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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第2章 魔神覚醒編
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第四十六話 妖精クエスト-前編-

 いい加減ファンレにも会いたいから、戻りたいと話したところ、向うの世界の俺の肉体(フィジカルボディー)がまだ腐敗したままらしい。こっちの精神体のほうが酷く、浄化に長い時間を要すると思っていた為、じっくり治す予定であったとのこと。


 レティ達が急ピッチで肉体を修復しているとのことである。精神体の方も完治しているわけではない為、焦りは禁物と言われた。それでもファンレに会いたいものは会いたいからしゃーない。


 とりあえず精神世界で時間を過ごさないといけない為、今のうちにアイツに言われていた、ウー、フィー、ナーのお願い事というのをなんとかしておこうと思う。


「俺がこっちに来てから、ウー、フィー、ナーがいないんだけど、何処いるの?」


 庭先で紅茶を一緒に飲みながら、ヴィヴィアンに尋ねる。


「ウー、フィー、ナー、こちらにいらっしゃい」

「「「…………」」」


 あれ、アイツの記憶では、こいつらもっとお喋りだった気がするけど、どうしたんだ。


「俺ノーヴィス=レムリアンシード。ノヴィでいいよ。一応前の魔神の魂と一つになったけど、俺達て友達のままで大丈夫?」

「「「だいじょーぶー」」」

「実はちょっと思い出せる記憶と、思い出せない記憶があるんだ。ウー、フィー、ナーから何かお願いされたと思うのだけど、何お願いしたか教えてくれる?」


「貴方達何か頼み事していたのですか?」


「ノー」

「ヴィー」

「こっちー」

「「「きてー」」」



 で、俺は森の奥に連れて行かれる。連れていかれた先は枯れてしまった花や木が植えてある畑みたいな場所である。


「ここ畑?」

「左様です。元はリンゴや以前お渡しした、花を育てていた場所にございます」

「そうなんだ。もしかしてお願いごとて、ここをなんとかしてほしいとかそんな感じ?」

「みずーやーり~」

「を」

「てつだって~くれたー」


 見た感じでは明らかに枯れてる気がするけど、これて復活できるのかな。ヴィヴィアンに確認してみる。


「そうですね。この状態であれば、水をやればまた実らせることはできます。ただ私共が以前水やりにつかっていた聖剣が壊されてしまいまして」

「あーさーが」

「こーわーしーたー」

「のー」

「そうなんだ。今はどうやって水やりしてるの?」


 すると湖まで行き手で魔力水をすくうと、トボトボこの畑に水をやりにきてた。ヴィヴィアンの量ならまだしも、ウー、フィー、ナーの一往復辺りの量は雀の涙。これは全然足りないんじゃないだろうか。


 話によると俺の事件よりも前の段階で、枯れてしまう寸前だったとか。ヴィヴィアンも畑を往復するわけではないので、ウー、フィー、ナーが畑を頑張って往復していたようである。


 たしかにこれはなんとかしてあげたい労働環境。


「これて魔力水をすくって、ここで水を撒ければ大丈夫だよね?」

「そうですね。どうしても魔力水を扱うとなると、聖杯や聖剣便りになってしまうものですから」


 妖精達に湖で待っているよう告げると、俺は一度自分の外殻……面倒だから家でいいや。家に帰る。用事があるのは家の中ではなく、庭先にある倉庫。実家の庭先には倉庫があった影響か、ちゃっかり存在しているのである。


 俺は倉庫を開けると、都合の良さそうなアイテムがないか探してみる。最悪、台所にまとめてあるペットボトルの空きにでも穴をあければ、いけそうな気もしない。ただ流石に見た目が悪いので、手頃な水やり道具を探すことに。


 小さい妖精用に良さそうなものを探していると、ヴィヴィアンにも似合いそうなものを一品見つけた。一応台所で軽くチェックしてみたが、問題無く利用できる。


 ここの住人水を掬う器が全然無いみたいだけど。俺のところには不思議とたくさんある。イマイチ基準がわからん。


 ともかく、妖精達の待つ湖へと戻る。


「おまたせ。ヴィヴィアンにはこれあげる。丁度似合いそうな良い如雨露(じょうろ)があったからどうぞ。鉄製だからちょっと重いかもしれないけど、我慢してね」


 そしてウー、フィー、ナーに用意した如雨露(じょうろ)は伝説のアイテム。かの有名な芸人、◯ッキィ池田が頭に装備していた伝説のアイテム。そう……


『ゾウさんじょうろ(赤)』である。


 実家で母親が庭弄りを趣味にしていたこともあり、庭先の倉庫に如雨露(じょうろ)類があればなあと思って漁ってみたところ、見事的中したのである。なんか俺が欲しいなと思ったものが、都合良く湧いてきた気もしないが、考えないでおこう。


 早速三人にゾウさんじょうろを渡してあげる。使い方をイマイチ理解ってないようだったので、一度試しに俺が実践する。


「「「 !!!! 」」」


 ゾウさんじょうろに水を貯めて、三人で畑まで持って行くかと思いきや、自分の倍のサイズはあるじょうろを一人で軽々持ち上げた。恐るべし妖精族。


 そして三人が水やりを始めると、枯れていたはずの作物が、あっという間に青々とした姿を取り戻す。


「ファッ、ファンタジーすぎる」

「我々には、ノヴィ様のほうが理不尽過ぎます」

「あー」

「りーがー」

「とう。なのー」


 取り敢えず約束を果たせて良かった。


 おつかいクエストだよなこれ。

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