サウナ』空間。ミストサウナや蒸し湯に近いもの。
彼女達のお風呂は湯で清めるのではなく、『サウナ』にて体力を回復しているのだ。
その証拠に俺の精神体の方にジワジワダメージっぽいものが来ている。最初は暑いなぁぐらいの感覚でいたが、肌がジリジリ焼けていることに気づいた。
彼女達と俺とで構成成分が違うのだろう。人間でいえば弱酸性とアルカリ性のような差だと思う。
情報は十分収獲できた。何よりもこのままこの空間に待機していることのほうが拙いと判断し、撤退をしようとしたところ────。
「~そうなのよ」
サキュバスのお姉さんが、胡座で座っていた俺のところに、腰を掛けてしまったのである。
(おいいいいいいい)
いや、正確には腰ではない。生尻である。それはそれは、スッポンポンのまま座っておられる。非常事態である。俺の股間さんも非常事態寸前であるが、体力とか肌の火傷具合がヤバイ。
一刻も早くこの場を脱出したい。しかしこのお姉さん生尻を乗せたまま、ずっとお喋りを続けておられる。
(はよ、終ってくれ…………)
風呂に石があるから、丁度いい椅子のように思われたのだろうか。平時の俺なら新手のイケナイお店だーとか喜ぶところであるが、状況が状況な為に笑っていられない。
ようやくお尻あげてくれたと思ったら、次の生尻がやって来た。
(ひぃいいいいい。お尻怖い!)
かつてお尻に対して、こんな恐怖したことは無かった。繰り返すこと数回。
そして、次のお尻がやって来た。テレサのお尻である。
(ももももももももう限界っす、ごめんテレサ)
俺はテレサの白い丸いお尻を持ち上げる。
「きゃっ!!」
テレサが反射的に飛び上がった隙に、生尻地獄を脱出する。
死ぬかと思った。
そして俺はダッシュで森に戻ると、湖に飛び込む。
「ど、どうなされたのですか?」
ヴィヴィアンが慌てて掛けて寄ってくる。
ちょっと命懸けの調査をしていたと言ったら怒られた。精神体の完治が遅れたのは言うまでもない。
次回は7/15更新予定。
間に合わなければ7/16 0時~2時ぐらいになりますスミマセン。




