第二十三話 冒険者は消毒だぁ~!ヒャッハー!
内容的にほぼ閑話です。魔族サイドの様子なので面倒な方は読み飛ばして貰っても問題ありません。特に戦闘シーンなどもありません。
~トカゲとライオンの場合~
生誕の中ではモンスター無双と言わんばかりの光景が繰り広げられていた。もし、ノヴィがこの場に居たなら、間違いなく某世紀末な光景を思い浮かべていたであろうことは容易に想像がつく。
生誕の中では、ここ数百年でも見ることが無かった数多の冒険者が押し寄せていた。まさに入れ食い状態。倒しても倒してもどんどん冒険者がやって来るのである。これを祭りと言わずとして何と言う。
「そっちは何匹やったよ?」
「我は数えておらぬ」
「俺は軽く100は殺したかな」
「ハッセル、お主100も数えておったのか? こんな餌場数えるだけ無駄よ。数える余裕があるなら、その分斬り伏せたほうが良いぞ」
「その意見には賛成だ」
武人であるヴルムとハッセルは水を得た魚のように嬉々泳ぐ。貧乏貴族だったダンジョンとはいえ、歴史長いダンジョンである。その幹部なだけあり、実力は折り紙つき。ファルファシオンからやって来る冒険者達では太刀打ちできることなく、一方的に薙ぎ払われる形となっていた。
そんな一方的な展開ではあるが、ここ数十年冒険者がやって来なかったこのダンジョンとしては、砂漠で見つけたオアシス同然。下層に潜り難く、逃げやすいとされる生誕の構造ではあったが、誰一人とて逃がすこと無い一方的な展開が繰り広げられ続ける。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~ジャニーズの場合~
ダンジョンが備える魔力湖の場所を確認すると、とんでも無い勢いで魔力が回復していた。ここ数百年でようやく貯めた魔力を使い、行使した秘術が先日の魔神の件であった。加えて魔王レアゥリティ=ロードナイトの内包する膨大な魔力を更に加えた結果が、あの魔神である。
これだけの膨大な魔力を消費してあの結果であれば、ルーカスも落胆せざるを得無かった。
だがそれを払拭するかの如く、空寸前であったはずの穴底が魔力湖としての姿を取り戻していた。
この異常事象は何を意味するのか。生誕でも一番の古株であり、ルーカスに知識を授けたテレスタジアに相談しようにも、魔神が消えて以来まともに機能していないのである。現在魔王がテレスタジアに付き添い、事態究明に当たっている。
うまくいけば貧乏貴族と呼ばれていたこのダンジョンに、以前のような名声を取り戻せるかもしれない。そんな栄光をルーカスは頭に描く。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~小さな魔王様と男に逃げられた女の場合~
「てーれーさー、いい加減仕事をしてくれ。頼むぅ」
「嫌、もう働きたくなぃの」
ノヴィの前世が人族。そして人族としての明確な記憶を持っていることに気づいたテレサではあるが、結局ノヴィを探すことが出来ないでいた。
ノヴィが向かったであろう村や街へ行くと言い出したところ、レティとルーカスが必至で止めたのである。それはそれはもう本当に必至で。
数百年の間ですら見たこともない、現在生誕に起きている異常事態。何かの前触れでは無いかと危惧し、テレサに助力を求めるが、結局無気力状態に戻ってしまい、今もこうしてゴネているわけであった。
「なぁなぁ、テレサはこの事態について、何か思い当たることはないかのう」
「ノヴィが外に出て、街に行ったからじゃない(適当」
「な、わけあるか。ちっとは妾と一緒に考えてくれ。頼むう」
「ノヴィのいる街に行ったら考えるわ」
「それは考えるじゃなくて、逃げると言うんじゃあ!」
実は当てずっぽうに言っていることが当たりと、問答を繰り返すレティとテレサは知る由もない。
ここに住む魔族は誰も知らない。ダンジョンで行われているこの光景は魔神生誕祭と。この状況は当の魔神本人が引き起こしたものであると。
『 セ ル フ 生 誕 祭 』
そう魔神本人もまさかこんな血祭りが繰り広げられているとは想像していない。
もし知ってしまえば、ノヴィは後悔する。自演で生誕祭を開いてしまったなんて恥ずかしい事実に。




